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201 優香バースデー!


 二百一話  優香バースデー!



「お姉ちゃん」

「優香さん」

「ゆーちゃん」



「「「お誕生日、おめでとーーー!!!」」」



 オレ・結城・ギャルJK星が優香の誕生日を祝いながらクラッカーを同時に鳴らす。



「ありがとうみんなー」



 優香が目の前に置いてあるケーキに立てたろうそくの火をフッと消し、優香誕生日会が幕を開けた。



 ◆◇◆◇



「んん! 美咲、このケーキめちゃくちゃ美味しいよ! どこのケーキなの!?」



 優香がギャルJK星の用意したケーキを口いっぱいに頬張りながら、ギャルJK星に視線を向ける。



「へへーん! 美咲様はこういう美味しいお店もたくさん知っているのだぁー!!」



 未だ清楚の姿を保ったギャルJK星が優香にピース。

 「アタシの女子力をナメたらダメだべー」と嬉しそうに笑う。


 あぁ……この光景、まさに平和そのものだよなぁ。


 オレは視界に映る全てを愛おしく眺める。

 楽しそうに会話をしている優香とギャルJK星。 そしてその隣で目を輝かせながらパクパクと夢中になっている結城。

 


「あ、桜子ちゃん。 ほっぺにクリームついてるよ」


「え」



 優香が結城の頬についた生クリームを指で掬う。



「ほら」


「あ、ほんとだ……。 ありがとう」


「ううん、これ私貰っちゃうね」


「あ、うん」



 優香が指先についたクリームを自分の口元へと持ってきてペロりと舐めとる。



 ぎゃあああああああ尊すぎて暴れてえええええええええ!!!!!



 オレは心の中で悶絶。 この素晴らしき光景を1秒でも見逃してはならないと、瞬きを一切ぜずに脳内に直接保存していく。



「ーー……ねぇ、ダイキダイキ」


「ん?」



 優香と結城の姿に見惚れていると、隣からギャルJK星が静かにオレに話しかけてくる。

 相変わらずセクシーフェロモン増し増しだぜ。



「どうしたの星さん」


「アタシ、桜子ちゃんが来ること知らなかったんだけどさ……桜子ちゃんってプレゼント用意してないよね?」



 ギャルJK星がオレの耳元で静かに囁く。



「えっと……なんで?」



 オレはギャルJK星が何故そんなことを聞いてくるのか意味がわからず頭上にはてなマークを浮かび上がらせる。



「ほら……アタシとダイキは、ゆーちゃんにプレゼント用意してんじゃん? でも桜子ちゃんだけ用意してないってなったら、桜子ちゃん気にするべ」



 あーー、そういうことね。

 さすがは高校生……気の利かせ方が半端じゃない。 いや、これはコミュニケーション能力の高いギャルJK星だからこそなのか?

 オレはそんなギャルJK星の行動に感動しながら「大丈夫だよ」と頷く。



「え、大丈夫なの?」


「うん。 実は結城さんも……物じゃないんだけどお姉ちゃんに用意してるよ」


「そうなんだ」


「そう。 だから星さんのタイミングでプレゼントタイムしてくれて大丈夫だよ。 ありがとう気を使ってくれて」



 オレがギャルJK星を見上げると、ギャルJK星はニコリと笑ってオレの頭をワシャワシャと撫でる。



「ほ、星さん!?」


「なんつーか、ちゃんと動いてくれてたんだね。 さんきゅダイキ」



 オレの頭を一通り撫で回した後、ギャルJKは視線をイチャついている優香と結城へと向けてコホンと咳払いをした。



「はい、盛り上がってるところでプレゼントターーイム!!!」



 ギャルJK星がテーブルの周りを回りながらパチパチと大きめに手を鳴らす。



「え、美咲……プレゼントまで用意してくれてたの!?」



 優香が目を大きく見開きながらギャルJK星に尋ねる。



「当たり前じゃん!! アタシはゆーちゃんの親友だべ!? ケーキだけのはずがなかろうて!!」



 ギャルJK星がニヤニヤと笑いながらリビングを出て玄関へ。

 優香に見つからない場所に隠し置いていたんだろうな。 雑誌サイズの桃色の紙袋を持ちながら優香の前へ。



「え、なんかその紙袋大人っぽい柄だね。 どこのお店なの?」


「ふふふ……それは中にあるプレゼントを見たら分かるよ」



 ギャルJK星が「お誕生日おめでとう」と改めて優香に伝えながら紙袋を渡す。



「え、ありがとう。 開けていい?」



 優香が中を覗き込み、入っていた箱を手に取る。

 一体何が入っているのだろう……中の箱は長細く、これまた綺麗に包装容姿でラッピングされていて、その周囲に綺麗なリボンまで。 まったく中身の予想がつかない。

 


「あ、ちょっと待った!!」



 リボンを解こうとしていた優香をギャルJK星が止める。



「どうしたの美咲」


「あんさ、アタシのプレゼントは中々にインパクトが強いから……あとでこっそり見た方がいいかもよ」



 優香が首を傾げいていると、ギャルJK星が優香の持っている箱を再び紙袋の中へ。

 「さぁ、次は誰かなー?」とオレと結城を交互に見る。



「コホン、ではここはオレが……」



 こういうのって変に恥ずかしくなるんだよな。

 それに結城の【優香の妹券】は破壊力がありすぎる。 だからこそ先にオレがいったほうがいいだろう。


 オレはソファーの後ろに隠していた紙袋を優香に渡す。



「お姉ちゃん、お誕生日おめでとう」


「え……ダイキもお姉ちゃんのプレゼント用意してくれてたの?」


「うん」



 優香の目にじわじわと涙が浮かぶ。



「ーー……覚えてないって思ってた」


 

 かなり小さく優香が呟く。



「え? なんか言ったお姉ちゃん」


「ううん、なんでもない。 ありがとうダイキ」



 優香は涙を指で拭うと紙袋の中身を取り出す。



「これは……アロマ?」


「うん」



 オレが買ったもの……それはアロマオイルを垂らして使える加湿器。

 結構安めな割に見た目が可愛く、水島曰く『女の子は肌の潤いが命』とのことだったのでこれを選んだのだ。



「えー、すごい! これ水と付属のアロマオイルだけでいいんだ」


「うん。 やっぱり冬は肌が乾燥するかなって思って、お姉ちゃんにはいつも綺麗でいて欲しいから」



 オレは水島から得た知識をあたかも知っていたかのように堂々と語る。



「うんうん! 冬って化粧水塗ってもお肌乾燥しちゃうもんね! ありがとうダイキ、嬉しいよ」



 優香はオレにお礼を言いながら口角をグインと上げる。



「ちょ、ちょっとゆーちゃん、ニヤけすぎじゃない?」



 横からギャルJK星のツッコミが優香に入る。



「えへへ……だってまたダイキから綺麗って言われちゃったんだよ。 もう顔が勝手に喜んじゃう」



 優香はオレに「大事にするね」と優しく微笑むと、大事そうに抱えながら比較的安全そうな位置……ソファーの上へとそっと置いた。


 優香が席に戻るとギャルJKが「はい、じゃあ桜子ちゃんー!」と結城を指差す。



「えぇ!? 桜子ちゃんまで!?」


「うん……私のは物じゃないんだけど……」



 結城が少し照れた表情で優香を見上げる。



「いやいや、それでも嬉しいよ! それで……桜子ちゃんは何なのかな?」



 優香が尋ねると、結城は席を立ち可愛い歩幅で優香の前へ。



「ーー……? 桜子ちゃん?」


「あの……優香さん、私……」



 結城が左右の人差し指の先をツンツンさせながら優香をチラ見。 その後ゆっくりと口を開く。



「私……この家に……いや、優香さんと一緒にいる間は、優香さんの妹に……なる」


「ーー……え」



「ええええええええええ!?!?!?!?」



 優香が驚くよりも先にギャルJK星の叫び声が部屋中に木霊する。



「ちょ、ちょちょちょちょ!! 桜子ちゃん!! それガチィ!?」



 ギャルJK星の問いかけに結城は「うん」と頷く。



「優香さん……私とお買い物楽しいって言ってくれて、それによくお泊まりしてる時は一緒にお風呂も入ってくれて……私、もっと優香さんと仲良くなりたい」



 結城が顔を真っ赤にさせながら優香に思いを伝える。



「うわああああああ!!! 羨ましいいいいいい!!!! 桜子ちゃん、アタシとも仲良くなろうよおおおお!!!」



 ギャルJK星は目をキラキラさせながら結城の手を握る。



「え、でも私……、まずは優香さんに……」

「ちょっと美咲ー。 私の可愛い妹にちょっかい出すのやめてよねー」



 優香がギャルJK星を結城から離させると、結城の手を引っ張りそのままギュッと抱きしめる。



「ゆ、優香さん?」



 突然のことに理解が追いついていないのか、結城は目をまん丸にしながら優香を見つめている。



「桜子ちゃん、私は桜子ちゃんのこと……前から可愛い妹だなって思ってたよ。 でもまさか桜子ちゃんも同じ気持ちでいてくれてたなんて、嬉しいな」



 優香が結城に優しく微笑みかける。



「え」


「やっと両想いになれたね」



 そう言うと優香は再び結城の頭を撫でながら優しく抱擁。 

 「これからもよろしくね」と結城の耳元で優しく囁いた。



「あ……うん」



 これには結城も嬉しかったんだろうな。

 優香を喜ばせるはずだったのに、逆に結城まで喜んでいるぞ。



「ありがとう……優香さん」


「だーめ。 もう私のことはお姉ちゃんでしょー」


「う、うん……お姉ちゃん」


「はい、桜子よく出来ましたー」



 ぎゃあああああああああ!!!! これまた尊いよおおお!!!!!

 この短時間にどんだけ尊さを製造すれば気がすむんだよおおおお……もうオレの魂の体力残ってないぞおおおおお!!!!


 オレは見えない涙を大量に流しながら心の中で2人に祝福の拍手を送る。



「ええええ、桜子ちゃん! アタシはアタシはーー!?」



 ギャルJK星が頬をぷくーっと膨らませながら結城の頬をツンツン突く。



「えっと、優香さ……お姉ちゃんがいいって言ったらなる」


「だって!! いいよねゆーちゃん!!!」



 ギャルJK星は首をグルンと優香の方へ。

 「ねぇいいよねいいよね!?」と優香に何度もお願いをする。



「えー、どうしようかなー」


「お願いゆーちゃん……優香姫ーーー!!!!」


「あ、そんなこと言うんだ。 じゃあ桜子は私だけのものだもんねー」


「うわあああ待った待った! 冗談……冗談じゃん!!」



 アタフタしているギャルJK星を見て優香がクスッと笑う。



「じゃあ、こうしよっか。 この誕生会自体、美咲が企画してくれたわけだし……この会が終わるまでに私を困らせることをしなかったら、美咲にも桜子のお姉ちゃんになってもらおうかな」



 優香の提案にギャルJK星は「よっしゃ任せろ!」と気合を入れる。



「だ……大丈夫なの星さん」



 結城が心配そうな表情をギャルJK星に向ける。



「大丈夫だって! ゆーちゃんを困らせなければいいんでしょ? だったら変な発言しなきゃいいだけじゃん!」



 ギャルJK星は「待ってろ愛しの妹よ」よ結城に親指を立てるとコホンと咳払い。

 「それでは誕生会を再開しましょうか」と、スーパー清楚モードを発動させて結城獲得を目指したのだった。



お読みいただきありがとうございます!

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次回、ギャルJK星のプレゼントが明らかに!!

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