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19 魅惑の間接キス


 十九話  魅惑の間接キス



 そういや村本って今日学校きてなかったけど……なんかあったのか?

 休み時間、オレは三好を呼び出し今朝感じた疑問を尋ねた。



「あー、なんか4組の子が話してるの聞いたんだけど……昨日村本、女子の胸触ったんだって。 それが先生の耳に入ってちょっと問題になってるらしいよ」



 ーー……あの後何が起こったんだ?



 オレが気になり考え出していると、三好が「ていうか福田、私を呼び出した理由ってそれ? 終わったんなら教室戻るけど」とクルリとオレに背を向け教室へと戻っていく。

 まぁ確かにここは階段の踊り場。 生徒が行き来してるところでオレと長話してたら勘違いされる可能性もある……早く離れたい気持ちも分かるんだけどさぁ……



「いやちょっと待て」



 オレは戻ろうとする三好の腕を掴み、そのままオレの目の前へと引き戻す。

 そう、話はまだ終わっていないのだ。

 


「いった! もうちょっと優しく……」


「三好、お前どうして昨日の蹴りを弱くした?」


「ーー……え?」



 三好が目を大きく見開きオレを見上げる。

 この三好の反応的に図星……やはり意図的だったということか。


 

「あれはオレが指示した強さじゃないだろ。 何であんな軽かったんだ?」


「えっと……ちょっと考え事しててさ」



 三好はバツが悪そうにオレから視線を逸らす。



「考え事? なに? 話して」


「いや、それはちょっと……」


「あ、これ命令ね。 話して」


「その……ここでは」


「よし、じゃあ放課後一緒に帰るぞ。 そこで話せ」


「え……えぇ!?」



 オレは驚き立ち尽くしている三好の肩をポンと叩くと先に教室へ。

 このまま三好に腐られても困るからな。 何が何でも元に戻ってもらうぞ。



 ◆◇◆◇



「ーー……ん、なんだ?」



 教室に戻ると何やら全体がざわついている。

 不思議に思いながらも席に座ると、黒板の前には何故か4組の結城が立っていた。


 

 ーー……何であそこに結城が?



 オレは目の合った多田に小さく手招き。 何があったのかを聞いてみたのだが……


 

「なんかリコーダー借りにきたらしいよ」


 

 多田が窓の外の景色を眺めながら小声でオレに伝える。



「リコーダー? なんで?」


「無くしたって言ってるけど、多分あれは隠されてるね」


「それで……誰が貸してあげるの?」


「いやいやないでしょ。 4組のいじめられっ子だよ? 貸したら自分が何言われるか分かんないじゃん」



 あー、かばった結果次は自分かもって怯えてるってやつな。

 いじめの特集してた番組とかでみた記憶があるぞ。



「へー、じゃあ多田貸してやれよ。 別にお前目をつけられることないだろ」


「いやだよ特に女子は貸さないと思うよ。 結城さんをいじめてるのがあの西園寺さんだし……女のネットワークって結構怖いんだよ?」


「そんなもんなのか?」



 周囲を見渡してみるもみんな薄情だよなぁ。 結城がいることには気づいているはずなのに誰も話しかけようともしていない。

 てかこういう状況って男子からしたら良いところ見せれるチャンスじゃないのか? 結城だって別にいじめられてはいるけど、別にそんな可愛くないとかはない……実際結構可愛い部類に入ってるんだし。

 

 ーー……そうだな、前髪とかちゃんと整えて姿勢正したらかなり化けると思うぞ?


 そんなことを考えながら視線を黒板の方へと戻すと結城と目が合う。



「ーー……」


「ーー……ん?」



 ……え、オレ?



 オレは小さく自分を指差して結城に確認すると、結城が静かに視線を外す。


 まぁ確かにさっきオレは男子が貸せばいいんじゃねって思ったけど、これは結城的には大丈夫なやつなのかな。

 オレは引き出しからリコーダーを取り出すと結城にアイコンタクト。 視線を送りながら廊下へと出た。



「ーー……いいの?」



 オレにアイコンタクトを理解して教室から出てきた結城がオレを見上げる。



「うん。 ていうか逆にオレのでいいの?」


「うん。 ありがとう」



 チャイムが鳴ったので結城はオレのリコーダーを受け取ると小さく頭を下げて音楽室へと走っていく。

 オレはそんな結城の後ろ姿を眺めていたのだが……



 ーー……ん、待て?

 これってあれだよな、間接キスになるんだよな!?


 キスすらしたことのないオレの脳が……心が声を大にして叫ぶ。

 そしてその後無事にリコーダーは結城から返してもらったのだが……



 うおおおおおおお!!! 舐めてえええええええ!!!!!



 残りの授業中や給食……その他すべての時間にオレは引き出しからちょこんと顔を出しているリコーダーをガン見。

 溢れ出るヨダレを我慢しながら放課後を迎えたのだった。



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