03 勝ち組?
三話 勝ち組?
あれから医師が来て簡単な検査を受けたオレは、姉・優香からある程度の話を聞いた。
どうやらオレは今小学五年生。 昔からいじめられていて、歩道橋から飛び降りたらしい。
ただ奇跡的にランドセルがクッションとなり即死は免れていたとのことだった。
大きな怪我もあまりなく、唯一頭を強く打ったことから意識が戻らなかったらしい。
「うーん、とりあえず体はあまり問題ありません。 記憶の喪失は時間の経過とともに思い出す可能性もありますので……」
オレのこの状況を医師は記憶喪失と診断。 オレは退院し優香とともに自宅らしき家……マンションの一室へと帰ったのだが。
「ーー……あれ、親は?」
家の中は真っ暗で誰もいない。
オレは優香を見上げ尋ねる。
「ダイキ……本当に記憶がなくなってるんだね。パパとママはもういないじゃない」
優香がオレを抱きしめる。
そうか、親いないのか。
てことは……この優香が色々と世話をしてくれていたってことだよな。
こんな子供が頑張って生活している中で、オレが生きてた時は欠伸しながら漫画とか読んでたかと思うと恥ずかしい。
「ねぇお姉ちゃん、テレビつけていい?」
「え、うん。 いいよ」
オレはこの空気を変えるためにテレビを点け、適当にリモコンの番号を押した。
すると時間的に夕方……ニュース番組が流れている。
『昨夜、〇〇市のアパートで男性が孤独死しているのが家族によって発見されました。 部屋には複数の雑誌が散乱していたものの目立った外傷はなく、死因は心臓発作によるものではないかとの見解を……』
「なっ……!!!」
オレは偶然流れていたニュースを見て愕然。
どこからどう見てもオレの住んでたアパートじゃねーか!! しかも家族によって発見されたって……!!
「……ん? どうしたのダイキ」
「え、あぁ、いや、なんでもない」
散乱していた複数の雑誌。 パパンとママン……そしてシスターにもオレの性癖がバレてしまったのか。
オレが肩を落としていると再び優香がオレを強く抱きしめてくる。
「え、なに!?」
「ダイキ、死のうと思って飛び降りたんだもんね。 でもあんなニュースの男の人みたいにはならないでね。 ダイキがいなくなったらお姉ちゃん、悲しいから」
どうやらオレがニュースを見て自分が死ねなかったことを後悔しているように見えたらしいな。
「今日は久しぶりに……お姉ちゃんと一緒に寝よう?」
「え」
「ダイキにはお姉ちゃんがついてるから。 大丈夫だよ」
その後知ったのだが、姉・優香は高校一年生。
オレは女子高生の女の子に優しく抱きしめられながら甘い夜を過ごしたのだった。
ーー……え、オレ勝ち組やん。
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