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223 脅威・三好の推理!


 二百二十三話  脅威・三好の推理!



「復讐してやる……」



 その言葉を聞いたオレと三好はゴクリと唾を飲み込みながら静かに見つめ合う。



「な、なぁ三好……今の聞いたか?」


「聞いたよ! え、まさかの裏切りじゃん!!」



 なんて場面を目にしてしまったんだ。

 まさか味方だと思っていた同じ学校のやつが相手校の味方で……それに西園寺を狙っているなんて。

 あの言い方だと、かなりの憎しみが溜まってるっぽいよな。


 オレたちはその場から離れることもできそうにないので、そのまま彼らの会話の内容に聞き耳をたてることに。

 すると丁度その女の子が西園寺にされた恨みを口にしたところだった。



「アタシ、あいつにひどい扱いを受けてから……学校に行くのも怖くなって……!」



 女の子の体がフルフルと震えている。



「あぁ、そうかあの子……綾小路さんだ」



 オレの隣で三好が小さく呟く。



「綾小路?」


「3年の頃だったかな……何かと西園寺さんに噛み付いてた子いたじゃん、覚えてない?」


「ーー……全然」



 だってその頃オレはまだこのダイキの体に魂入ってないし、森本真也として普通につまらない社会人生活送ってたからな。

 オレが首を左右に振って答えると、三好が「はぁ……」とため息をつきながら当時のことを簡単に教えてくれた。



「私の記憶が合ってれば、あれは確か……」



 三好曰く、あの女の子の名前は綾小路 恵子。

 西園寺家ほどまではいかないが結構なお金持ちの家のお嬢様で、3年生の頃……西園寺になにかと突っかかっていたらしく、それが原因で西園寺の逆鱗に触れてしまい返り討ちに合って不登校になってしまったらしい。

 


「逆鱗って……その綾小路ってやつ何したの」


「うーん、同じクラスじゃなかったからそこまでは分かんないかな。 聞いた話では、西園寺さんが大事にしてたものを傷つけた……くらいしか」


「ほう、なかなかに怖いもの知らずなやつだな」


「うん。 まぁあの頃はまだ西園寺さん、そこまで荒れ狂ってなかったもん」


「そうなのか」



 三好の話を聞いた後に綾小路たちの話に耳を戻すと、あの綾小路……どうやら仲間たちの目の前で西園寺をボコボコにして失望させるのが目的らしい。

「絶対皆の前で泣かしてやる……」と、綾小路は顔の前で拳を強く握り締めている。


 てかあれだよな……返り討ちにされたのは分かったけど、不登校になるレベルまで追い込まれたってことだろ?

 あいつ、西園寺に一体何されたんだ?


 オレが脳内でグルグルと考えていると、三好がオレの肩を控えめに叩く。



「なんだ?」


「綾小路さんが西園寺さんを恨んでるのは分かったけどさ、なんで武藤と三枝まで西園寺さんを恨んでるんだろうね」


「え、なんだ三好知らないのか?」


「え?」



 三好がキョトンと頭上にはてなマークを浮かばせながら首をかしげる。



「なんかあいつら、球技大会の時にオレをいじめてるところを西園寺に見つかって先生に告げ口されたらしいぞ」


「そうなの!? ていうか……え、『らしいぞ』って。 まるで他人事じゃん」


「あ」



 ーー……やっべ。 やらかした。


 オレは三好から視線を外して口に手を当てる。



「ん? 福田?」


「あーいや、なんていうか……ほら、あははは」


「もしかして福田、昔のこと覚えてないの?」


「!」



 三好に視線を戻すと、三好が真剣な眼差しをオレに向けている。

 


「み、三好?」


「でもそう言われてみればそんなこと結構あったよね」


「え」


「ほら……あれだけ有名だった西園寺さんのこと知らなかったりさ、転校してきてた結城さんのことも覚えてない感じだったじゃん。 あれって確か……福田が退院して学校戻ってきてからだよね?」



 ーー……くそ。 頭悪いくせして、そういうことはちゃんと覚えてんのかよこいつ。

 オレはどう言い訳をしたら正解なのかを必死に考えるも、何も完璧な答えが降りてこない。



「それはほら、偶然……だろ」


「いや、でもあの頃から福田の性格とか……私らに対する接し方とか色々変わってた」



 ぎく



「もしかして福田、あれから前の事をーー……」


「!!!!」



 オレはその先の言葉を聞く前に三好の口を手で塞ぐ。

 


「ん!? 福田!?」



 これはもう……三好には何言っても誤魔化せそうにないな。

 オレは三好の耳に顔を近づけ、小さく囁く。



「そのことに関してはこの【尻尾取りゲーム】が終わったら話してやる。 だから今はそれ以上詮索しないでくれ、気が散る」


「え? てことは本当に……!」


「とりあえずあれだ、そのことは他の誰にも言うな。 分かったな?」


「え、あ……うん」



 三好はかなり動揺した様子でこくりと頷く。

 いやはや、まさか三好にこのことを見破られるとは思わなかったぜ。



「とにかく……だ。 武藤と三枝は西園寺に告げ口されてから色々あったらしく、転校する羽目になったっぽいんだ。 だからそのきっかけとなった西園寺を恨んでるんだろうな」


「な、なるほどね」



 三好はオレの記憶に関してのことで聞きたいことがあるんだろうな。 身体こそ武藤たちの方へと向けてはいるが、チラチラとこちらを気にしているのがバレバレだぜ。

 これじゃあ集中できないっての!!



「ーー……三好」


「な、なに!?」


「西園寺にメールを送っておいてくれないか? 綾小路・武藤・三枝に気をつけろって。 オレが打つよりも、お前の方がメール打つ速度早いだろ」


「わ、分かった!」



 三好がポケットからスマートフォンを取り出してせっせと文字を入力していく。



「ーー……っと、送信。 はい、できたよ」



 三好が送信内容を表示させてオレに画面を見せてくる。



【送信・西園寺さん】 福田から伝言だよ。 綾小路さんと武藤・三枝が西園寺さんを狙ってるから気をつけて!



 うん、やはりオレより断然早い……さすが女子だ。 女子同士、普段から会話のようにメールしてるからこそ、ここまでの速さを手に入れることができたんだろうな。



「よし、三好ありがとう」


「うん。 それで……これから私らどうするの?」


「そうだな……まぁそれはあいつらがここを離れてから考えよう。 それまでは見つからないようにしないとな」


「だね」



 オレと三好が互いに頷きあい、再び武藤たちに注意を向けた……その時だった。



「あれ、お前らここで何してんの?」



「「え」」



 突然後ろから声をかけられたオレたちは恐る恐る後ろを振り返る。



「あ、杉浦……くん」

「杉浦」



 そう、そこにいたのは前線に自ら飛び込んでいった杉浦の姿。 一緒に突っ込んでった仲間たちの姿は見えない……おそらくはハンカチを取られて失格になったんだろうな。



「どうした福田に三好。 そんなとこで小さくなって」



「あ、いや杉浦くん、ちょっと静かにしようか」


「ねぇ福田、やばい気づかれた」


「え」



 三好がオレの背中を叩きながら武藤たちの方を指差している。

 オレもそこへ視線を向けると、武藤たちがギロリとこちらに顔を向けていた。



「ーー……あ」



「いたぞおおおおお!!!! あんあところに隠れてやがったのかああああ!!!」

「おらああああ!!! ハンカチよこせええええええ!!!!!」



 武藤と三枝がオレたちに気づくなり大声で怒鳴りながらこちらに向かって全速力で迫ってくる。

 


「じゃあ後はよろしく!」

「よろしく杉浦!」


「え?」



 オレと三好は立ち呆けている杉浦に声をかけて全力で正面玄関を出て外へと逃走。

 


「福田、どっち逃げる!?」


「とりあえず外は危険だ! ぐるっと裏に回ってまた裏口から校舎の中に入ろう!」


「おっけー!!」



 こうしてオレたちは振り返らずに校舎裏へ。 後ろからは杉浦の「上等じゃああああ!!!」と、応戦してる声が聞こえていたのだった。

 


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感想やブクマ等、お待ちしております!


とうとうダイキ、ガチでミスっちゃいましたね!

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