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278 再会と再買い!【挿絵有】


 二百七十八話  再会と再買い!!



 去年の夏休み以来か。

 夕方、ダイキの祖父母の家に到着したオレと優香。

 優香は家に着くなり前日の洗濯物を洗ってテキパキと干していく。



「悪いね優香」


「いいの、おじいちゃんは腰が悪いんだから。 おじいちゃんまで入院しちゃったらどうするの?」


「ありがとう」


「いえいえ」


「それにダイキまで来てくれるなんて」



 福田祖父が嬉しそうにオレに視線を移す。



「うん」


「学校は大丈夫なのか?」


「まぁね。 それよりもおじいちゃんやおばあちゃんが心配だし、お姉ちゃんのお手伝いとかしたいから」



 とは言ってみるものの、今オレにやれることは何一つない。

 なのでオレは福田祖父と一緒に座りながら優香の洗濯物干しを眺めていたのだが……



 突然優香が「あっ」と声を上げながら冷蔵庫へ。

 中を開けると「やっぱりかー」と苦笑いをしている。



「どうしたの?」


「ううん、ほら、もうすぐ夕飯でしょ? もし中にあまり入ってなかったらどうしようと思って見てみたら、案の定だよ」


「そうなの?」


「うん。 確かおばあちゃんって日曜・水曜・金曜に買い物行っててさ」


「あー、それで今日行ってないからあまりないと」


「そういうこと。 だからお姉ちゃん今から……」


「オレ行ってきます!!!」


「え?」



 突然のオレの立候補に優香が大きく目を開いてオレを見つめる。



「えっとダイキ……いいの?」


「うん」



 オレが頷くと福田祖父が心配そうな顔でオレの肩を叩く。



「なに?」


「でもダイキ、お店はここからちょっと遠いぞ?」


「大丈夫。 場所はスマホ見ながら行ったら問題ないし、おじいちゃんはお姉ちゃんとゆっくりしててよ」


「……大丈夫か?」


「大丈夫だから。 なんたって、このためにオレは来たんだからね!」


「ダイキ……立派になって!!!」



 こうしてオレは福田祖父からお金を受け取りちょっと離れた所にあるというスーパーへ。

 どうせ適当に歩いてたら着くだろうと軽く考えて出発したのだが……



「あーー、そうだった。 田舎の『ちょっと遠い』は『かなり遠い』だったんだ……」



 オレは普段の通学路よりも長い距離をひたすら歩き、外が暗くなってきた頃にようやくそれらしき建物を見つける。

 ……さすがは田舎のスーパー。 規模も1階建か。

 そりゃあこの距離を毎回歩いてたら福田祖母も健康だわなぁ。


 そんなことを考えながらオレは店内へ。

 なんというか都会にはない空気を吸い込みながら優香に頼まれていたものを片っ端から探していった。



「えっと、今日はお好み焼きだから、粉と卵と野菜と……それと……」



 あまり買い物慣れしていないオレにとってはこの規模の広さはありがたい。

 オレはあちこち探し回ることなく目的の品を次々と買い物カゴの中に入れていく。



「くくく……この調子だとオレ、買い物慣れしてると自分でも錯覚してしまいそうだぜ」



 あっという間に買い揃えていったオレは最後の品、お好み焼き用ソースのある場所へ。

 もちろんそれもあっという間に見つけられ、オレはそれに手を伸ばしたのだが……



「あー、やっと見つけれたぁー。 もー、なんで陽奈が買いに来ないといけないのさー」



 隣から聞き覚えのある名前と声。

 ふとそこに視線を向けてみるとそこには……



「ーー……え、陽奈?」


「ほよ?」



 オレが「陽奈」と呼ぶと女の子がこちらを振り向く。

 しかしそこにいたのはオレの知っている褐色少女ではなく色白の少女で、色白の少女はジッとオレを見つめている。



挿絵(By みてみん)


 

 うわあああああああ!!! 人違いだったやっちまったあああああああ!!!!!



 オレはあまりの恥ずかしさから慌てて頭を下げた。



「えっと……あぁ、ごめんなさい、人違いで……」



「ーー……ダイきち?」



 え。



 色白少女の目が少しずつ大きく開かれオレに顔を近づけてくる。



「ダイきち……ダイきちだよね?」


「えっと……うん、誰でしょう」


「陽奈だよ!! 何言ってるん!?」


「ひ、陽奈!? でもお前肌が全然日に焼けてない……」


「そりゃあ夏じゃないんやけん当然やん!!」


「えええええええええええ!?!?!?」



 オレは高速で瞬きを繰り返しながら陽奈を見つめる。

 でも確かにそうだよな、陽奈のイメージって夏場に見てたから褐色感が強いだけであって、夏が終われば誰でも日焼けは治っていくものだ。



「なんか……その色白っぽさ、愛莉さんっぽいな」


「へ? ダイきちってお姉ちゃん見たことあったっけ」


「えっと……あ、なんとなくそう思っただけ。 陽奈の話聞く限りだと色白っぽい大人しそうな感じなんだろうなって」



 あっぶねぇ……、オレに愛莉さんが視えてたことは誰にも言ってなかったんだった。



「そうなんだー!! でも、うん! ダイきちの言う通り、お姉ちゃんめっちゃ肌白かった!」


「そうか」


「えー、陽奈、お姉ちゃんに似てるんだー、嬉しいなー! あ、それはそうと、なんでダイきちここいるん?」



 陽奈が思い出したように首を傾げる。



「あぁ、実は……」



 オレがここに来た訳を簡単に説明すると、陽奈は大きく「へぇー!」と頷く。



「ダイきちも優香ちゃんも凄いね! なんか困ったことあったら陽奈にも言ってよ! 出来ることあったら手伝うけん!」


「なるほど、それはありがたい」



 オレは陽奈に「サンキュー」と言いながら棚に並べてあったお好み焼き用ソースをカゴに入れる。



「へぇー、ダイきちの家も今日お好み焼きなん?」


「あぁ。 てことは陽奈もか」


「うん! それで陽奈も買ってこいって言われたから買いにきたんだー!」



 陽奈が「えへへ、一緒やねー!」と笑いながらオレにソースを見せつける。



 ーー……あ。



「えっと、陽奈、ちょっといいか?」


「なに? 早速陽奈にお願い事!? いいよ!!」



 陽奈が目をキラキラさせてオレを見つめながら大きく頷く。

 しかしオレはそんな陽奈を無視してゆっくりと手を伸ばし……



「いや、てかお前の持ってるそれ、ウスターソースだぞ」



「へ?」



 陽奈が一瞬固まりながらゆっくりと自分の持っているソースに視線を下ろす。



「これ、ウスターソースって言うん?」


「いやそう書いてんだろ」


「それってさ、お好み焼きのソースとは違うん?」


「いや隣の列見ろよ。 ちゃんとそこに『お好み焼き用』って書いてんだろ」


「ーー……ソースって全部一緒じゃないん?」



 陽奈が「アレ?」と目をパチクリさせながら首を傾げている。

 も、もしかしてコイツ……三好以上にヤバいやつなんじゃないのかあああああ!?!?



 その後オレは陽奈の持っていたウスターソースをお好み焼き用ソースにチェンジ。

 陽奈と共にレジに並び、店を出た所で解散したのだった。


 帰ってる途中、はじめこそ陽奈のやつバカだなーとか考えながら歩いていたのだが……



「ーー……この荷物持ってまたあの距離歩くのかよ。 しんどすぎる」



 こうしてオレは再び時間をかけてようやく帰宅。

 家に着いた頃には両腕の握力が幼稚園児並みに弱っていたのだった。



「おかえりダイキ」


「た……ただいま」


「こんなにたくさん大変だったでしょ」


「ううん、まぁギリギリ」



 オレは荷物を下ろすと、疲労感からその場でしゃがみ込む。

 すると中を確認していた優香が「あっ」と一言。



「え、どうしたの?」


「ううん、なんでもないよ」



 優香は苦笑いで首を左右に振ってはいるが……



「いやいや、オレ何か買い忘れてた?」



 オレがそう尋ねると優香は申し訳なさそうに「……うん」と小さく頷く。



「え!? なに!?」


「えっと、買い忘れって言うか……ダイキが買ってきてくれたの、お好み焼き粉じゃなくて薄力粉……」



「ーー……エ」



 優香の持つそれに視線を向けると確かにそこには『薄力粉』の文字。



 ぎゃああああああ!!!! 陽奈ごめんんんん!!!! 人の事言えねええええええええ!!!!!



「すぐに買ってきまああああああす!!!!」


「えぇ!? ダ、ダイキ!?」



 こうしてオレは再びそこからクラウチングスタート。

 なんとか閉店ギリギリに到着したオレは、ちゃんと『お好み焼き粉』を購入して家へとダッシュで帰ったのだった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 陽奈ちゃん再登場だ! やったぜ!
[一言] ふへへへ……! お、追い付きましたよぉ……! いやぁ、ダイキの行動力は素晴らしいですね! まあ優香みたいな天使なお姉ちゃんが居たら当然ですがね!← おひさしぶりの田舎生活……今度はどんな…
[一言] 最近の粉物って、イラストがあったりするから「大丈夫、僕最強だから間違いにくいはずなんだけどね(笑) ダイキはドジだなぁ
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