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265 エマの弱点発見!!


 二百六十五話  エマの弱点発見!!



「まさかユウリちゃんがエマの知り合いだったなんて……!! エマ大好きーーー!!!」



 昼休み・教室前の廊下。

 エマを発見したドSの女王・小畑が勢いよく飛びかかり抱きしめる。



「えぇ!? ミナミ!?」



 小畑のやつ、かなり興奮してんなぁ。

 まぁそうか……だって今をときめくアイドルのリーダーの知り合い……というか親友がまさかのエマだったんだからなぁ。


 エマはトイレにでも行きたかったのだろうが、小畑の質問攻めに捕まってしまい身動きが取れなくなってしまっているようだ。



「ねぇねぇ!! 昨日あれから何喋ってたの!?」


「い、色々よ」


「てかさ、どういう経緯で知り合ったわけ!? エマってフランスに居たんだよね!?」


「そ、それも話せばややこしいのよ!」



 エマが小畑の質問を華麗にかわしていると、何かを思い出したのだろう、「あっ」と声を漏らしながら視線を小畑に向ける。



「そうだミナミ、あのさ」


「うん?」


「昨日ユリが『あのアイドル志望の子に答え話してあげなきゃ』って言ってたけど……どうする?」



 エマの言葉に小畑の目が大きく開く。



「ええええええ!?!? いいのおーーーー!?!?!?」


「いいんじゃない? ユリ、今日はなんかマネージャーと話してからエマん家に来るって言ってたからあれだったら一緒に帰りましょ」



 エマはスマートフォンを取り出しながら「もし来るなら連絡しておくけど?」と首を傾げる。



「ーー……うそ、マネージャーって、メイプルドリーマーのマネージャーさん?」


「そ、そうよ」


「え、なんでエマが赤くなってんの?」


「な……なんでもないわよ。 ととと、とりあえずじゃあ放課後ね! エマは今からトイレ行くからそろそろ解放してちょうだい!」



 こうして小畑は「あはは、ごめんごめん」と謝りながらエマを解放。

 結構限界が近かったのかな? その後エマは小走りでトイレのある方へと向かっていったのだった。


 ーー……それにしてもエマのやつ、メイプルドリーマーって聞くだけで恥ずかしがるなんて可愛いよな。

 てことはもしエマの近くで『あなたがいたから』を歌ったりなんてしたら……ククク、想像するだけでも面白いぜ!!!



 ◆◇◆◇



 そしてそんな帰宅途中。

 


「あなたのおかげで私は咲いている〜♪」


「ぶぅーーーーーーっ!!!!」



 突然歌い出した小畑の隣でエマが盛大に吹く。



「えええ、どうしたのエマ」


「ちょ、ちょっとミナミ、なんで急にそのフレーズ口ずさむのよ」


「えー、いいじゃんいい歌詞じゃない?」


「そ、そう?」



 エマがゆっくりと目を閉じながら深呼吸をする。



「と、とりあえずその曲口ずさむのは勘弁して頂戴」


「なんで? エマこれ嫌いなの?」


「い、いや……そういうわけでもないんだけど……」


「花びら全て舞い散るとしてもあなたを忘れない〜♪」


「ブフーーーーーーーっ!! ちょっとミナミーーーー!!!」


「あははははは!!! エマ、おもろーーー!!!」



 ーー……グッジョブ女王様!!!



 ◆◇◆◇



 家に着くと先に帰っていたエルシィちゃんがテチテチと玄関の方まで出迎える。



「おかりー!! あ、だいきと、エマおねーたんの、おみまい、きてくれたー?」



 エルシィちゃんが目をキラキラさせながら小畑を見つめる。



「お見舞い?」


「あ、そうそう。 ほら、前にエマが倒れて入院した時、ミナミお見舞いに来てくれたじゃない。 エルシィ、その時のことを言ってるのよ」



 エマが「そうよね」と尋ねるとエルシィちゃんが元気よく頷く。



「あー、あったね! 確かあの日に私らニューシーの話で仲良くなったんだっけ」


「そうそう! エマが手毬担でミナミが小柴担の話をしてた時ね」



 そういやそんなこともあったなぁ。

 オレが懐かしんでいる間に小畑とエルシィちゃんの自己紹介が終了。 オレを置いて玄関の中へと入っているところだった。



「ほら、何ボーッとしてんのよダイキ。 早く入りなさい」


「あ、はい」



 エマにエルシィちゃん、小畑にオレか。

 なかなか異色の組み合わせだけど……



「ねぇエマ」



 オレはエマの部屋へと向かっている最中、エマの背中を軽く叩く。



「なによ」


「そのさ、オレ……いる?」



 できればオレは早く帰って結城のプライベートタイムを眺めていたいんですけど……。

 そんな願望を脳内で語りかけていると、エマが「当たり前じゃない」と断言する。



「え? なんで? オレ、なんかそこにいて役目ある?」


「えぇ。 あるわ」


「なに?」



 首を傾げながら尋ねると、エマは静かにオレの耳に顔を近づけ小さく囁く。



「ほら、ダイキも昨日ので分かったでしょ? ユリって結構なバ……天然ちゃんなのよ。 だからいつエマのことを楓呼びしたり同級生的な絡みをしてくるとも限らないわ。 だからその時はうまく誤魔化して欲しいのよ」



 ーー……は、なんでオレが?



「あのなぁエマ、そういうのは自分で……」


「お願い! あと半月くらいでバレンタインじゃない? チョコあげるからー!」



 ーー……!!!

 ムム、バレンタインとな?



 そういやそんなイベントあったなぁ。 今までの人生でまったく意味を成さないイベントだったからすっかり忘れていたぜ。

 というより……



「おいエマ、今の話は本当か?」



 オレの真剣トーンの質問にエマは「もちろんよ」と頷く。



「当たり前だけどちゃんと手作りをあげる予定よ? どう? 悪くない話だと思わない?」



 うむ悪くない。 ていうか明らかに良い話だ。

 オレはクールに頷くと右手を差し出す。



「よし、契約成立だエマ」


「よかったわ」


「できればチョコに『大好き』ってメッセージを添えてくれ」


「仕方ないわね」



 よっしゃああああああああ!!!! 今まで憎らしかったバレンタインが初めて楽しみに思えてきたぜえええええ!!!

 


 こうしてオレたちはユリが到着するまでエマの部屋で雑談。

 ユリが到着したとの連絡をエマが読み上げると、改めてオレは背筋を伸ばし、気を引き締めるために自らの頬をペシンと叩いた。



「だいき、どしたぁ?」


「え?」


「だいき、ほっぺ、ペシンしてたー。 いたいー?」



 エルシィちゃんが不思議そうにオレを見上げている。



「まぁうん。 痛いけど気合をいれる為にわざとやったというか……」



 オレが説明していると、エルシィちゃんがオレの頬に手を伸ばす。



「ん? エルシィ……ちゃん?」


「いたいのいたいの、とんでけぇーーー♪」




 ぐっはあああああああああああ!!!!!!!

 



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― 新着の感想 ―
[良い点] エルシィちゃんがかわいいんじゃあ! (*´ω`*)
[良い点] だいきの野郎、ちゃっかりエマとの外堀も埋めにきてやがる… 将来刺されるな
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