178 これも運命!?
百七十八話 これも運命!?
特別超当たりの景品【東北旅行1泊2日】を引き当ててしばらく。
徐々にこの神引きを実感してきたオレはドヤ顔でそのチケットを優香に見せる。
「お、お姉ちゃん!! 旅行だよ旅行!!!!」
「えー、本当凄いねダイキ!」
優香がオレの手を握りながら一緒に喜ぶ。
よっしゃあああ!! エマ、これで優香はオレが頂いた!! 残念だったなぁーー!!!
オレは優香が「ちょっとそれ見せて」と言ってきたので景品のチケットを優香に渡してエマにドヤ顔を決める。
「ーー……ダイキ、なんであんたそんなに勝ち誇ってんのよ」
エマが少し冷めた目でオレを見つめる。
「そ、そりゃああれだ! なんたってオレが当てた景品はお姉ちゃんが喜……」
「あっ!!」
突然優香が声を出したのでオレはエマに向けた言葉を中断。 優香へと視線を移した。
「どうしたのお姉ちゃん」
「えっと……ダイキ、これさ」
優香が何か言いにくそうな表情をオレに向けている。
「なに?」
「ほら、ここ読んで」
そう言った優香はオレの景品の端に書かれていた注意書きを指差してオレに見せてくる。
「えっと……なになに、期間……限定? てかこれ今週末じゃん!!」
オレは「なんじゃこりゃあああ!!」と言った表情で福引スタッフを見上げる。
「はははごめんね。 一応ここにも書いてるんだけど、それ行ける日が定められてるんだ」
「えっと……それは、なんで!?」
「だってそうだろ、もうすぐ年末。 旅館なんか予約で殺到してるんだからこうでもしとかないとこの時期予約が取れないんだよ」
「な……なるほど」
言われてみれば確かにそうだな。
いつ予約してくるか分からない当選者のために1部屋ずっと空きを作ってるなんてそんな勿体無いこと旅館側もできないもんな。
てことは週末は東北旅行か!! やったぜ!!!
オレは心を躍らせながら優香を見上げる。
「じゃあお姉ちゃん!! 週末に東北旅行に……」
「あー、ごめんねダイキ。 お姉ちゃん行けそうにないかな」
「え」
優香が申し訳なさそうに両手を合わす。
「な……なんで?」
「だってほらお姉ちゃん明日から土日挟んで来週も期末テストだから、勉強しないと」
「ーー……あ」
オレの身体中から一気に力が抜ける。
エマはそんなオレの隣で「まぁテスト中に旅行しにいく学生はヤバいのしかいないわよ」と慰めながら背中を優しくさすってくれていた。
「えっと……じゃあこれ、どうしよう」
オレは優香から受け取ったチケットに再び視線を移す。
招待人数は4人。
当初ならオレと優香、あとは結城とギャルJK星でいいかと思っていたんだけど……優香行けないなら意味ねえじゃねえか!!!
いっそのことこの景品返して大当たりの景品と交換してもらうか?
オレは大当たりの景品が何なのかを確認する。
【大当たり景品・買い物商品券5万円分!!!】
いや確実にこっちの方がいいだろう!!!
そう思ったオレはスタッフに交渉を試みようと声を変えようとしたのだが、運の神はそれを許さなかった。
「大当たりーー!!」
ええええええええ!?!?!?
なんてことだ!! 目の前の若夫婦が商品券当てやがった!!!
オレが声を失っている間に若夫婦は喜びながらどこかへ。
お……オワタ。
オレは景品のチケットをエマに差し出す。
「え、どうしたのダイキ」
「これやるよ」
「えぇ!? いいの!?」
エマが目をキラキラと輝かせながらオレの差し出したチケットを受け取る。
「あぁ。 お姉ちゃんが行けないんじゃオレの交友関係では4人も集まらないからな」
優香が「本当にいいの?」とオレに尋ねるもオレはコクリと首を縦に。
代わりにエマから【ホットアイマスク1週間分】をもらう。
「え、でもオレ別に目とか疲れてないしなー」
「そう? じゃあお姉ちゃんが貰っていいかな」
優香がオレの持つエマから譲り受けた景品を指差す。
「え、うん。 いいけど」
「やった! お姉ちゃんほら、今日から徹夜が続くでしょ? これがあったら翌朝の目の疲れが違うんだよなー」
優香はオレに「ありがと」と言うと、オレの頭を撫でながら【ホットアイマスク1週間分】を受け取る。
うん……まぁ優香も喜んでるようだし、これはこれで良かったのかな。
こうしてオレは優香とエマがニコニコと喜んでいる姿を後ろから見ながら家へと帰宅したのだった。
◆◇◆◇
その日の夜。
ベッドで横になっているスマートフォンが振動。
エマからの着信のようだ。
特にやることのなかったオレはすぐに通話ボタンをタップ。 スマートフォンを耳に当てる。
『あ、もしもしダイキ?』
「何だ?」
『今日はありがとね! 東北旅行! エルシィも喜んじゃってるわ』
エマのいかにも嬉しそうな感情が声色から伝わってくる。
そしてエマの隣にいるかな? エルシィちゃんの『だいきー! ありがとーー!!』の声が聞こえてくるよ幸せだ!!!
「いや、構わんよ」
『それでさ、これに書かれてる招待人数って4人でしょ?』
「うん」
『一緒に行かない?』
「え」
まさかのお誘い。
「えっと……オレ?」
『そうそう。 当てたのはダイキじゃない。 だから誘ってみようって思ったのよ』
まったくエマってやつは。 律儀なやつだな。
そういうところもエマがマドンナ候補に入れられている理由なのだろうか。
まぁでもオレはなぁ……優香がいないんじゃあ面白くないしなぁ。
「あー、エマ。 残念だけど今回は……」
『そうだ、ちなみに桜子も来るわよ』
「行きます」
こうして急遽週末の東北旅行が決定。
翌日オレはそのことを優香に報告すると、その日の放課後オレは早速エマたちと必要なものを買いに向かったのだった。
◆◇◆◇
買い物に向かっている途中、エマがオレに小さな声で一言。
「そういやエマ、ダイキに言ったかは覚えてないんだけどさ。 エマ、前は東北に住んでたんだ」
「なあああああにいいいいいいいい!?!?!?!?」
今回もお読みいただきありがとうございます!
下の方に☆マークがありますのでよろしければ評価していってくださると嬉しいです!
感想やブックマークもお待ちしております♪
JSに囲まれての旅行……いいなぁ