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207 少女の悩み!!


 二百七話  少女の悩み!!



「さて……と」



 夜、オレの部屋で優香と結城が盛り上がっている声を確認したオレは、首・両肩を回しながら今夜の寝床である優香の部屋へ。

 とりあえずまずは優香の布団に顔を突っ込んで優香成分を補給。 その後顔を出したオレは簡単に周囲を見渡す。



「お、あれは……」



 オレの視界に入ったのは、優香のバースデーパーティーの時にギャルJK星がプレゼントしていた電動マッサージ機の入っていた紙袋。 丁寧に勉強机の隣に置いてある。

 紙袋の中を覗き込むとちゃんと箱も入っており、手に持って持ち上げてみるとまぁまぁな重量……どうやら中身は入っているようだ。


 

「え……てことは昨夜はノーマッサージってことかよ!」



 普通分からないけど、そういうものってプレゼントされたらドキドキとワクワクで使いたくなるものではないのか?

 オレはしばらくその箱を見つめながら考えていると、昨日のとあるシーンが脳裏をよぎった。



「ーー……あ、そうか。 優香、昨日はギャルJKと一緒に結城のマッサージ受けてたんだったな」



 えぇ、皆さん。 私ダイキ……今後も優香の部屋をこまめにチェックし、このマッサージ機が使われた際はまたご報告しようと思うのでよろしくお願いいたします。

 そして1日も早く、優香がこの機械を使うよう……オレと一緒に願ってくれていたら幸いです。



 こうしてオレは箱をそっと紙袋の中へと戻し、明日やる予定の優香たちと『魔獣ハンター』のマルチプレイを円滑に進めるべく、ソフトをゲーム機にセット。 優香からもらったVRゴーグルと専用コントローラーを握りしめ、最新の『魔獣ハンター』がどんなものなのかを試してみることにした。



 ◆◇◆◇



 翌日。 オレが優香のベッドで超熟睡していると、けたたましいレベルで家のインターホンが鳴り響く。



 ピンポンピンポンピンポーーーン!!!



「んああああああ!!! うるせえええええ!!!」



 飛び起きたオレが優香の部屋の壁に掛けられていた時計に視線を向けるともうすでにお昼前。

 そういや昨夜、『魔獣ハンター』をちょっとだけやろうと思っていたのだが、気づいたら朝方までガッツリとやり込んでしまっていたんだった。


 まぁそんなことは今はどうでもいい!

 今オレが気になっていることはただ1つ!! そう、さっきから鳴り止まないこの耳障りなインターホンを押している奴が誰なのかということだ!!

 オレは未だ重たい目を擦りながらも優香の部屋を出て直接玄関へ。

 するとちょうど同じタイミングで優香がリビングから玄関へと向かっているところだった。



「あ、ダイキおはよ。 結構寝てたんだね」


「うん。 てかこのピンポン誰? うるさくない?」


「そうなの、お姉ちゃんもびっくりしちゃってさ。 とりあえず変な人だと危ないから、ここはお姉ちゃんに任せて」



 優香がオレに下がっているようリビングへと視線を向ける。


 ーー……うむ、今までなら「いや、オレが行くよ!」的な感じになっていたと思うんだが、少し前のあの衝撃的な姿……ダーク優香を見たらオレなんかが頑張るよりも遥かに対応上手そうだしな。

 ここは優香の指示に従って、もしものためにスマホだけ持っていつでも電話かけれるようにしておけばいいか。


 オレは「わかった」と素直に優香に従いリビングへ。

 中に入るとソファーに座っていた結城が優香の向かった玄関の方をジッと見つめながら不安げな表情を浮かべていた。



「あ、福田……くん。 おはよう」


「うんおはよう。 そんな心配だったらここから覗かない?」


「え、でも……」


「いいからいいから。 ヤバくなったらオレがなんとかするよ」


「う、うん……じゃあ」



 オレと結城はリビングの扉から顔をヒョコッと出して玄関へと視線を向ける。

 すると優香がちょうど玄関の扉に手をかけて開けるところだった。



「はい、どちら様です……」

「優香さあああああああああん!!!」


「え!?」


 

 優香が扉を開けたと同時に向こう側にいた人がいきなり優香に抱きつく。

 結城は「きゃっ!」と小さく声をあげて体をビクつかせているが、オレはそんなことでは動揺しないぜ!!


 オレはスマートフォンを即起動! 証拠写真を撮るためにカメラモードに操作しながら優香に抱きつく不届き者の顔にカメラを向け、画面に映る犯人の顔を確認した。



「ちょっといきなりオレのお姉ちゃんに何をする……って、え? 三好?」



 画面に映っているのは優香に抱きついている状態で、こちらのカメラに視線を向けている三好の顔。

 


「え、お前……なんで?」


「なんでって……昨日の夜メールしたじゃんーー!! 返してくれなかったけどーー!!!」



 三好がオレを指差しながら「無視しないでよ!」と叫んでいる。


 ていうか、え? メール?


 オレは首を傾げながらカメラモードを解除。 ホーム画面に戻り通知欄を確認する。



「ーー……あ、ほんとだ。 メール来てたわ」



 見てみると昨夜の11時ごろに三好からのメール受信通知が届いている。



「え!? 見てなかったの!?」


「うん」


「でも朝になっても返事くれなかったし……!」


「だってオレついさっきまで寝てたし」


「えええええ!!!」



 オレは驚いている三好を無視して受信通知をタップ。 昨夜送られてきていた三好からのメールに目を通してみることにした。



 【受信・三好佳奈】あのさ、優香さんにちょっと相談したいことあるんだけど、明日って空いてるかな。



「ーー……いや、なんで返事返してないのに来てんの?」



 オレは三好に視線を戻しながら冷静にツッコミを入れる。



「だって……だって早く優香さんに相談したいことあったんだもんーー!!!」



「ーー……? 私に相談?」



 三好の言葉を聞いた優香が目を少し大きく開いて三好に尋ねる。



「うん、実は私、優香さんにどうしても教えて欲しいことがあって……」



 三好が少し涙目になりながら優香を見上げている。



「うん。 別にいいけど……とりあえずここは寒いから中においで。 温かいものでも飲みながらゆっくりお話ししよっか」


「ありがとう優香さああああん!!!」



 こうして三好は優香に手を引かれながら玄関を上がり、リビングへと向かったのだった。



 ◆◇◆◇



「ええええええ!?!? なんで結城さんがいるのーーー!?!?」



 リビングに入った三好が中にいた結城を指差しながら驚きの声を上げている。



「えっと……あの、こんにちは」


「あ、うんこんにちは! 確かあれだよね、エマの入院で会った時以来だよね!」



 三好の言葉に結城は小さく頷く。



「えええ、でもなんで!? まぁあの時も福田とは仲良さそうだったけど……え、もしかして結城さん、福田と付き合ったりしてんの!?」


「え? ええええええ!」



 結城が若干顔を赤らめながら一歩下がって三好から距離を取る。



「そ、そんなんじゃない……」


「じゃあなんで?」


「えっと……それは……」



 結城の視線が一瞬オレへと向けられる。

 なるほど了解したぜマイエンジェル。 ここはオレが助けると致しましょう。



「おい三好、とりあえずお姉ちゃんに話があるんだろ。 さっさとテーブルに座れ。 お姉ちゃん飲み物入れてんだろ、少しは手伝え」



 オレはココアを作っている優香を指差しながら三好に話しかける。



「え、あ、そうだ! 私今は話を早く聞いてもらいたいんだった!」



 三好は頭上にびっくりマークを浮かび上がらせると、くるりと結城に背を向けて優香のもとへ。 「私も手伝うー!」と元気よく優香の用意したお菓子や飲み物をテーブルに運び出した。

 ーー……三好が単純でよかったぜ。



「あ、ありがとう。 福田……くん」



 結城が小声でオレに耳打ちをしてくる。



「うん、いいよ。 あと、別に結城さん、ああいう時は『お姉ちゃんと遊びにきた』って言えば大体上手くいくと思うから、今度から使うといいよ」


「あ、うん。 ありがとう……」



 結城がニコリとオレに微笑みかける。

 くあああああ!!! この笑顔、本当に守りたいぜ!!!



「それで……三好さんって、お姉ちゃんに何の用なのかな」



 結城が不思議そうに優香と三好を見つめる。



「さぁ、なんだろうね」


「福田……くんは、心当たりないの?」


「まぁーー、あるとすれば、『成績がヤバイから助けて』くらいじゃないの?」


「そ、そうなんだ……」



 オレと結城がソファー付近でコソコソ話をしていると、テーブルに座った三好が温かいコップを手で覆って暖をとりながら優香への相談を開始したのであった。



「それで、佳奈ちゃん。 私に相談ってなに?」


「うん、あのね……こんなこと、友達にはあんまり相談出来ないことでさ……」


「そうなんだ。 ご両親や三好く……お兄さんにも相談出来ない内容なの?」



 優香がそう尋ねると、三好は「あ、当たり前だよ! こんな悩み恥ずかしいし、ましてやお兄に知られたりなんかしたら……私もう家出する勢いだよ!」と顔を真っ赤にしながら訴える。


 ーー……深刻な問題なのか?


 

「ねぇ福田……くん、私たちここで聞いてていいのかな」



 結城が隣でオレの袖を引っ張りながら耳元で囁く。



「なんで?」


「だって親や同い年の子にも話せない内容なんでしょ? 私たちに聞かれたら嫌なんじゃない?」


「あー、大丈夫だろ。 多分あいつ……三好はもう相談することに頭いっぱいで、オレたちのことなんかとっくに忘れてるって」

 


 それにオレも三好のそこまで悩んでいる内容が気になるしな。



「とりあえず三好の話を聞いてから聴き続けるか判断しようよ」と結城に話したオレは結城とともに静かに三好へと視線を向ける。

 そしてその後すぐ。 三好の口から悩みが放たれた。



「優香さん……」


「なに?」



「なんか友達2人とも女の子の日になってるのに、私だけまだそんな気配すらないんだけど……これっておかしいのかな」



 ええええええええええええええええ!?!?!?!?



 オレが三好の言葉に衝撃を受けていると、隣にいる結城がオレの袖を引っ張る。



「なに?」


「福田……くん、聞いちゃ……だめ」


「え」



 静かに三好の方へ視線を移すと、対面に座っていた優香と目が合う。



「あ、そうだダイキ、桜子。 ちょっとお菓子とか買いに行ってきてくれないかな。 ほら、もうお菓子のストックなかったし」



 オレが返事を考えていると代わりに結城が「うん」と頷いてオレの手首を握る。



「だって。 一緒に行こ?」



 か……可愛い。

 てことは今からオレは結城と2人きりでお買い物……。



 ウオオオオオオオ!!! これはこれで熱い展開ではありませんかああああああ!!!!!



 オレはダッシュで部屋へと戻って部屋着から着替え、心躍らせながら結城とともに買い物へと出かけたのだった。


 ーー……その後、多大な面倒事が待ち構えていることなど知らずに。

 はぁ。 せっかく最近は面倒ごとがあんまりないなと思ってたのによ!!!



束の間の平和もここで終了!? 次回、新たな戦いの予兆が……。


お読みいただきましてありがとうございます!

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