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245 結城ナイト!


 二百四十五話  結城ナイト!




「いやぁ……あれは天国だった」



 夜中。 優香と結城……2人との夢のようなお風呂タイムを終えたオレがソファーの上で寝転がりながら幸せの余韻に浸っていると、静かにリビングの扉が開けられる。



「ん?」



 扉の方を確認してみると、結城が儚げな表情でこちらを見つめていた。



「えっと……結城さん、どうしたの?」


「あの……ね、福田……くん。 まだ起きてる?」


「まぁ、うん。 どうしたの」


「ちょっと相談したいことがあって……」



 ーー……ん? 相談? こんな時間にわざわざオレに?

 

 オレは首を傾げながら結城を見つめる。



「あ、でも福田……くんも疲れてて眠いよね。 ごめんね、やっぱり……いいから」



 結城がオレの返答を待たずにくるりと体をダイキ部屋の方へと向ける。


 ーー……え、ちょっと待ってくれ。

 もしかしてこれって……この時間帯にオレに話があるってことはもしかして!!!!!



 告白じゃないのか!?!?

 オレのこと好きって言ってたし絶対そうだよな!!! キタァーーーーーー!!!!!!!



 そうと分かれば話は早い!

 オレは足の痛みなんか気にせずに勢いよく上体を起こすと結城に声をかける。



「あ、結城さん待って! いいよ、オレまだ眠くないから!!」


「えっ……」


「だからほら、こっち来なよ」


「い、いいの?」



 結城がひょこっと扉から顔を覗かせ尋ねる。

 ちくしょうやっぱり可愛いぜマイエンジェル!!

 


「もちろんだよ。 結城さんのためならオレは、例え火の中水の中草の中森の中、土の中雲の中あの子のス……ゲフンゲフン!!! とにかく、どんな状況でもオレは結城さんの話を聞くから」


「う、うん。 ありがとう福田……くん。 それじゃあ……」



 こうして日付も変わろうとしている時間帯にオレは結城を隣に座らせ、まぁ告白されるのであろう未来を思い描きながら話を聞くことにした。



 ◆◇◆◇



「それで結城さん、その……相談ってなに?」



 オレが心臓をバクバクと脈打たせながら結城に尋ねると、結城は神妙な面持ちでオレを見つめる。


 ほらやっぱりだ!! こんな表情でオレを見てるってことはもう……!!!


 オレは小さく開かれた結城の口に視線を向ける。

 ……しかし結城の口から発せられた言葉はオレの予想とはまったく違った内容だったのだ。



「あのね……私、あれから気になってたんだけどさ、もし私が高槻先生と暮らすことになったら……その、やっぱり校区とかあるし、転校することになっちゃうのかな」



 ーー……え。



「えええええええええ!? 転校!?」



 オレは思わず声を荒げる。

 確かにそうだよな。 高槻さんの家がどこにあるかは分からないけど……もし学校から離れていた場合、転校というイベントが必ずしもないとは言い切れない。

 


「うん。 私、やっと友達少しずつ増えてきたのに……また1から始めないといけないのかな……」



 結城が寂しそうに俯きながら呟く。

 え? てことは……だ。 おそらく高槻さんのことだから、もし結城が転校することになったとしてもなんとかしてオレたちとの接点は作ってくれるはずだ。

 でもそうなった場合、もう学校内で結城の姿を見ることも、声も聞くことも出来なくなるってことだよな?

 


 うわああああああ!!! あんまりだああああああああ!!!!



 オレは結城の肩をガシッと掴んで真剣な眼差しを向ける。



「ふ、福田……くん!?」


「結城さん」


「は、はい」


「それはとても気になるし重要なことだから明日一緒に高槻さんに聞きに行こう」



 もし校区から離れてたとしても、頼み込んだらもしかするとどうにかしてくれるかもしれないし……まずは高槻さんの家の場所を聞いてみないことには始まらないよな。


 そんなことを考えていると結城が「あ、あのね……もう1つあるの。 話したいこと……」と言いながら肩に置いたオレの手を握ってくる。

 あぁ……柔らかい温かい可愛い。



「えっと……なにかな」


「あのね、これもママの病室での話なんだけど……」


「うん」


「なんで福田……くん、私とその、結婚する……って言ったの?」



「え」



 結城が少し頬を赤らめながら上目遣いでオレに尋ねる。



 うっひゃああああああ可愛えええええええ!!!!

 ーー……じゃなかった、

 

 それ覚えてたのかよ結城ぃいいいいいいいいい!!!!!



 オレは顔を真っ赤にさせながらあからさまに動揺する。



「え、えっとあれは……ね、なんと言いますか……」


「前にエマとエルシィちゃんと私、誰と結婚したいって話になった時に福田……くん、『お姉ちゃん』って言ってたでしょ。 だから福田……くんはお姉ちゃんと結婚したいって言うのは知ってたんだけど、どうして私になったのかな」



 あー、そういえばそういう話しましたねぇ!

 ていうか結城、あれ本気でそう信じて今日まで過ごしてきたわけですか。 どんだけ純粋なんだよ……まぁその純粋さも好きなんだけどさぁ。

 

 オレがどう返そうか黙り込んでいると、結城が「福田……くん?」と顔を覗き込んでくる。



「えっと……ごめん、オレも正直なんであんな言葉が出てきたのかわからない」



 まぁ結婚はしたいけど本当にどうしてそういう答えが出てきたのかはオレも分からないしな。 この言葉に嘘はない。

 真実を知ってるのはオレの脳内に現れた天使・エルシィちゃんだけなのだから……。



「そっか……ううん、私の方こそごめんね、こんな時間なのに福田……くんを困らせちゃって」



 結城が小さくオレに頭を下げる。



「いやいやオレの方こそなんか困惑させちゃったみたいでごめん! えっと……じゃあ確かに夜も遅いしもう寝よっか」


「うん」



「ーー……」

「ーー……」



 ん?



 なんでだろう。 さっき結城はオレの「寝よう」に対して「うん」って答えたよな?

 なのになんでここから立ち去ろうとしないんだ?

 何か理由があるのだろうかと考えていると、結城がオレの服の袖をちょこんと摘みながらオレの名を呼ぶ。



「あの……福田……くん?」


「え、はい」


「その……私まだ心がモヤモヤしてて……。 今日だけでいいからさ、一緒に寝ても……いい?」



「HA?」



 その後流石にソファーの上で2人で寝るには無理があるためオレは結城に連れられダイキ部屋へ。

 同じベッドに入りしばらくすると、安心したのか結城はこちらに顔を向けて体を丸めながらスヤスヤとすぐに眠り始めてしまったのだが……



 こんな状況で寝れる男がいるわけなかろうがああああああああああ!!!!



 今は冬!! 同じ毛布の下ということもあり結城の体温がオレの全身を包み込み、そして何より香るんだよ……結城の甘く素敵な香りがああああああ!!!!!!


 オレはすぐ隣で寝ている結城の寝顔をガン見しつつ、寝息の音を脳に刻み込みながら翌日の朝を迎えたのだった。

 

 まぁ結城が眠ってすぐにリビングに移動して寝るという選択肢もあったんだけど……こんなに結城と至近距離になれる機会なんてあまりないし、結城が途中で目を覚ました時に不安な気持ちにさせたくなかったからな。


 とりあえず結城は途中目覚めることもなく熟睡出来てたようで安心したよ。

 そしてその日の朝食中……



「ねぇダイキ」


「なにお姉ちゃん」


「なんでさっきから自分の腕とか手の甲とか匂ってるの? 香水でもつけた?」


「え」



 や、やべぇ。 オレとしたことが無意識に結城の香りに酔いしれていたなんてな。

 学校とかでは怪しまれないように気をつけないと。



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