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206 クリスマス・ナイト!


 二百六話  クリスマス・ナイト!




 三好たちとの時間を楽しんだオレが帰宅し玄関の扉を開けると、リビングの方から結城が「あ、福田……くん、おかえり」と顔をヒョコッと出す。

 はい、今日1番可愛いーー。 優勝ーー。


 もはやこの状況……新婚夫婦じゃねえかと顔がニヤケそうになるのを我慢しながらもオレは「ただいま」と声をかけた。



「福田……くん、こっちきて」


「え?」


 

 結城が小さく微笑むと、オレに手招きをしながらリビングへと姿を消す。

 なんだ? なんか結城の表情が少し明るかったような……。



「!!!」



 もしかしてあれか!? オレが帰ってきたことがそんなに嬉しかったのか結城よおおおおおお!!!!

 てことは今からリビングで行われること……え!? 禁断のリビングしちゃうの!?

 つい1時間前に古本屋で体験した新世界がまさかの現実に!?!?



 よっしゃキターーーーーーーーー!!!



 本来ならこの時間帯にするはずの優香の料理の匂いがしない……ということは優香はお買い物か!?

 そこを狙うとは……結城もなかなか積極的じゃないかーーー♪


 オレはリズミカルにスキップをしながらリビングへ。

 これから始まる禁断ストーリーに胸を躍らせながらリビングの扉を開けた。



 ◆◇◆◇




「あ、おかえりダイキー」



「ーー……あれ、お姉ちゃん?」



 扉を開けた先にはソファーに座っている優香の姿。

 その隣で結城が目を光らせながらこちらを見ている。



 一体どうしたんだ?



 意味が分からずオレが首を傾げた……その時だった。



「「メリークリスマース!!」」


 

 その言葉とともにオレに差し出されたのは少し大きめのサイズの紙袋。



「ーー……え、ええええええ!?!? これ、オレに!?」



「そうだよ。 お姉ちゃんと桜子で、ダイキはこれが喜ぶんじゃないかなって」



 優香の言葉に結城も「そう」と少し照れながら頷く。



「うわあああ、ありがとう!!」



 受け取ると少し重い。 



「え、何が入ってるの?」


「ふふ、開けてみて」


「う、うん!!」



 まさかオレにまで買ってきてくれていたなんて……!!

 紙袋の中に入っていたのはこれまた雑誌サイズの綺麗に包装された箱。

 ーー……ん? デジャブ?



 オレはゆっくりと優香を見上げる。



「なにダイキ」


「これ……昨日お姉ちゃんが星さんから貰ってたやつと同じもの?」


「!!!!!」



 オレの言葉に優香は身体をビクンと反応。 そのまますぐに顔を赤くする。



「ち、ちちち違うよぉーー! あんなのダイキが貰って何に使うの!?」


「ーー……え、逆に何に使うの?」


「えええええ! なんでダイキが聞くのよーー! お姉ちゃん知らないよおお!!!」



 いかんいかん、素で聞き返してしまったようだ。

 オレが1人で反省していると、優香が「そんなのじゃなくて、ちゃんとダイキが喜びそうなもの!」と念を入れながら箱を指差す。

 まぁ……開けてみれば分かることだ。


 オレは視線を再びプレゼントに。 綺麗に結ばれていたリボンを解き、急いで破ったりしないよう……昨日の優香を思い出しながら丁寧にラッピングを剥がしていった。



「お……おぉ、これは」



 包装用紙から顔を覗かせたのはまさかの今大人気の携帯ゲーム機!!

 それと一緒にゲームソフトも同梱されている。

 えっと……そのソフトのタイトルは……



「ま、魔獣……ハンター」



 そう……覚えているだろうか。

 これはオレが前の人生・森本真也だった頃、大学の時に工藤と一緒に楽しんでいたシリーズだ!! しかも最新作!!

 確か3年前くらいには優香とギャルJK星も一緒にやってたとか言ってたよな。

 (記憶が正しければ158話『清楚テスト!!』で言ってた気がするぞ?)


 あれ、でもこれ……前のダイキはあんまり好んでやってなかったのでは……?


 そんなことを思い出しながら優香を見上げる。



「その……どうかなダイキ」


「え?」


「前のダイキならやらなさそうだと思ったんだけど、今のダイキはハマりそうかなって」



 優香がオレの反応を伺っている。



「今の……オレ?」


「うん。 なんて言ったらいいのかな……、前に比べて今のダイキは毎日を楽しんでるように見えるんだよね」


「そう?」


「そうそう。 それにほら、前にお姉ちゃんと美咲がそのゲームやってたって話してた時も、目を光らせながら聞いてたみたいだったし……もしかしたらそういうゲームにも興味持ったのかなって」



 うわああああ!!! ちゃんと見てくれてるよ嬉しいよおおおおおお!!!!

 オレは見えない涙を滝のように流しながら心の中で優香に深く頭を下げながら手を合わせる。

 


「うん! お姉ちゃんの推測通りだよ!! オレ、結構これやりたかったんだ!! ありがとう!!」



 オレがテンションマックスで優香と結城にお礼を言うと、優香は一瞬安堵の表情を浮かべた後にすぐに口角をあげてニヤリと笑う。

 どうしたんだろうと見つめていると、優香がソファーの下からガサゴソと何かを取り出した。



「ふふふ……実はお姉ちゃんも買っちゃったのだー」



 そう言って優香が取り出したのはオレのと同じ携帯ゲーム機と同じソフト。



「えええええ、なんで!?!?」


「お姉ちゃんもダイキとやろっかなーって思ってさ」


「う、うん……それは嬉しいけど、お金大丈夫だったの!?!?」



 オレが財布事情を心配していると優香が「それが大丈夫だったんだよね」とピースサインを向けてくる。



「?」


「実はね、そのダイキのプレゼントを買った時にクリスマス限定の抽選会してたんだけど、まさかのお姉ちゃん当たり引いちゃってさ! そこのお店で使った金額全部戻ってきたんだよね! だからせっかくだし同じの買っちゃった♪」


 

 か……可愛い!!


 オレがそんな優香の姿に見惚れていると、「それだけじゃないんだよね」と優香がもう1つの紙袋をドスンとソファーの上に置く。



「なにそれ」


「なんか今回の『魔獣ハンター』って、VRに対応してるらしくてさ。 ゴーグルとそれ専用のコントローラーも買っちゃった」


「!?!?!?!?」



 そんなに進化してるの!?!?


 オレは『魔獣ハンター』パッケージに書かれている文章に目を通していく。



【業界初!! VRセットを使えば1台で2人まで同時プレイ可能!! 新型内蔵カメラでプレイヤーの容姿をそのままゲーム内にスキャン! 今までとは違う、別世界での狩りを体験しよう!! もちろんネットでマルチプレイも!!】



 な……なんかよく分からないけど科学の進歩がヤベェ。

 ていうか……



「あの、お姉ちゃん。 これVRセット使ったら1台で2人まで出来るって書いてるけど……」


「うん。 だから2台あったら桜子もできるでしょ」



「「え」」



 オレと結城が同時に声を出し優香に視線を向ける。



「お姉ちゃん、私もやるの?」


「もちろんだよー。 桜子はこういうゲームやったことある?」


「ううん」


「じゃあお姉ちゃんが手取り足取り教えてあげるからね! 面白くなかったらやめればいいし、面白かったら一緒にやろうよ」


「う、うん!」



 あぁ……尊いぜ。

 それにしてもよくよく考えればオレ、女子2人とゲームするのか。 

 これはオレのハンター魂が震えるぜえええ!!!!!



「ーー……っと、あ、そうだそうだ。 お姉ちゃん、結城さん」



 ここであることを思い出したオレは2人の名を呼びながら背負っていたリュックを「よいしょ」と下ろす。



「なにダイキ」

「福田……くん?」



 優香と結城の視線がオレへと集まる。

 実はオレも遊び帰りに駅の近くにあった雑貨屋さんで、2人へのプレゼントをちゃっかり買ってたんだよな。

 まさかオレに買ってきてくれているとは思わなかったけど。



「はい、これ実はオレも2人に買ってきたんだ」



 オレは片手で持てるほどの大きさのプレゼントを優香と結城、それぞれに渡す。



「え……えええええ!?!? ダイキ!?!?」

「わ、私にも……いいの?」



 優香と結城が驚きの表情を浮かべながらそれを受け取る。



「そんな……お姉ちゃん、昨日ダイキからプレゼントもらったばっかりなのに、いいの?」


「うん。 だってあれは誕生日プレゼントであって、クリスマスプレゼントじゃないからさ」


「あ……ありがとう。 開けていい?」


「うん」



 オレの目の前で優香と結城はお互いに見つめ合い微笑みあった後、明るい表情でラッピングを剥がしていった。



「うわ、可愛い……ポーチ?」


「うん」



 そう、オレが2人にプレゼントしたのはパステルカラーでユニコーンなどがメルヘンチックにデザインされた少し大きめのポーチ。 

 あの古本屋で三好たちの話を盗み聞きしていてよかったぜ。



「でもこれ、何に使うの?」



 結城が頭上にはてなマークを浮かばせながら優香に尋ねる。



「えっとね、桜子は生理……あっ」



 優香が結城に説明をしようとしたところでオレを目が合う。



 ーー……あ、はい。 察しました。



「じゃ、じゃあちょっとオレはこれ部屋に置いてトイレ行ってくるよ」



 そうだよな。 普通そういう話って男がいるところでするものでもないよな。

 オレはそそくさとリビングから出て優香&結城セレクトのゲーム機を自室の机の上へ。 その後トイレに篭り、しばらくの間スマートフォンを弄りながら優香が結城に説明するのに必要そうな時間を用意したのだった。



 ……ぶっちゃけオレにも教えて欲しいよ。



 ◆◇◆◇



 優香が夕食を作っていなかった理由、それは今日はピザを注文するためだったらしい。

 届いたピザをオレが口いっぱいに頬張っていると、優香が「そうだダイキ」と手を合わせながらオレを見る。



「ん? なに?」


「ちょっと今日さ、お姉ちゃん桜子と一緒に寝ることになってね」


「うん」


「それで……ダイキの部屋で今夜は寝るから、ダイキはお姉ちゃんのベッドで寝ていいよ」



 優香が自室を指差しながらオレに微笑む。



「え、でも何でオレの部屋で寝るの?」


「うん、実は今夜中に『魔獣ハンター』のVRモードでの基本操作を桜子と試してみたくてさ。 ほら、ダイキの部屋ってお姉ちゃんの部屋と違って細かいものとかあんまり置いてないし……びっくりした時に体が大きく動いても安全かなって」


「な……なるほど」



 ーー……あぁそうか。 優香このゲーム好きなんだった。

 早くプレイしたいとか、オレよりも子供……いや、実際にはそうなんだけど、それ以上に結城やオレとワイワイ楽しみたいのだろうな。

 だったらオレが言う返事は1つしかない。



「分かった。 じゃあオレもお姉ちゃんの部屋で『魔獣ハンター』やっとくよ」


「ほんと!? じゃあ明日のお昼くらいに3人で一緒にやろっか!」



 優香は目を光らせながらオレと結城を交互にみて「楽しみだなぁ……」と心踊らせていたのだった。



 しかし優香のベッド、久しぶりだなぁ。 優香もあのベッドの家で夜な夜なマッサージとかしているのだろうか。

 オレは脳内で優香がマッサージをしている姿を思い浮かべる。


 優香もJKだし週に何回かはマッサージしてるよな。

 それに昨日はギャルJK星からもらった電動マッサージ機もあるし、効率が上がるはず……



 ーー……あ。



 あのマッサージ機、どこに置いてるんだろう。

 もし充電もバッチリで見えないところに隠してあったりしたら……




 ニヤァ!!!



 

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[良い点] これが新婚夫婦ならキャバクラで他の女と遊んだ後に妻の元に帰ってくる夫
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