25 終わらないセクハラ
二十五話 終わらないセクハラ
結城を連れて家に帰ったオレたち。
優香はリビングに入るなりすぐにキッチンへと向かい冷蔵庫を開けた。
「桜子ちゃん、ご飯もう食べた?」
そんな優香の問いかけに結城は静かに首を左右に振る。
「まだ。 人が少なくなってからコンビニで買って食べるつもりだったから」
「そっか。 じゃあ今から何か作ってあげるから、お風呂入っておいでよ」
「え、でも……」
「いいからいいから。 ほらダイキ、案内してあげて」
「はーい」
オレは結城を浴室に案内。 そこでシャワーやリンス、ボディソープがどれかを説明した後にリビングへと戻った。
「ちなみにお姉ちゃんさ、なに作ってるの?」
「焼きそばだよー。 明日のお昼にするつもりだったけど、明日は他の作ればいいし、まぁいいでしょ」
そう言うと優香はテキパキと焼きそばを作っていく。
それにしてもいい香り……晩御飯を食べたオレでもまたお腹が空いてくるぜ。
オレは特にやることもなかったため優香の作業をしばらく観察。 すると突然優香が何かを思い出したかのように「あっ」と小さく声を出した。
「どうしたのお姉ちゃん」
「そうだダイキ忘れてたよ。 さっきコンビニで買ったもの仕分けといてくれるかな。 ジュースは……お姉ちゃんの分は桜子ちゃんにあげることにするから冷蔵庫入れておいてくれる?」
「はーい」
オレは床に置かれたままになっていた袋を持って冷蔵庫の前へ。
ジュースを取り出して冷蔵庫へと入れていき、他に入れるものがあったかなと袋の中を確かめることに。 「えーと、あとは……綿棒と、パンと、お菓子と、電池と」と声に出しながら袋から出していっていたのだが、そこで事件は起きた。
「どうダイキ? もう冷蔵庫系なかったっけ」
「うん。 後入ってるのはこの絆創膏とー………ん? んんん???」
オレは最後に袋の中に1つだけ残った【絆創膏の入っているであろう箱】を手に取り目を近づける。
コンビニで優香が『絆創膏』と言いながら買い物かごに入れてた箱……その時オレはちゃんと見てなかったから気づかなかったのだが、違うぞこれは……!
「ん? どうしたのダイキ」
オレが箱を眺めたままフリーズしていることに気づいた優香が顔を覗き込んでくる。
これは……言うしかないのか?
流石に無言のまま押し通すことが無理だと感じたオレは正直に話すことに。
「えっとお姉ちゃん、この箱……」と言いながら優香に箱を差し出した。
「うん、絆創膏だね。 200枚入りって書いてたからちょうどいいやと思って。 それにしてもすごいよね、そこまで箱のサイズ分厚くないのに200枚も入ってるなんて」
優香はまるで「それがどうしたの?」といった表情で箱からオレの顔へと視線を移す。
「いや、お姉ちゃん。 『200枚』じゃなくて、ここには『0.02mm』って書いてますけど……」
「え? そんなわけないよ。 それにさ、逆に0.02mmってなに? ちょっと見せて」
優香が冗談っぽく笑いながら手を伸ばしてきたのでそれを渡す。
オレはいつ優香が気づくのかと胸や下半身をドキドキさせながら見上げていたのだが……
「あっ本当だ、0.02mmって書いてる。 なんだろこれ……印字ミスかな」
優香がポツリと呟く。
いや、オレは悪くないよ? だってオレが選んだわけでもないし。
さらに優香は首を傾げながらも箱の裏面を確認。 声に出して読んでいった。
「えーと、限界の薄さ……男性用避妊……え? ええええええええええ!?!?!?!?」
箱の正体が分かったんだろうな。 優香は一気に顔を赤面させて持っていた箱を床に落とす。
それもそのはず……もう皆も分かっていると思うが、優香が持っていた箱はあの小さな四角い袋に入ったアレが大量に入っているものだったんだ。
てか普通これと絆創膏を買い間違えるか!? どんだけ天然なんだよむしろ可愛いよ!!
どうせならもう……これ使って楽しんじゃうよ!!
オレはこみ上げるドS心を隠しながら優香へセクハラすることに。
「お姉ちゃん、今ので怪我してない? あれならちょうど絆創膏買ったんだし、貼ってあげようか?」と優香の落とした『絆創膏』の箱に手を伸ばした。
「うわあああああ!! いいよ、お姉ちゃんどこも怪我してないし!」
顔面真っ赤で動揺した優香が落ちた箱を蹴りオレから遠ざける。
しかしもう遅い! オレのドSの炎はすでに灯っているんだぜ!!!
オレはそのまま何も知らない演技を続けることに。 「あ。 じゃあお姉ちゃん、あの絆創膏さ、怪我した時用に数枚もらっていい?」と純粋な表情で尋ねる。
「え、あ……いやあのねダイキ、お姉ちゃん実は買うもの間違っちゃってて……あれ絆創膏じゃなかったの」
優香が蹴飛ばした箱をチラ見しながら言葉を詰まらせる。
「え、じゃああれ何ー?」
「えーと、あれはねぇ……」
優香のやつ、今必死に言い訳を考えてるんだろうな。 目がかなり泳いでいるぞ。
ここは追撃あるのみ。
「0・02mmって何?」
「ナンダロウネ、お姉ちゃんにもわかんないな」
「でもさっきお姉ちゃん箱の後ろ読んでるときに男性用……とか言ってなかった? だったらオレ用なのかな?」
「ああああああ!!! えーと、それはそうなんだけどまだダイキには早いっていうかなんていうかああああ……」
優香がオレの……どことは言わないが下半身あたりに視線を向けながらアタフタと慌て出す。
うおおおおお!!! この恥ずかしがりながらも無知な弟に言葉を選びながら説明していく感覚……たまらんぜよおおおおおおお!!!
「そうなの? じゃああとどれくらいしたら使えるようになるの?」
「そ、それは人それぞれだとは思うけど、お姉ちゃんにはよく分からないなぁ」
「じゃあさ、オレが使えそうな時が来たらお姉ちゃん教えてよ」
「え……えぇ!?!? な、何を!?!?」
「それの使い方だよ。 お姉ちゃんはその使い方知ってるっぽいし……あれなら今使わなくてもいいから見せて欲しいな」
「ええええええええ!!!???」
優香よ、そんなに見つめないでくれ……そんなに凝視されたら緊張で固くなってしまうじゃないか。
ーー……体がね。
「お姉ちゃん、なんで下向いてるの? オレの足になんかついてる?」
「うわああああ……! ごめんなさい、なんでもない、なんでもないからぁーー!!」
「もしかして男性用ってことは……お姉ちゃん、あの絆創膏を使う場所って男の人の……」
「きゃああああ!! もういい、もういいからその話題やめてよダイキーーー!!」
ニヤァ!!!!
こうしてオレは結城がお風呂から戻ってくるまでの間、優香を照れさせるようなギリギリの質問を永遠と繰り返していたのだった。
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