02 オレは誰だ?【挿絵有】
2020/07/08 挿絵入れました!
二話 オレはだれだ?
「んっ……」
なんだか体が重い。目も半分も開かないくらいだ。
オレは力を振り絞って無理やり体を動かしてみる。
「えっ…」
隣から女の子の声。
「ーー……だ、、れ?」
声も出しづらかったがオレは気合で声を出す。
その声色的にオレは男に魂が入ったらしい。 少し高めのトーンってことは……これは子供だな。
てことは近くにいる女の子の声ってもしかして……
夢にまで見た彼女!!??
そうと分かれば体の重さやだるさなんて関係ない。 オレは女の子の顔を見るために瞼を本気で開け、上半身を起こす。
うおおおおお!! 体の節々がいてぇええええ!!!!
そういや神様、自ら命を落としそうな人間にオレの魂を入れるって言ってたし……てことは飛び降りか飛び込みのどっちかなのだろうか。
かなりの激痛の中オレは女の子の声がした方に視線を向けた。
「ダイキー!!」
女の子がオレを力強く抱きしめる。
あぁ柔らかい……天にも昇るような感覚だぜ。
おや、ここはまだ天界カナ?
真正面から抱きつかれていることから顔はよく見えないが、女の子は制服姿……中学生か高校生といったところか。
あと分かる情報としてはショートカットの髪型ということくらいだ。
シャンプーのいい香りが生きてるってことを実感させてくれるゼェ……!
声もなかなかに可愛いし、これ本当に彼女だったら青春を謳歌できるんじゃねーの!!??
「えっと……だれ、、ですか?」
オレはもう一度女の子に問いかける。
「え、優香……優香だよダイキ!!」
「ゆ、うか……?」
おいおい中々に可愛い名前じゃねーか。
「そうだよダイキ! お姉ちゃんのこと忘れてないよね!?」
女の子……優香がオレの肩を掴んで顔を見つめる。
なんて可愛い……
いやお姉ちゃんかよ!!
オレは心の中でツッコミを入れながらも演技を続行することに。
「えっと……オレ、どうして?」
「え? オレ?」
……しまった。
この男の子は自分のことを『オレ』と呼んでいなかったようだな。
ここはなんとか話を合わせないと……!
「ーー……え、自分のこと何て言ってたっけ。 ごめんなさい、あんまり覚えてなくて」
「あぁ……頭を打ったからなのかな。 とりあえず、先生呼んでくるね!」
オレの姉? の優香はパタパタと音を立てながら病室から出て行った。
「ーー……ふむ。 とりあえず状況を整理しよう」
オレは口元に手を当てながら今分かっていることを脳内で箇条書きに記していく。
それが以下の通りだ。
・オレはダイキという子供に魂が入った。
・ダイキには優香という姉がいる。
・ダイキは頭を強く打って意識を失っていた。
「……うーん」
しかし分からんな。
あんな可愛い姉がいてどうして自ら命を落とそうなんて考えたのか。
とりあえず窓の外の景色でも見て心を落ち着かせよう。
そう思ったオレは、風の音がわずかに聞こえた反対側に顔を向ける。
外は暗く窓は完全に閉められているようだ。
「ーー……ん?」
そこでオレは見てしまった。
窓ガラスに反射して映る自分の姿を。
頭は包帯で巻かれ、頬には少し大きめの絆創膏。 腕には点滴の針まで刺さっているではないか。
「うおあああああ!!!! 痛ってええええええ!!!!」
怪我って気づいてから痛く感じることってよくあるよね!
オレはあまりの自分の衝撃的な姿に驚いてしまい、痛みを伴いながらそのままベッドから転げ落ちたのだった。
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