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290 対面!


 二百九十話  対面!



 流石に長時間離れているのも怪しまれると思ったオレは男子トイレ付近で美香を待たせて陽奈の病室へ。

 すると病室入り口の手前付近……医師と陽奈の母親が何やら深刻そうな顔をしながら小声で話をしているのを発見する。


 この状況……「いやーすみません、ただいま戻りましたー」なんて言える空気じゃないぞ。


 仕方ないのでオレは壁に隠れながら2人の会話が終わるのを待つことに。

 そうするともちろん2人の会話も聞こえてくるわけで……



「先生、お話って……?」


「早くて今夜……遅くても一週間以内に症状が出てくるでしょう」


「そんな……」


「はい、ですがこうして入院していますのでいつでも迅速な処置が可能……こう言ってはなんですが、陽奈ちゃん、運がかなりいい方ですよ」


「そう……なんですか?」


「はい。 もしご自宅で発症された場合ですとどうしても適切な処置を受けるまでに時間がかかりますので。 なので先ほども私どもから陽奈ちゃんには説明はしましたが……どうかお母様からも、少しでも苦しくなったらナースコールのボタンをすぐに押すようにと言い聞かせてあげてください」


「分かりました、ありがとうございました」




 ーー……マジか。



 その後タイミングをずらして陽奈の部屋に戻ったのだが、陽奈は相変わらずの元気顔。

 オレが入ってくるなり眩しい笑みをオレに向けてくる。



「あー!! ダイきち!! やっと戻ってきたー!!!」



 先ほどの医師の言葉が嘘ではないかと思えるくらいに控えめに言ってもうるさい。



「えっと……陽奈、お母さんと話してたんじゃないの?」


「へ?」



 陽奈はキョトンとした顔をしながら視線を真横にいる母親へ。

 


「えっとー、ママ? 陽奈、ママと何か話してたっけ?」


「何か話してたっけじゃないでしょ! だーかーら、何か少しでも違和感があったらこのボタンを押すの! 良い!?」


「えー、でも陽奈、めっちゃ元気やけん大丈夫なのになー」



 陽奈の言葉に母親はガクリと肩を落としてため息。

「だから覚えておいてくれるだけでいいんだから……」と呟きながら陽奈の手を握っていたのだった。



 陽奈よ……まぁ愛莉がいてくれるから大丈夫だとオレは知ってるけど……あまり母親に心配掛けさせるんじゃないぞ。

 これ以上いても母親の説明の邪魔になると悟ったオレはまた近いうちに寄るとだけ告げて部屋を出たのだった。



 ◆◇◆◇



「ダイキ、茜ちゃんはどこ?」


「そこの角を左に曲がったところの手前から3番目の部屋だ」



 あれからオレは美香と再び合流して待ちわびた茜のところへ。

 部屋の前に到着すると美香がオレの腕をガシッと掴む。

 ーー……ていうか、めちゃめちゃ美香の手、震えてるんだが。



「どうした美香、緊張してんのか?」


「あ、当たり前じゃろ。 一目惚れした相手に会うのじゃぞ……もう心臓が破裂しそうじゃわ」


「分かった。 とりあえずその口調で行くんだな」



 そう尋ねると美香の目が一瞬大きく開く。



「ーー……な、何言ってるのダイキ。 美香は、かかか神様。 そんなことで動揺するような種族では……にゃい」



 うーわ、中身おじいさんなのにやっぱり可愛いぜ。

 しかも言葉を噛んじゃうところとか、無表情のまま噛んでるから更に可愛いじゃないか。

 これこそまさに、『神かわいい』……なんちゃって。


 オレはそんな美香の姿に少し微笑みつつも、「じゃあ行くぞ」と声をかけて扉に手をかけた。



「こんにちは茜さん、今日も来ちゃいましたー……って……」



 ーー……え。



 オレとオレのすぐ後ろにいた美香の視線が中央から少し奥の窓よりにあるベッドの上にいた茜の姿に目を奪われる。

 だって……



「あ、ダイきちくん」


「ーー……」



 そう、そこにいたのは丁度着替えをしている最中の茜の姿。

 お腹付近にある上着の紐を解いて上半身を水色の下着とともに露出させながら、隣に置いてあった新しい入院着に手を伸ばしている。

 ていうか入院着が結構ダボダボだったから分からなかったけど、茜って結構な……



 ツゥーー……



 オレは冷静に茜の上半身下着姿を目の当たりにしながら後ろにいる美香に声をかける。



「美香、すまん、ティッシュくれ」


「なんで?」


「多分あと数秒で鼻血出る。 てか数秒で鼻から落ちる」


「ーー……鼻血? 美香、ダイキが別のもの、ここで出してティッシュ使うのかと思った」



 ーー……。



「何をだよ」


「でもちょっとムリ」


「なんで」



 オレは美香のいる方を振り返りながら尋ねる。



「だって美香の方が先に鼻血出てるから」




「ええええええええええええ!?!?!?!?」



 その後オレは少し照れ笑いの茜からティッシュを受け取ると、それを美香とシェアして2人仲良く鼻の穴へ。

 そして美香は女の子ということで茜に直接鼻の穴に詰めてもらっていたのだが……



「あれ、ていうか君、よく見ると昔の私そっくりだね」



 茜が美香の鼻の穴にティッシュをねじ込みながらまじまじと観察する。



「ーー……そう?」


「うん。 その喋り方も。 この世には自分に似た人物が3人はいるって聞くけど……ダイきちくんのお友達?」


「そう。 そして茜の味方」


「私の?」


「そう」


「ていうか君、オーラ凄いね。 私、人のオーラ見ることが出来るんだけど、君のオーラは金色や虹色で輝いていて、これはまるで前に会った……」



 そこまで口にした茜が途中で話すのを中断して黙り込む。



「茜、どうした?」


「いや、ごめんね、今から変なこと言っちゃうんだけど……前に会ったことのある神様のオーラに似てるなって思ってさ」


「覚えててくれて嬉しい」


「ーー……え?」



 突然の美香の言葉に茜が目を丸くする。



「えっと……君、名前なんだっけ」


「美香。 与田美香」


「ヨダ……ミカちゃん? なんか面白い名前だね」


「そう?」


「うん。 だって反対から読んだらさ、カミダヨって……」


「おぉ、茜、凄い。 その通り」



 美香がコクリと頷く。



「え?」


「茜、流石。 これはダイキも見破れなかった」


「ーー……ん? ごめんね美香ちゃん。 何が?」


「美香が神様だってこと」


「ーー……」



 茜がじっと美香を見つめる。



「美香ちゃん……何言ってるの?」


「茜、数年前の神社ぶり」




「えええええええええええええ!?!?!?!?」




 茜の個室内。 

 おとなしそうな茜には珍しく、その時は茜の叫び声が室内に響き渡ったのだった。

 ーー……うん、分かるぞその気持ち。



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[良い点] 陽菜ちゃんそんなにひどいのか……。 愛莉ちゃんの出番が来なければいいのだけど!! 茜ちゃんさすが! 見破るなんて! カミダヨ。
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