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18 3人の成長!


 十八話  3人の成長!



「うわあああああん!!!」



 西園寺取り巻きの女の子が胸を押さえながらしゃがみ込んで大声で泣きじゃくる。

 それを皮切りに取り巻きたちは村本に「うわ、村本くんサイテー! それセクハラって言うんだよー!!」と詰め寄り出した。



「ーー……は!? ちげーじゃん、こいつが先にやってきたから!」


「それで胸触って良いってことにはならないんじゃないかなあ!!」



 第2ラウンド開始。

 村本も西園寺の取り巻きも、お互いの主張を一歩も引かずに言い合っている。



 てかあれだよな、散々結城をいじめてたやつが胸触られたくらいで泣きじゃくんなよ。

 そして村本、もし触れたいという欲求があったなら……もっとさりげなくやりなさい、オレならもっと上手く巧妙に出来る自信があるぜ。 こう……ふわっぷにっとな。



 そうは突っ込んでみるものの、今や蚊帳の外になってしまっているオレは村本と取り巻き女子グループとのバトルをただただ眺めることしか出来ず。

 

 早く本命よ来い……そう願いながら一歩引いた先で立ち尽くしていると、ようやくこの時が。 少し離れたところから甲高い声が聞こえてきた。



「あーーあ、村本くん。 それはやったらいけないことじゃないー?」


「!!!!」


 

 とうとう来たぞ、西園寺だ。 どうやら取り巻きの1人が西園寺に告げ口をしに行っていたらしいな。

 西園寺はニヤニヤしながら村本の前に歩み寄る。



「さ、西園寺……なんだよ」


「なんだよ……じゃないでしょどう見ても。 ほら、私の友達が泣いてるじゃない。 あなたが何をしたかはもう聞いたけど」



 西園寺が村本の顎に指を当てて顔を近づける。



「こ、こいつが先にやってきたんだよ!」


「ねぇ村本くん知ってる? こういう時って基本大人は女の子の味方をするんだよ」



 おぉ、JSにしてそんなことまで知っているとはさすがこいつらのリーダーなだけはあるな。 まったくもってその通り……だから痴漢冤罪とかそういうニュースが蔓延してるんだもんな。


 これは早々に決着がついたか?


オレは村本の完全敗北を確信し早く消えてくれないかなーなどと考えていたのだが、しかし村本はそんな西園寺の言葉を信じていないのか結構イライラとした表情で西園寺を睨みつけている。



「なに? 私にたてつくつもり?」


「お前なんかお呼びじゃねーよ、俺は福田に用があるだけだ。 さっさと消えろ」


「福田くんに用があるのは私たち。 それに私の名前は【お前】じゃない、【西園寺】って名前があるんだから。 あと村本くん自分の今の立場分かってる?」



 おおおおおお!!!! なんか面白い展開になってきましたねぇ!!

 西園寺の放つ一言1言に取り巻きが同調。 まるでサバンナで一匹の小動物に群がる野犬……村本がジリジリと女子たちの圧に押し込められていく。



「もう1度言うよ? まだ私や私たちにたてつくの?」


「同じ言葉を返してやるよ」


「君1人なのに?」


「お前らごとき俺1人で充分だっての」



 まさに少年漫画的展開。

 オレは手に汗握りながらここからどう展開されていくのか気になり始めていたのだが、ここでとあることに気づく。


 ていうかこれ、もう両者ともオレのこと忘れてるよね完全に。


 試しに「あのー」と声をかけてみるも両者は完全にヒートアップしているのかオレの声を完全に無視。

 今もなお激しい言い争いを続けている。



「これは……いいよな、行っても」



 こういう時に役立つインキャの特技・ステルスモード発動!! オレはそこから静かに姿を消し、三好・多田・小畑の待つ女子トイレへと駆け足で向かったのだった。



 ◆◇◆◇



「あぁーん! やっときた福田ー!!」



 女子トイレに入るやいなや、小畑が目をキラキラさせながらオレの後ろに回り込み、背後から肩に腕を回してくる。

 うわぉ背中に当たる僅かな柔らかさが気持ちいい!!



「もー! 来なかったら明日もっとひどい目に合わすところだったんだからね!!」



 うわあああ!! どことは言わないけど動くたびに柔らかさがもっと伝わるよおおおお!!!

 それと、『もっと酷い目』ってどんな!? 小畑……君は将来有望だからオレほんとに期待しちゃうよおおおお!!!


 オレはそんな小畑にロックされながら奥の個室トイレへ。

 中に入るとそこにはちゃんと三好と多田も健在。 三好が「ほ、本当に来たんだ」とポツリと呟く。


 当たり前だろ、JSに蹴られるなんて人生の中で1度あるかないかの超希少な体験なんだ。

 オレはどんなことをしてでも蹴られにいくぜ☆


 こうしてオレのパラダイスタイムが今から幕を開けるのだが、まずは……



「おっとっと」


 

 オレはバランスを崩したフリをして多田の耳元へ。

 そのまま小さく囁いた。


 

「おかげで対策打てた。 よくやったな、これからもよろしく」


「え? あ……うん」



 ん? なんでちょっと嬉しそうなんだ?

 もしかして褒められたことがそんなに嬉しかったのだろうか。 これは引き続き検証をしてみなければ。


 

「なーにコソコソ言ってんの!? じゃあ福田……いっくよおおおおおお!!!!」



 バチィイイイン!!!!



「あひいいいい!!!!!」


「あははは!! これ!! これがしたかったのおおおお!!!」



 小畑の足の甲が思い切りオレの股部分へと炸裂。

 これがパラダイスタイム開始の合図となり、三好も多田も小畑のそれに続いた。



 ◆◇◆◇



 オレ氏、ドSでもあるけどドMでもある紳士。

 本日は三好・多田・小畑の蹴りを吟味してみようと思う。



 じゃあまずは……小畑かな。 小畑はさすがホープだ。

 前回よりも蹴りのキレや思い切りが洗練されていて、その分かなり楽しんでいるご様子。

 当てている場所も非常にグッドでオレの感情も高ぶっていく。



 次は……多田。

 オレは多田の蹴りに感覚を集中させる。


 多田は緊張しているのだろうな。 その感情が蹴りからオレに伝わってくるぞ。

 褒めるとすれば頑張って強さ等を調節しているのが評価ポイントだな。 最初の頃は力任せにただただストレス発散しているというイメージしかなかったから……それに比べたらすごい進歩だ。 この調子で頑張るんだぞ。



 そして最後に三好はーー……。



 ん?



 オレは目をつぶりながら三好の蹴りに神経を集中させる。


 何だ? 今までに比べて力がかなり弱くなってるぞ? これじゃあただの蹴ってるフリ……いじめとは言えない。

 何か悩みでもあるのだろうか。



 これは明日呼び出し確定だな。



「ほら福田ーー! 何目瞑ってんのー!?」



 バチュウウウウン!!!



 あん気持ちいい!!!!





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