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225 ドリームメンバー!【挿絵有】


 二百二十五話  ドリームメンバー!



「はは! バカが!! 自分達から敵地に飛び込んでくるなんてな!!」

「おい逃すなよ!!!」

「当たり前だ!!!」



 右方向・階段側から2人、左方向・廊下側から1人がオレたちの目の前に立ちはだかる。



「ちょっ……福田、これもう無理じゃん!!」


 

 オレに腕を引っ張られながら走っている三好が後ろから弱音を吐く。



「三好」


「なに!?」


「これは命令だ……絶対に逃げ切れええええ!!!」



 オレは廊下側にいた敵男にそのまま正面衝突。 敵男が怯んだ瞬間に三好の背中をドンと押し、敵男の向こう側へと三好を渡すことを成功させる。



「えぇ!? 福田!?」


「走れ三好ーー!!!」



 オレの声を聞いた三好はかなり動揺しながらも正面玄関の方へと走る。



「逃すか!! 追えーー!!」



 階段側にいた敵男たちも逃すまいと三好の後ろ姿に狙いを定めた。



「やらせるかモブキャラどもおおおおお!!!!」



 オレは目の前……体当たりを決めた敵男に向けて奥義【パンツ・ロック】を発動。

 ズボンを膝下までずり下げて動揺したところを勢いよく突き飛ばす。



「ぐあぁ!!」



 オレはそのまま次の標的を階段から降りてきた敵男2人に変更。 そのうちの1人に飛びかかり、これまたズボンに手をかけると今度は小畑直伝のあの技を使用する。

 


「くらえ対男子特化型殺戮奥義……名付けて、パンツアッパーーー!!!」


「ぎゃああああああああ!!!!!」



 オレは悶絶している敵男からハンカチを奪取。 

 続けてパンツロックをお見舞いした敵男に視線を向けると、知らない間にズボンを履き直していた敵男が「うわああ!!!」と叫びながら階段を駆け上がっていく。



「あ、くそ!!!」



 結局倒せたのは1人……しかしこれで三好を追っていったのも1人。 なんだかんだで三好の逃げ切れる確率は急上昇したってわけだ。

 それにオレもなんとか無事……これならあとで三好に連絡して合流すれば……



「よう、何やってくれてんの?」


「!!!」



 後ろからした声を聞いたオレは背筋を凍らせる。

 ーー……そうだ、忘れていた!! そういやオレたち、後ろから追いかけられてきてたからこっちに逃げてきたんだった!!!


 恐る恐る振り返ると、そこには木製バッドと清掃用ホウキを手に持った武藤と三枝。 



「ーー……あ」



「後ろから見てたけどさ、お前結構な勢いで攻撃してたよな」

「だったら俺らも同じくらいに力込めたっていいわけだ!! なぁ福田ぁ!!!」



 ぎゃああああ!! こいつら、ちゃんとオレのこと覚えてたあああああ!!!

 


 2人が武器を構えて不気味に微笑みながらオレのもとへと少しずつ歩み寄ってくる。

 これは……もしかしてヤバいやつ?


 オレが2人から距離を取ろうと一歩後ろに下がった……その時だった。



「ていやああああ!!!」


「!!」



 背後から声がしたかと思うと、何ががオレの顔の隣を通り過ぎて武藤たちのもとへと飛んでいく。


 あれは……上履きか!?

 

 何者かが投げた上履きが1人の顔にパシンと当たる。

 ーー……そういやどっちが武藤でどっちが三枝か分かんないままだったな。 まぁあまり興味ないからいいけどよ。



「あぁ!? お前何やって来てんだコラァ!!!」



 武藤っぽい顔の男がオレの後ろにいた人物をギロリと睨みつける。

 一体誰がこんなことを……

 オレが後ろを確認しようとしたそのタイミング……もう1人の三枝っぽい顔の男が大声で叫ぶ。



「おい三好ぃ!!! お前何やったか分かってんのか!!」


「!!!!」



 え、三好!?!?



 急いで後ろを振り返ると、そこには息を切らしながら武藤たちを睨みつけている三好の姿。



「おま……三好、どうして!」


「そんなの決まってんじゃん、やっぱ1人だけ逃げるなんてカッコ悪いしさ」


「いやカッコいいカッコ悪いは別にいいんだよ逃げ切れば!! てかお前を追って来てた男はどうした!?」


「あいつなら美波直伝のアレで倒したよ」



 三好が「ふふん」と自慢げな顔をオレに見せながら先ほど奪ったのであろうハンカチをヒラヒラと見せつけてくる。



「お……おぉ。 すげぇな」


「でしょ。 だから戻ってこれたってわけ」


「いやいや、その「だから」はいらねーから!! そのまま逃げとけよ!!」


「それはさっき言ったじゃん! 1人だけ逃げるなんてカッコ悪いって!!」


「だあああ、もう!! なんでお前はそんなに……!」



 オレと三好が武藤たちをそっちのけで言い合っていると、しびれを切らした武藤が持っていた木製バッドを力強く廊下に叩きつける。



「「!?!?」」



「ーー……おい、勝手に盛り上がってんじゃねーよ。 時間的にもあと15分ちょい。 福田だけボコボコにしようと思ってたけど変更だ。 三好、お前もその中の1人になった」



 武藤の木製バッドの先が三好にへと向けられる。

 


「ふん、やってみれば? 私だってそんな簡単にやられる気ないんだけど」


「あ? 何偉そうな口叩いてんだ!!」



 オレは次に起こった出来事に目を疑う。

 なんと挑発に乗った武藤が、三好めがけて勢いよくバッドを投げつけたのだ。



「三好!?!?」



 三好の無事を祈りながら振り返ると、三好は太ももあたりを両手で押さえながら片膝をついている。



「お、おい大丈夫か三好!!」


「う、うん平気。 ちょっと当たっただけだから」



 三好はそう答えてはいるがおそらく嘘だ。 額からは大量の冷や汗が流れており、表情はかなり強張っている。

 くそ……これなら素直に捕まってた方がマシだったじゃねえか。

 とりあえず武藤っぽい顔のお前……許さん!!!!


 オレはギロリと武藤を睨みつけるとそのまま床を勢いよく蹴り上げて突進。

 武藤のズボンめがけて手を伸ばす。



「くらえ!! 奥義・パンツ・ロッーー……」

「意気がるなインキャがああああああ!!!!!」


「ぐあっ」



 オレの腹部に武藤の強烈な前蹴りが炸裂。 オレはそのまま後ろへ吹き飛ばされて三好の目の前でうずくまる。

 


「ーーっ」



 あのやろ……本気で蹴りやがったな。

 


「ふ、福田!! 大丈夫!?」



 三好が後ろからオレの体を支えて声をかけるも、あまりの激痛でオレは声を出せず。 身体を細かく震わせながら首を縦に振る。

 あぁ腹が痛え!! 今はこの……後ろから支えてくれている三好の香りだけがオレの意識を保たせてくれているぜ。



「福田、ハンカチ置いて棄権しよ!? これ以上は無理だって!!」


「だ……めだ」



 オレは首を左右に振ってそれを否定。

 次の攻撃に備えて視線を武藤たちの方へと向ける。



「なんで!?」


「勝たないと……ダメ。 お、お姉ちゃんの為にも……」


「優香さん!? なんで優香さんがそこで……!」


「と、とにかく棄権は……しない! 三好だけでも……逃げて、失格者を減らさない……と!」


「福田置いて逃げれるわけないじゃん!! ここで私が見捨てたら武藤たちにボコボコにされるかもしれないんだよ!?」



 三好が激しくオレの肩を揺らす。



「それでも結果勝てるのなら……構わん」


「どうして福田……そこまでして……」



「お話の時間はここまでだ。 時間も迫って来てるんだ……ボコボコタイム始めるぞ」

「あぁ」



 武藤は先ほど三好に向かって投げた木製バッドを再び手に取ると、廊下にコツコツと叩きつけながらオレたちの方へと近づいてくる。



「三好……逃げろ」


「無理! 福田を置いてなんか行かない!!」


「ワガママ言うな……今度スカート捲るぞ」


「捲りたいなら捲ればいいよ! だから私はここから逃げない!!」


「ったく、面倒なお子ちゃまだなぁ」



 オレは力の入らない腹部に無理やり力を込め、ゆっくりと立ち上がる。



「お、なんだ福田ぁ。 まだ俺とやるってのか? いいぜー?」



 武藤が狂気の目をオレに向けてくる。


 ーー……パンツ・ロックが無理ならパンツアッパーだ。 あいつがオレの目の前でバッドを振り上げた隙をついて懐に潜り込み、奴の弱点を浮かび上がらせる。 そこで弱点に一撃与えられれば……武藤は沈む!!!

 逆にこれが失敗すればオレの背中に強烈なバッド攻撃が待っていて、三好にも被害が被ってしまう……何としてもパンツアッパーを決めなければ!!


 オレはすべての神経を武藤の動きに集中させる。



「いくぞおおお福田あああああ!!!!」

「必殺……パンツアッーー……!!!!!」



「はい、そこまでええええ!!!!」



「「!?!?」」



 オレと武藤が行動に出たのとほぼ同時。 突然どこからか声が響いたと思うと、オレたちの間に何かが投げ込まれ……そこから周囲に白い粉が勢いよく広がっていく。

 

 ーー……!? なんだこれは!! 

 あまりの視界の悪さにオレは堪らず目を瞑り、三好にもしもの事態が起きないようにノールックで後ろに体を向けると三好の上に覆いかぶさる。



「ふぇえ!?!? 福田!?!?」


「今何が起きてるかわかるか!?」


「わ、わかんない!」


「じゃあこうしてろ! どこから攻撃が来るかわからん!」


「う、うん」



 ……これは誰の仕業だ? 

 そんなことを考えていると、オレたちの両隣を大量の足音が駆け抜けていくのが横目で見える。

 その後、武藤たちの「ぐあ!!」「くっそおおお!!!」と言った悔しそうな叫び声が響き渡った。


 オレたちを無視してあいつらの悲鳴……てことはこの煙幕みたいな何かを放った人物は……!!!



「こんなところにいたのねダイキ」



「!!」



 オレは声のした方に視線を向ける。

 


「はろろーん、ごしゅじ……福田くーん」


「福田くん!! 苦しそうだけど大丈夫!? ちょっと苦しいくらいなんだったら、今度やって欲しいんだけど!!」



 おいおいこんなことってあるんだろうか。

 オレの目の前には……



「水島……、西園寺……、そして……」



「えぇ! エマたちが来たわよ!! もう安心しなさいダイキ!!」



挿絵(By みてみん)



 エマが奪ったハンカチを手にしながらオレに頼もしい笑みと言葉を向ける。

 なんというドリームメンバー……そこには大量の親衛隊を連れたエマたち、学年三大マドンナの姿があったのだ。



お読みいただきましてありがとうございます!

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感想やブクマ等もお待ちしております!!!


なんて心強く、頼もしいんだ……!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] おおー!! マドンナたち! すごいメンツが揃った! 危地脱出せり!
[良い点] エマ姐さんカッコイ~~ッ!! 西園寺ちゃんと水島ちゃんは……すまん! 二人の性癖ゆえかカッコイイと言えないよw [気になる点] 「福田くん!! 苦しそうだけど大丈夫!? ちょっと苦しいく…
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