表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
286/733

286 精神年齢!【挿絵有】


 二百八十六話  精神年齢!



「なぁ神さ……いや美香、ちょっといいか?」


『なに』



 スマートフォンのスピーカー越しに美香の声が聞こえてくる。

 結城の時にかなりお世話になったからだろう……この声を聞いただけで少し安心感を覚えてくる。

 ……中身おじいさんなのに可愛い透き通った声だぜまったくよう。



「あのさ、禁則事項に当たらない範囲で良いから教えて欲しいんだけど、そんなに言霊の力って凄いのか?」



 尋ねるとすぐに美香から『もちろん』との答え。



『いきなりどうして?』


「じゃあさ、仮にそうだとしたら……寿命を延ばすことも可能なのか?」


『なんで?』


「いや、なんとなく不思議に思って」


『嘘。 その話し方だと何かある。 ダイキ、美香に話す』



 うーん、やはり神様に誤魔化しはあまり通用しないか。

 ここはもうアレを言うしかないよな。

 オレは小さく深呼吸。 その後に「じゃあ……」と話を切り出した。



「なぁ神様」


『違う、今は美香』


「いや神様。 前に今のその人間の……美香の姿や話し方こそが神様の理想の姿って言ってたよな」


『言った。 それが何?』


「もしかしてその姿にはモデルがいたりしないか?」


『ーー……なんで?』


「オレがそのモデルになった子に出会ったって言ったらどうする?」



『ーー……!?!?』



 さっきまで美香のやつ、横になっていたのだろうか。

 驚いて上体を起こしたのか、ガサッといった音が聞こえてきた。



『な、なぁダイキ。 それは誠か!?』


「なんだ神様、美香の口調忘れてるぞ」


『そんなことはどうでも良い! それよりもダイキ、今お主が口にしたことは……』


「あぁ本当だ、その子の話が真実ならな」


『いつじゃ……いつワシと出会ったと言っていた?』


「数年前の初詣の時って言ってたけど……」


『おお……おおおおおおお』



 スピーカー越しからでも分かる神様の嬉しそうな声。

 どうやら茜の話に出てきた変態はこの神様で間違いないらしい。

 

 オレが1人で納得していると、少しの沈黙にも耐えきれなくなっていたのであろう神様が『それでじゃダイキ』と話しかけてきた。



「なんだ?」


『お主がその子の話題を出してきたということは……先の話と何か関係があったりするのか?』



 おぉ、いい感じに神様自ら話に乗ってきたな。



「うん」


『何があったのじゃ!』


「なんかその子……茜って言うんだけど、今病院で入院中でさ。 あまり命が長くないらしいんだ」


『ーー……!?』



 そこからオレは神様にある程度の茜の事情を説明。

 すると神様は『そうか……』と返しながら小さく息を吐いた。



「それで聞きたいんだ神様。 茜の容態って言霊でもどうにか……」



 オレが確信に迫ろうとしたところで神様が『待てダイキ』と話を遮る。



「なんだ」


『ーー……かう』


「え?」


『ワシもすぐにそっちに向かう!! 正確な住所を教えい!!』



 ーー……え。



「ええええええええ!!!! マジで言ってんの神様!!!」


『大マジじゃ!!』


「でも神様……移動手段とかどうするんだよ!! 新幹線とか……お金持ってんのか!?」


『そんなのどうとでもなるわいワシを誰だと思っておる!! 今こそこんな見た目の美少女だけど神じゃぞ!! KA☆MI!!』


「な、なんだよめっちゃ激しいじゃないか。 なんでそんなにガチになってんだよ」


『そりゃあそうじゃろ!! その娘……茜と言ったか!! あの子こそワシの一目惚れした相手なんじゃから!!!!』


「エエエエエエエエ!?!??!??!」



 その後神様の圧に負けたオレは素直に住所を教える。

 すると神様は『明日の昼過ぎには着けるよう向かう! 病院で待っておれ!』と言い残し、通話を切ったのであった。



 か、神様のやつ……マジか。

 でもアレだな、なんかとてつもなく心強い味方が増えたような気がするぞ。



 通話を終えて部屋の電気を消して横になっているとスマートフォンの画面が光る。



「ん?」



 視線を向けてみると病院の消灯時間は過ぎているはずの茜からのメール受信通知だ。



 ーー……茜。



「ていうかあれだよな。 神様とはいえ見た目は白髪のおじいちゃんなんだ。 それで小学生低学年の女の子に一目惚れって……オレが言うのもなんだけどロリコンが過ぎるだろ」



 オレはそんなことを呟きながらもメールを開き、あまり茜の負担にならないような時間までメールのやり取りを続けていたのであった。



【送信・茜】ていうか茜さんって何歳なの?


【受信・茜】14だから……学年で言ったら中2かな。


【送信・茜】なるほど。


【受信・茜】ダイきちくんは小5だよね? でもその体に入る前までは何歳だったの? 私より年上だったってことしか教えてくれなかったけど。


【送信・茜】逆に何歳だと思う?


【受信・茜】んー、話した感じだとまだ子供っぽさが抜けてなかったから大学生か高校生……もしかして私の1個上くらい?




 ーー……は?



 ◆◇◆◇



 時刻は大体夜の10時。

 茜に言われた『同い年くらい?』に納得のいかなかったオレは学年のマドンナ・水島に連絡を試みる。



【送信・水島】寝てたらごめん。 今大丈夫か?


【受信・水島】起きてるよー。 なにー?

 


 水島が起きていることを確認したオレは即電話をかけた。



「なぁ水島、ちょっと聞きたいことがあるんだが」


『いいよー、花ちゃん、あと30分くらいで寝るからそれまでなら』


「あのさ、オレって精神年齢どのくらいに感じる?」


『ーー……へ?』



 スピーカー越しから水島の気の抜けた声。

 


『えっとご主人様? なんでー?』


「ちょっと気になってな。 水島に聞くのが一番信頼性があると判断したんだ」



 なんたって水島はほら……前にエマが言ってたけど高校生並みの頭の回転の持ち主だからな。

 そんな水島の意見なら素直に受け入れられるだろ?



「で、どうだ?」


『うーん、花ちゃんの感覚でいいの?』


「もちろんだ」


『そうだねー、花ちゃんから見たご主人様は……』



 ーー……ゴクリ。



『そのまんまの11歳か12歳……うーんどっちなかぁー』



 ーー……エ?



 なんということだ。

 水島のやつ……まさかの小5小6のどちらかで悩んでやがる。



「え、水島、オレってそこらへん?」


『うん。 えっと……逆にご主人様、どれくらいがよかったの?』


「んー、まぁその、20代後半……少なくとも高校生以上かなーって思ってたんだけど」



 するとスピーカーから聞こえてくる水島の笑い声。



「な……なんだよ」


『あはは、ごめんねご主人様。 でも流石にそれはないかなー、だってぶっちゃけご主人様、花ちゃんと同じくらいじゃん』


「え」


『だからご主人様の精神年齢は花ちゃんと一緒の……、って、あああああああ!!!』



 突然水島が大声で叫び出す。

 あまりの声の大きさに驚いたオレはスピーカーから耳を離した。



「ちょ、うるせーぞ水島! どうした!」


『花ちゃん明日誕生日だったぁー!!』


「は!?」


『今壁にかけてるカレンダー見たら、明日、花ちゃんの誕生日って書いてた忘れてたぁー!』


「お……おう、そうか、それはおめでとう」


『えへーー、ありがとー、ご主人様ぁー。 あ、それで何の話だったっけ?』



 水島が純粋さ全開の声で尋ねてくる。

 急に叫び出したと思ったらこれか……調子狂うなぁ!



「おいおい勘弁してくれよ、さっきまでの話はほら……」



 ーー……あれ、何の話だったっけ。



『なにー? ご主人様も忘れちゃってるのー? あはははー、花ちゃんと一緒だねー』


「う、うるせー! お前のユルさで全部飛んでったんだよ!」



 思い出せないなら仕方ない。

 オレは水島に「もう切るぞ」と言いながら通話終了ボタンに指を添える。



『あ、待ってご主人様!』


「なに?」


『今日ね、三好さんたちと放課後遊びに行ったの。 その時の動画が面白かったからご主人様にも送るねー』


「え? いや別にそれは……」


『バイバーイ』



 こうして向こうから通話を切られてすぐに水島からのメールが届く。

 開いてみるとちゃんと動画ファイルが添付されていたのでオレはそれをタップ。 するとそこは……学校近くの商店街だろうか、アイスクリームを食べながら会話をしている三好たちが映し出された。



『ねー。 なんで佳奈、朝はポニーテールしてたのに、すぐに髪ゴム取ったのー?』



 ドSの女王・小畑がニヤニヤしながら三好の顔を覗き込むようにして尋ねている。

 なるほど……三好のやつ、ちゃんとポニーテールに戻してくれてたんだな。 制服姿のポニー三好を久々に拝みたいぜ。



『そんなの麻由香や美波が「どうして急に元の髪型に戻したの?」ってしつこく聞いてくるからじゃん!』


『もしかして……やっぱり理由あり?』


『だよね、ウチもそう思った』


『は、はぁ!? もし理由あったとしても言わないし! てか花江、なんで動画撮ってんのさ!』



『隙あり!』



 三好がこの動画を撮っているのであろう水島に突っ込んでいる隙をついて小畑が三好のアイスに齧り付く。



『あぁあああーーー!!! なにやってんの美波!!』


『いや、佳奈のアイス美味しそうだなって思って』


『同じ味じゃん!!!』



 そんな2人のやり取りを多田が「あはは」と笑っているのだが……



 んぎゃああああああああ!!!! オレもそこに混ざりたいよおおおおお!!!!!

 


 しかしアレかな、茜もこんなことしたいのかな。

 ーー……よし、似たようなことを明日試してみよう。


 

挿絵(By みてみん)



お読みいただきましてありがとうございます!

したの方に☆マークがありますので、評価していってもらえると励みになります嬉しいです!!

感想やブクマ・レビュー等お待ちしております!!!


●少し前に『いい色の塗り方ないかなー』と、ノリで描いたラフ描きイラストが丁度いい感じに使えそうだったので挿れました!!

仲の良さが溢れ出てて作者的に結構好きな1枚です♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 三人でアイスを頬張る……!! かわいい挿し絵ですな!! 精神年齢が若いダイキw
[良い点] メスガキ三人衆で百合百合も悪くないですね
2021/04/05 03:25 おれちゃん
[一言] 百合の世界に男が混ざったらいけないって、昔からのネット民が言ってたから、ダイキの身が危ない。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ