314 実感!
三百十四話 実感!
あれからオレと優香は高槻さんの家にお邪魔して結城お手製の愛情ご飯をご馳走に。
その後少しの間、これまでの帰省先での出来事を話していたのだが……
「あ、そうだ福田……くん」
突然結城が「ちょっと待ってて」と言いながら席を外す。
「ん、なんだろう」
オレが不思議そうに結城の背中に視線を向けていると、高槻さんが「ふふふ……」と笑っている。
「え、高槻さ……先生は知ってるんですか?」
「まぁそうですね。 おそらくはアレかと」
「アレ?」
オレは頭上にはてなマークを3つ程出現させながら考えるもまったく見当つかず。
そしてそうこうしている間に結城が満面の笑みを向けながらこちらへ戻ってきたのだった。
◆◇◆◇
「福田……くん、これ見て」
そうテンション高めに結城がオレに見せてきたのは1台のスマートフォン。
可愛らしいキャラクターの手帳型のカバーに入れられていて、オレがホワイトデーのお返しとしてプレゼントしたヒヨコのキーホルダーがそこに付けられていた。
「え、てことはそれ……結城さんの?」
「そうなの。 ちょうど今日ママに買ってもらったんだ」
結城が「ねーっ」と高槻さんに微笑みかけると高槻さんも「ねー」と笑顔で返す。
「それでね、私のスマホまだ2人のママの連絡先しか入ってないから、福田……くんとお姉ちゃんの番号とか教えて欲しいなって」
お……おおおおおおおおおおおおお!!!!
ついに結城がスマホデビューだよおおおおおおおおお!!!!
「そういや結城さん、前にもうすぐスマホ買ってもらえるって言ってたね」
「うん。 ほんとはもうちょっと早く買ってもらう予定だったんだけど、ママがお仕事忙しかったから今日になったんだ」
結城の言葉を聞いた高槻さんが「そうなの。 ほんとゴメンね桜子」と優しく頭を撫でる。
「ううん、だってママのおかげで私ここに住めてるんだもん。 そんなワガママ言わないよ」
「っはぁああああん!!!! 桜子ーーー!!!!」
高槻さんは絶頂級に顔を赤らめながら結城を自身の腕の中へ。
そのままギュッと抱きしめて自身の頬を結城の柔らかモチモチの頬に擦り合わせ始めた。
「マ、ママー?」
「桜子ーー!!!!」
「ちょっとママ、お姉ちゃんや福田……くんもいるんだよ? 恥ずかしいよぉ」
「いいの! それより桜子、いつものお願いできる?」
高槻さんが物欲しそうな瞳で結城を見つめる。
結城は「えぇ? ここで?」と少し戸惑っているようだが……
「「ーー……いつもの?」」
おぉ、さすが姉弟だ。
優香もオレと同じで先ほど高槻さんの口にした「いつもの」が気になったよう。 オレと同じタイミングで声が漏れる。
「えっと……うん。 ちょっと前からこれ、夜にママにやってあげてるんだ」
結城が「えへへ……」と少し照れながら答える。
それをするとどうやら高槻さんがかなり喜ぶんだそうで。
「かなり喜ぶ……それってマッサージとかなの?」
優香が人差し指を立てながら尋ねる。
「ううん、違うよ」
じゃあ次はオレの番だ。
「じゃあほっぺにお疲れ様のチュー?」
「そ、そんなの恥ずかしくて出来ないよぉー!」
ちくしょうハズレか。
じゃあ一体何をするっていうんだ?
そう考えている間にも高槻さんが結城に向かって「早くぅー」と甘えた声を出す。
それはそれでかなりギャップがあって可愛かったのだが、次に結城のした行動にオレと優香は驚愕……高槻さんのそれとは比べものにならないほどの衝撃を受けてしまったのだった。
「ママー、今日も1日お疲れ様。 よしよしよしよし」
「「!?!?!!?!?!」」
な……なんということでしょう!!
結城がまるで子犬を撫でるように高槻さんの顔や頭を撫で回していく。
「今日も大変だったね、頑張ったね。 でも今日もそれは終わりだから、桜子と一緒にいよ?」
「ふみゅーーー……」
ぐっはあぁあああああああああああああ!!!!!
なんだこの破壊力はああああああああああ!!!!!
そんなキャラの結城見たことない……何がどうなってそれが生まれたのかは分からないが、高槻さんそこを代われええええええええ!!!!!
オレは興奮しながらもそんな母性の溢れ出ている結城の姿をガン見。
そしてそんなオレの熱い視線を感じ取ったのだろう……チラッとこちらを向いた結城と目が合った。
「ゆ、結城さん!?」
「あ、あの……あまりその、見ないでほしいな。 はじゅかしい……」
ピャアアアアアアアア!!!! 噛んだあああああああ!!!! かわいすぎるーー!!!!!
オレは「ご、ごめん」と言いながらも徐々に帰ってきたことを実感。
すると不思議なもので、帰省してからそこまで本領発揮していなかった変態脳が少しずつ覚醒していく。
結果、オレの変態脳が導いた答えがこちら……
オレもやりたい!!!
そしてその後、結城と無事連絡先を交換して自宅へと戻ったオレは優香の頬を優しく撫でる。
「ダ、ダイキ!?」
えーと、確か結城が言ってたセリフがこうだったから……
「お姉ちゃん、おじいちゃん家では色々してくれてありがとう。 お疲れ様。 でももう終わったんだから、気を張ったりしないで今夜はオレと一緒にいよ?」
「ふ……ふみゃあ……」
優香の顔がトロンととろける。
おおお、効果絶大!!!
こういうのって年下にされるから癒しがアップされるのだろうか。
オレはそんなことを考えながらも優香の頬や頭を優しく撫で回し、その後優香から「今日はお姉ちゃんと一緒に寝てほしいな」を獲得したのだった。
あ、ちなみにオレはそこからいやらしい展開へと持って行きたかったんだけど、優香は心の底からリラックスしたのだろうな……ベッドの上で横になるなりすぐに寝息を立てて寝てしまったよ。
「じゃあオレもそろそろ……ん、メールの受信通知? 誰からだ?」
【受信・結城さん】またご飯食べにきてくれたら嬉しいな。 今日は美味しそうに食べてくれてよかった。
うわあああああああああ!!!
可愛すぎて眠れなくなっちゃうよおおおおおおおお!!!!!
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