185 無意識ならば仕方ない!
百八十五話 無意識ならば仕方ない!
オレたちの目の前には山や海の幸がふんだんに盛り込まれた料理の数々がお皿に乗って広がっている。
胃の調子も完璧。 さぁ……時は満ちた!!
「「「いただきまぁーーす!!」」」
こうして旅行のメインイベントである豪華料理タイムがスタートしたのだった。
◆◇◆◇
優香たちがいないのは残念だがオレの周囲には美女2人に天使2人!!
面子がいいと味もより美味しく感じるぜ!!
オレは最高のコンディションで、昔のオレでは簡単には手を出せないような料理を次々と口に運んでいく。
「ほら、エルシィ、蟹はこうやって殻向いて食べるのよ。 はい、アーン」
エマが丁寧に剥いたカニの身をそっとエルシィちゃんの口に持っていき、エルシィちゃんが「あんーっ」と可愛く口を開けながらこれまた可愛くパクリと食べる。
「美味しい?」
「おいちーー!!」
んぎゃあああああああ!!! 可愛いいいいいいい!!!!
オレは心の中で身をよじりながらエルシィちゃんの可愛さに悶絶。
その後同じタイミングでカニの身に吸い付いていた結城に視線を移す。
「んっ……」
結城が口で挟んだ身を軽く引っ張ると殻の中から身がチュポっと飛び出しそのままスルスルと結城の口の中へと吸い込まれていく。
「あ、結城さん、その殻の底にエキスが残ってるのでそれも美味しいですよ」
隣で高槻さんが結城に優しくアドバイスを入れる。
「そうなん……ですか?」
「はい。 これがまたお酒がすすむ味なんですよー」
「先生、私……お酒まだ飲めない」
おーおー、早速ほろ酔い気分の高槻さんに絡まれだしたぞ。
結城が「で、でも美味しいんだったら……」と言いながら蟹の殻に口をつけて殻を傾ける。
「あ、……出た。 美味しい」
「ちょっと吸ってみたら一滴の無駄なく飲めますよ」
「そ……そうなんですか?」
結城が高槻さんの言葉通りに「チュチュッ……」と殻の中を吸い残るエキスを吸い上げる。
うわあああああ!!! やってること普通なのになんかエロいよおおおおおお!!!!
可能ならばさっきの結城の音声だけを録音して夜な夜な1人で聞いていたいレベルだぜ!!!
結城の持ってるものがカニじゃなくて仮にオレの……ゲフンゲフン!!!!
そんな変態脳フルマックスなことを考えながら料理を食べているとエマがオレに視線を向けていることに気づく。
「ーー……ん、なんだエマ」
「アンタ食べながらよそ見しすぎよ」
「え」
オレが首をかしげるとエマは「いやいや下を見なさいよ」とオレのお腹の方を指差す。
「ん? 下?」
意味の分からなかったオレはとりあえずエマの指した先に視線を向けることに。
「ーー……あ」
なるほどそういうことかやっちまった。
エロく食べてた結城に意識を集中しすぎていたせいか、タレやら何やらをぼたぼたと溢してしまっていてオレの上着が汚れてしまっている。
「まぁ夜でよかったわね。 もう外に出歩くことはないわけだし」
「確かに」
オレはエマからポケットティッシュを受け取ると簡単に服についた汚れを拭き取っていく。
「どう? 取れそう?」
「んー、まぁ立っても溢れない程度に拭いたからあとは洗濯洗剤に任せるよ」
「そう」
ガチで拭いたところで色がついちゃったやつなんかは取れるわけないしこんなもんだろう……そう思ったオレが拭くのをやめてティッシュをエマに返そうとした、その時だった。
「あらー? ダメじゃない福田くん。 もうちょっと汚れ取っておきましょうよー」
「!!」
オレの隣へ四つん這いで近づいてきたのはアルコールで更に出来上がった状態の高槻さん。
「せ……先生?」
「こういうのは初めが肝心なんですからねー」
ぐあーーっ!! 息が日本酒くせえええええ!!!!
けど色っぽいよおおおおお!!!!!
オレが酒の匂いにやられていると、高槻さんはオレの手からポケットティッシュをとってそれをくしゃくしゃに丸め出し、その上から日本酒を少量垂らして揉み込んでいく。
ーー……?
一体何をやってるのだろうとそれを眺めていると、なんということでしょう……高槻さんは日本酒を含ませたティッシュでオレの服をポンポンと軽く叩き出したではありませんか!!
「た、たかつ……先生!?」
「こういうのはトントンしないと汚れが広がっちゃうんですよー?」
高槻さんは赤面した顔でニコッとオレに微笑みながらオレの汚れた服を上からティッシュでトントン。
「せ……先生」
「トントントン……ほら、シミが薄くなってきたでしょう?」
高槻さん、あなたは酔っていて気づいていないのだと思うのですが……あなたがトントンしてくれているのとは逆の手がオレの……どことは言いませんが下半身に置かれてるんですよおおおおお!!!!
しかもちゃんと手を開いた状態で覆いかぶさるようにいいいいい!!!!
「ほら、この調子だともうちょっと取れそうですよ。 トントントントン……」
「!!!!!!!」
高槻さんが動くたびにその反動が高槻さんの反対側の手からオレに直接伝わってくる。
耐えろ、耐えるんだ……耐え抜くんだオレええええ!!!!
ここで恥ずかしいことにはなってはならないと思ったオレは必死に煩悩を脳内から排除しようと試みる。
しかしそう簡単にいかないのがオレの変態脳。
オレの脳内から『そんなの無理に決まってまぁす!!!』と潔い答えが返ってくる。
ーー……そうか。 なら仕方ない。
では行きましょう。 3・2・1!!!
何がどうなったかはご想像に任せるとして、グリップ出来るものが現れたことにより高槻さんのトントンとは逆の手がそれを無意識に握りこむ。
ーー……太ももかな? 足首かな?
うわあああああ指細ええええ!!! あと酔ってるからなのか温けええええええ!!!!
ていうか……んん!?!?
なんか握ってる高槻さんの手……妙に揉んできてないか!?
ーー……太ももかな? 足首かな?
高槻さんに視線を向けると高槻さんの視線はまっすぐオレの服のシミへと向けられているし、「トントン」言いながら汚れを落としてくれている。
ということは……無意識!? 無意識なのか!?
男が柔らかい手のひらサイズのボールを持った時に無意識に揉んでしまう現象と一緒なのか!?!?
そういや以前ネットで女性は30代になると性欲が一気に上がる……みたいな記事を読んだことがあるが、あれは本当だったのかもしれない!!
ーー……そうか、なら仕方ない。(2回目)
ではもうそろそろ緩急とかつけられて限界なのでいっちゃいましょう! 3・2・1!
それからしばらく。
「ん?」
エマが鼻をクンクンさせながら料理を見渡す。
それに対して結城が反応。 「どうしたの?」とエマに対し首をかしげる。
「いやさ、海の幸ってもう結構食べたじゃない?」
「うん」
「なんかこう……イカ臭くないかしら」
「言われてみれば……そうなのかな。 確かにちょっと生臭さがある……ような? でももう食べちゃったし……もしかしたら匂いだけ残ってるのかな」
「あ、そうね。 新鮮だった証ってことかしら」
「うん……多分そうだよ」
新鮮な証……なるほど。
しかしあれだな、詳しくは言えないけどこの状況だと温泉には行けそうにない。
ちょっと勿体無いけど……温泉は諦めてオレは部屋に併設されている普通のお風呂で我慢するか。
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