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226 復讐の力!?


 二百二十六話  復讐の力!?




「エマさん!! あの2人のハンカチだよ!!」



 味方のモブ男たちが武藤・三枝から奪ったハンカチをエマに渡す。



「ありがとう。 怪我してない?」


「「うん!!」」



 なんかモブ男たち……めちゃくちゃ嬉しそうだな。

 武藤たちに視線を向けると2人ともかなり悔しそうな顔をしながらオレたちを睨みつけている。



「くそ!! 大人数とか卑怯じゃねえのか!?」



 おいおい武器持って殴ろうとしてた奴らがよく言うよ。

 オレが武藤たちの言葉に呆れているとエマは彼らの言葉を無視してオレのもとへ。 目の前でそのままゆっくりとしゃがみこんだ。



「ーー……エマ?」


「ダイキ、お腹押さえてるけど大丈夫? 立てる?」


「ま……まぁなんとか」


「それにしても一瞬とはいえ、アンタがまさか果敢に立ち向かおうとしてたなんてね」


「う、うるせぇよ」



 オレが少し照れながら目をそらすと、エマは「はいはい、それにしてもよく頑張ったわね」と頭をワシャワシャと撫でる。



「ちょっ……何すんだよ」


「いいじゃない。 頑張ったご褒美よご褒美」


  

 エマよ、少しは察してくれ。 

 お前がオレの頭を撫でているその行動のせいで……エマ推しの男子たちからのヘイトがオレに向けられているのをビンビン感じるぜ。

 


「ーー……もういい、大丈夫だエマありがとう」



 オレはエマの手をやんわりと払いのけてゆっくりと立ち上がる。

 時間的にあと10分くらいか。 これなら……



「え? ダイキどこ行くの?」


「だって終了時間あと少しだろ。 どこかで隠れて時間を潰す」



 オレは後ろにいた三好に「行くぞ」と声をかけ、正面玄関の方に視線を向けた。

 


「だったらダイキもカナも、エマたちと一緒に行動すればいいじゃない」



「「え」」



 オレと三好が揃ってエマに視線を向ける。

 確かにそうだ。 それは願ったり叶ったりな状況なのだが……



「いいのか? オレはお腹やられてて……三好は足をバッドでやられてる。 足手まといになるかもしれないぞ」



 オレの言葉に三好も「うんうん」と頷く。



「何言ってんのよ。 今このエリアで1番安全なところってエマたちのところだと思うけど?」



 エマはそう言うと水島や西園寺たちに視線を向けながら「そうよね?」と尋ねる。



「ごしゅじ……コホン。 福田くん、その通りだよーー。 あの目くらまし攻撃思いついたの花ちゃんなんだからーー。 もしたくさん敵が来ても、あれ投げたらこっちのものなんだからぁーー」



 水島がピースサインをしながらオレにユルく微笑みかける。



「ーー……そうなの?」


「そだよーー。 この花ちゃんのアイデアで結構敵の動き止めれてるんだからー」


「なるほど……」



 先ほどオレと武藤の間に投げ込まれたものに視線を移すと、そこに落ちていたのは黒板消し。

 てことはさっきの白い煙幕みたいなものはチョークの粉だったのか。 なるほどな、だからかなり咳き込みそうになったわけだ。

 ……それにしてもズル賢い戦法。 さすがは計画性のある水島だな。



 ふむ。 西園寺も元々はいじめグループのリーダーをしてたんだし……


 パッと分析してみると水島と西園寺が策略係でエマが指揮してるってところだろうか。

 それに3人は学年3大マドンナ……常に3人がファン・親衛隊に囲まれていて絶対的な安全が確保されている……下手なところに身を潜ませるよりも十分に安全かもしれない。


 

「ーー……じゃあ、あと10分だけど、よろしく」



 こうしてオレと三好は3大マドンナグループに保護されることになったのだった。



 ◆◇◆◇



 校舎内正面玄関付近に陣をとり、オレと三好が安全なところで休んでいると突然女子の叫び声が聞こえてきた。



「ああああ!!! 私のハンカチがなくなってるーー!!!」

「うわあああん!! 私のもーー!!!

「なんでええええ!?!?」



 声がしたのはさっきまでオレと三好が武藤たちと睨み合っていたところ。

 どうやらそこで見張りをしながら雑談していた女子たちのハンカチがなくなっていたらしい。



「おい何やってんだよ女子ー!」

「何もしてないって! 相手校の生徒の姿も見えてないのに盗られるわけないじゃん普通!!」

「じゃあなんで盗られてんの? 落としたの?」

「そ、それは……うわああああん!!!」



 盗られた女子たちが大げさではないかと言ってもいいくらいに泣きじゃくりながらプールサイドへと向かっていく。



「ーー……おいおいマジかよ、おっちょこちょいだなぁ」



 オレの心の声が口から漏れる。


 競技終了まで残り5分くらい……これで負けたりしたらオレの頑張りが全て水の泡になっちまうじゃねぇか。

 オレが内心かなり焦っていると三好がオレの肩をポンポンと叩いてくる。



「ーー……なんだ? お前も無くしたのか?」


「ううん、多分だけどさ……綾小路さんじゃないかな」


「え」


「ほら、同じ制服なんだからみんな警戒しないっしょ?」



 ーー……!!! 確かにありえる線だ。

 武藤たちの件で色々ありすぎて忘れていたけど、そういやいたな綾小路恵!!

 


「お前よく覚えてたな」


「でしょ?」



 三好がフフンと自慢げに無い胸を張る。

 まさか今日1日で三好の推理に2度も驚かされることになるなんてな。

 


「ならあいつの居場所は簡単だ」


「へ? なんで?」



 オレはゆっくりと視線を別の方へ。

 三好は頭上にはてなマークを浮かべているけど、綾小路の目的はただ1つ。

 


「西園寺!! 後ろだ!!!」



 オレは下駄箱付近でエマたちと雑談をしていた西園寺に大きく叫ぶ。



「え、なに福田く……」


「ノゾミ、危ない!!!」



 オレの言葉にいち早く気づいたエマが西園寺の腕を引っ張る。



「エマ!? どうしたの!?」



 西園寺はまったく気づいていない様子だが、よくエマのやつ気づいたもんだ。

 そう、西園寺の真後ろで同じ制服を着た……まるで味方のような装いをしている女の子・綾小路恵がハンカチに手を伸ばしていたのだ。

 ーー……間一髪だったな。



「ちっ、気づかれちゃったか」


「ーー……エマの見たことない顔ね。 誰あなた」



 エマが眉間にシワを寄せながら尋ねるも綾小路はそれを無視。 他の人には興味はないようで西園寺だけを睨みつけている。

 


「綾小路……恵?」



 西園寺が小さく呟く。



「あ、アタシのこと忘れてなかったんだ。 せっかくあと少しでアンタのハンカチ奪い取れてたのに」


「いや、それはちょっと前にメールで……コホンコホン、なんで今まで学校来てなかったのにわざわざ……」



「そんなの決まってるじゃない。 復讐するためだよ!!!」



 綾小路はそう叫ぶとポケットに片腕を突っ込み何かを取り出す。

 最初こそちゃんと見えなかったが銀色に光る何かーー……あれは……



「……!! あのバカヤロっ!!」



 オレは腹痛を忘れて駆け出す。



「ーー……それカッターだよね、どういうつもり?」


「そんなの簡単だよ。 これで西園寺……あんたの顔に傷つけて、二度と人前に出れないようにしてやる」


「捕まるよ」


「いいよ別に。 アタシはあんたが苦しんでくれたらそれで」



 綾小路がカッターの刃をカチカチと上に出していく。



「ちょっと誰だか知らないけどやめなさいよ!! あなたタダでは済まされないわよ!?」


「外人は黙ってて!!!」



 鋭く光ったカッターの刃先がエマへと向けられる。



「!!」


「アタシの邪魔するんだったら君も同罪……一緒に怪我してもらうよ」



 くそ!! どんだけ恨みかってるのかは分からんが、オレの仲間を傷つけようとする奴はオレが許さん!!



「エマ!! 西園寺!! 下がれ!!!!」



「「!!」」



 綾小路のすぐ後ろまで迫ったオレはエマたちに叫んだ後に勢いよくジャンプ。

 スカートの中に手を突っ込み綾小路の動きを奪う、奥義・【パンツ・ロック】を発動させた……のだが。



「ーー……え、あれ?」



 パンツだと思って勢いよくずり下げたもの……それはパンツではなくまさかの青色のハンカチ。 おそらく競技中に味方校から奪っていったものだろう。

 オレは一瞬訳がわからずにハンカチを眺める。



「残念だったね」


「!?」



 見上げるとそこには薄気味悪い笑みを浮かべた綾小路の姿。

 カッターをカチカチと鳴らしながらオレを見下すように立っている。



「なんでお前、ハンカチをそこに……?」


「だってポケットに入れててもはみ出したら色でバレちゃうでしょ? だから絶対にバレないスカートの中……パンツに挟んでたってわけ。 残念だったね変態」


「なるほどな……これは1本盗られちまった」


「だね。 あと、アンタはアタシの邪魔をした……まずはアタシを怒らせたらどうなるか、西園寺に見せつけるとしようかな」



 綾小路がカッターの刃先をオレに向ける。



「ーー……え」


「別にアンタはイケメンでもないし、そこまで苦しまないかもしれないけど……まぁいいや、アタシの邪魔した罰だから」


「お、おい。 ちょっと待っ……!!」


「ばいばーい」



 この場から逃げたくても腹痛を思い出してしまい力が入らず。

 綾小路がオレの顔めがけてカッターを振りかざし、もうダメだと悟ったオレは力強く目を瞑った。

 


 ドスン



お読みいただきましてありがとうございます!!

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競技会編もあと少し! そして明日挿絵入れます宣言!!

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