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288 神の教え!?


 二百八十八話  神の教え!?



 外から声が聞こえたのでオレが手を伸ばすと、我に返った愛莉が『な、ななななにやってんのダイきちくんーー!!!』とオレの腕を掴んでくる。

 ーー……まぁ実際は掴もうとしているだけですり抜けているのだが。



「大丈夫だって」


『何が!? 幽霊の私の声が聞こえるんやけん、絶対にヤバい人やん!』



 まぁ……確かに色々とヤバいけども。



 そんな愛莉をスルーして扉を開けると、そこには思った通りの人物の姿。

 そう……神様・与田美香だ。



「お昼までに着けた」



 美香が相変わらずの無表情でオレに親指を立てている。



「お、おう。 よく着けたな神さ……美香。 交通費どうしたんだ?」


「そんなもの美香には余裕。 人間の身体を創造するのに比べたらお金なんて……」


「うーーーん分かった!! なんか色々と危ない気がするからそれ以上は話さなくていいぞ!」



 オレが謎の冷や汗を額から垂らしながら美香の口を塞ぎにかかっていると、隣から愛莉が『ねぇねぇ』と間に入ってくる。



「ん、どうした愛莉さん」


『この子、ダイきちくんの知り合いなの?』


「まぁそうだな」



 オレがそう答えると美香がまっすぐ愛莉に視線を向ける。



「そう。 あなたの名前、愛莉?」


『え……うん、そうだけど。 凄いね、君も視える人なんだ』



 愛莉が『えっと……よろしく』と言いながら手を差し出す。



「やめたほうがいい」


『え?』



 愛莉の手が美香に触れるギリギリのところで美香がポツリと呟く。



『えっと……なんで?』


「美香に触れると愛莉、成仏」


『へ?』


 

 愛莉の頭上にはてなマークが出現。

 答えを求めるような視線をオレに向けてきた。



『ねぇダイきちくん、この子大丈夫?』


「あー、まぁそうだね、大丈夫だ」



「ダイキ。 この愛莉に美香の説明して」


「いいのか?」


「許す」


「わ、分かった」



 オレはコホンと咳払い。 その後、体を愛莉に向ける。



『ダイきちくん?』


「あのね愛莉さん。 これ……信じられないかもしれないけど、この子……美香は実は神様なんだ」


『神様?』



 愛莉の聞き返しに美香が『そう』と答える。

 しかしその言葉を信じられなかったのだろう、愛莉が『いやいやあり得ないから、冗談はやめてよ』と笑い出す。



「むぅ……愛莉、美香のこと全然信じてない?」


『そりゃあそうだよ、だって神様が人間の姿してるわけないじゃない』



 そんな愛莉の言葉が神様……美香のプライドに火を着けたんだろうな。

 美香は小さく息を吐くと、「分かった。 じゃあちょっとだけ証拠を見せる」と言いながら両手をそっと合わせた。

 一体何を始める気だ?



「ダイキは大丈夫。 でも愛莉……」


『なに?』


「愛莉はちょっと踏ん張ったほうがいい」


『?』



 愛莉が不思議そうに首を傾げたのだが、それは一瞬。

 オレから見たらただただ美香が手を合わしているだけなのだが、急に愛莉が『エエエエエエ!?!?!?』と驚きの声をあげながら距離をとって物陰に隠れ出す。



「ーー……どうしたの愛莉さん」


『ダイきちくん!!! こここ、この子やばいよ本物だよ!!!!』


「いや、オレにはまったく何も変わってるようには見えなかったんだけど……何が起こってたんだ?」


『後光!! 美香さんの背中から激しい後光が差してきたの!!!』


「ーー……後光?」


『仏様とかで背中がピカーって光ってるやつ!』



 愛莉は体全体を使って必死にそれを表現する。



「あーー、それね。 いや、オレには本当に何も見えないわ」


『あんなのモロに当てられたら強制成仏もんだよ!!! 何者なのあの子!!』



 全身から汗を垂れ流して叫んでいる愛莉に向かって美香が再び呟く。



「だから、美香は神様」


『ほんとなの!?』


「本当。 今ので信じられなかったのならもっと力出してもいいけど」


『うわああああああ!!! もう結構だよおおーーー!!! 信じる……信じるからもうその眩しいのやめてぇーーーー!!!!』



 ◆◇◆◇



 かなり破天荒な愛莉と美香のはじめましての終了後、オレたちはようやく本題へと戻る。



「それで美香、さっきオレたちに向かって何か言ってたよな」


「言った」



 えーと、なんだったっけか。



「確か……『一般的な霊でも役に立てることがある』だったよな」


「そう」



 さっきのことで美香のことを完全に神様認識した愛莉が少し怯えながらも美香に少しずつ近づいてくる。



『それで神様……幽霊の私でも役に立てるって、一体どういうことですか?』


「むぅ……愛莉、美香は美香。 神様呼びはダメ」


『ひぃいい!! ごめんなさいいい!!!』



 愛莉のあまりのビビり具合に美香は若干引きながらもため息交じりにその答えを話し始めた。



「愛莉。 人間と幽霊は何が違う?」


『え? えっと……当たり前かもだけど、肉体を持ってるか持ってないか……ですよね』


「そう」


『?』



 美香の返しに愛莉は『えっと……だからなんですか?』と尋ねる。



「人間の魂は苦痛に弱い。 肉体的・精神的関係なく、苦痛は人間の魂の敵」


『??』


「その痛みから守ってあげれば、気力が一気に下がることはない」



 一体美香は何を言ってるんだ?

 愛莉もオレと同じ考えのようで困惑した表情を浮かべながら美香の話を聞いている。



『えっと……つまり、神様……美香さんが言いたいのって、私に陽奈ちゃんの受ける苦痛をどうにかしろってことですか?』


「簡単に言えばそういうこと」


『でもそんなこと出来ます?』


「そんなの簡単」


『???』



 美香はそう言って頷いた後にゆっくりと目を閉じる。

 そしてその少し後……美香の口から放たれた言葉にオレと愛莉は驚愕の声をあげたのだった。



「愛莉は幽霊」


『は、はい』


「だからもしその陽奈って子が苦しんでる時……愛莉が憑依してその痛みを代わりに受けてあげればいい」



「!?!?」

『!?!?』



 オレと愛莉は互いに顔を見合わせる。



「な、なぁでも神さ……美香、それって……」


『うん、そんな簡単に出来るものなんですか?』



「出来る」



 オレと愛莉の問いかけに美香は即答。

 愛莉は思いもしていなかった方法に驚きが隠しきれていないのだろう……口をパクパクさせながら美香をジッと見つめている。



『で、でも美香さん、私……まだ人間に憑依したことなんて一度も……』


「じゃあ今練習する。 ダイキを使って」



 ーー……え。



『「ええええええええええええええ!?!?!?!?」』



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― 新着の感想 ―
[良い点] 神様美香w わー!憑依!? これは、期待!
[一言] なかなかに神様残酷なことをいいよる・・・ 魂だけの存在にその痛みを肩代わりしろとか
[一言] こんな、幼女に憑依してもらえるなんて! うらやまけしからん!よろしければオレで練習を!
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