161 目の前でハックション!!【挿絵有】
百六十一話 目の前でハックション!!
まさか……まさか2回目があるなんてっ!!
ギャルJK星は先に優香に着替えを借りてくるとのことでオレは先にお風呂場へ。
「前は最初から恥ずかしいことになってたからな。 今度はちゃんと興奮してませんよアピールしとかないと……」
オレは脳内で別のことを強制的に考えることにする。
もちろんそれは優香と知らない男のことだ。
優香が男に返事を待ってもらったということは、少なからず好感はあったのだろう。
ということは会話中にそいつも顔を見てたら少しは顔が赤らんだりしたのかな……。
あぁ……シチュエーションを想像しただけなのになんだこのイライラは。
しかしそのおかげでいい感じに興奮が抑えられてきたぞ……これならギャルJK星が入ってきたところでそう簡単に興奮なんかーー……
「お待たせダイキー。 お、ちゃんと肩までお湯に浸かってるねー。 偉い偉い」
布一つ纏っていないギャルJK星が堂々たる姿で浴室へと入ってくる。
はい、無理でしたーー!!!!
オレはそんなギャルJK星の姿をもちろんガン見。
くそ……見た目が清楚JKになってて前よりもオレのタイプになっちゃってるから、悔しいがどう頑張っても見入っちまうぜ。
「ちょっとダイキ、開始早々飛ばしてるねー」
ギャルJK星が湯船に浸かるオレを見ながら「あはは」と笑う。
「し、仕方ないよ。 星さん綺麗だしスタイルいいんだから」
「まぁ別に嫌な気はしないからいいけどさー」
そう言ったギャルJKはやはりなんの躊躇もなくオレの隣へ。
ザブンと音を立てて湯船に浸かり、「くぅーーっ」と声を出しながら背伸びをして上半身を左右に揺らす。
うむ……絶景かな。
どことは言わないけど。
「ちょっとダイキ、めっちゃ見てくるじゃん」
「えっ!」
焦ってギャルJKの顔へと視線をあげるとギャルJK星が視線をこちらに向けたままニヤニヤと笑っている。
「ダイキくん、どこ見てたのかなー?」
「え! あ、それは……か、顔! 星さんの顔があまりにも綺麗すぎて直視出来なかったから目をちょっと下にそらしてただけであって……!」
「へぇー。 じゃあもっとちゃんと見る?」
ギャルJK星は悪戯に笑いながらそう言うとオレの横腹に手を添えて強制的に体をギャルJK星の方へと向ける。
「ちょ……ちょちょちょ!! 星さんっ!!」
「なにー? いいじゃん。 私の顔見たいんでしょ? ほら、もっと顔近づけてあげよっか?」
ギャルJK星が挑発的にオレの目の前に顔を近づけて「ほら、どう?」と尋ねてくる。
うわぁ……うわあああああああ!!!!
真正面は卑怯ですお姉様あああああああ!!!!
◆◇◆◇
「ちょっとダイキー。 怒ってんのー?」
浴槽から出て体を洗っているオレを、湯船に浸かっているギャルJK星がツンツン突く。
「べ、別に怒ってないし」
「じゃあなんでそんな無口になっちゃうのさー」
「いや……だって流石に……!」
「あれは仕方ないんでしょー? 見なかったことにしてあげるって言ったじゃんー」
何があったのかは各自想像してくれ。
これはオレの勝手な独り言でさっき起こった出来事とは関係ないのだが……
爆弾って触れてなくても爆発するときってあるらしいぞ。
意味のわからない人はオレがギャルJK星の目の前で盛大にくしゃみをしてしまい、その時に口から飛んだ大量の唾を湯船にインしてしまった……とでも考えておいてくれ。
あながち間違ってないから。
「と、とにかく星さんも早く上がりなよ」
「なんでー?」
「だって湯船の中汚いじゃん!」
「だから気にしないってー。 あれじゃん、熱に弱いって言うべさ」
うん、細菌って熱に弱いって言うヨネ!
「だからさー、機嫌なおしなよー」
「さ、最初からこんなだしっ!」
くそ……女子の前で盛大にくしゃみするのがここまで恥ずかしいとは思わなかったぜ!!
オレは自分のあまりの雑魚さに苛立ちを覚えながらボディソープを勢いよく泡立てる。
「ダイキ、さっき身体洗ってなかった?」
「もう一回洗うだけっ!」
そう言いながらギャルJKの方を見ると、オレの視線は理想郷という名のテーマパークへと勝手に向いてしまう。
「いやいやダイキ、好きだねー?」
「そ、そそそそんなことないし!!」
ちくしょう!! 山好きが言うところの『そこに山があるからさ』状態なんだよこのやろおおおお!!!
目の前にギャルJKがいたら何があったとしてもオレはそこに視線が向いてしまう。
煩悩退散・煩悩退散・煩悩退散!!!!
オレは固く目をつぶりながら身体の洗浄を開始。
いつもより強めに擦り、痛みで煩悩を断ち切ろうと試みる。
「ダイキー、それ肌痛めるべ?」
耳元からギャルJK星のオレを心配する声が聞こえてくるも、オレはそれをスルー。
痛みに耐えながら煩悩を少しずつ取り払っていく。
痛い……が、いいぞ。 これならオレの脳を蝕む煩悩も……!
「はぁ……仕方ないにゃあ」
「!?」
ギャルJK星の声がしたと同時にオレのボディタオルを持った腕はギャルJK星の手によって止められる。
「ほ、星さん!?」
「ダイキ、自分の身体見てみ? めっちゃ赤くなってんよー?」
そう言われて自分の腕やお腹を見ると、確かに擦りすぎたようで真っ赤になっている。
気づけば興奮のオーラも完全に消失。
なんか肌がヒリヒリしてきたぞ。
「はぁ……ちょっとこっちおいでー」
「え」
ギャルJK星は湯船から出てオレの腕を引っ張りながら脱衣所へ。
脱いであった制服のポケットから丸く小さな容器を取り出す。
「ーー……それは?」
「軟膏だよー。 寒くなってくると肌が荒れるからね。 お腹のとこ特に赤いから塗ったげるよ」
ギャルJK星はタオルで簡単にオレのお腹の水分を拭き取ると目の前でしゃがみこんで軟膏を指ですくいオレのお腹にペタペタと塗っていく。
オレはしばらくの間そんな献身的なギャルJK星の姿に見とれていたのだが……
ーー……ん、待てよ?
ギャルJK星も裸でオレも裸。
そんな状況下でギャルJK星がオレの目の前でしゃがみこんで……
このシチュエーション……熱い!!
そう感じた途端にオレの脳内を煩悩が一気に占領し始める。
まぁその後どうなるかはわかるよね。
「ーー……え、ダイキ、流石に今じゃないでしょ」
ギャルJK星が少し驚いた様子でオレを見上げる。
「ごめんなさい」
もうこれはオレにはどうしようもねぇ。
「まぁいいよ。 いつものダイキに戻ったってことで今回は喜んどいてあげる」
ギャルJK星が優しい笑みを浮かべながらオレを見上げる。
あ……あぁ……ギャルJK可愛いんじゃああああ!!!!
「っと、あ、ダイキごめん。 当たった」
ファイア。
◆◇◆◇
「本当にすみませんでした」
オレは洗面台で顔を洗っているギャルJK星に深く頭を下げる。
分かる人には分かると思うんだが、今度はくしゃみをギャルJK星の顔に向けて発射してしまったのだ。
これは謝っても謝りきれない。
みんなだって顔面にくしゃみが飛んできたら嫌だろ? オレだって嫌だ。
「あ、あはははダイキ、気にすんな……気にすんなあははは」
ギャルJK星はそう言ってくれてはいるが……
「償いとしてお風呂掃除は全てオレがやっておくので星さんは着替え終わったら部屋でゆっくりしててください」
オレは再度ギャルJKに頭を下げて浴室へ。
湯船のお湯を抜いて洗剤をスポンジにプッシュ。 ゴシゴシと入念に擦っていく。
脱衣所に視線を向けると磨りガラス越しにだがギャルJKが服を着ている姿が見える。
ということは顔を洗い終わったんだなよかった……。
オレは「よし」と気合を入れて再び掃除に専念しだしたのだが……
「おっし、じゃあアタシもやりますわ!」
優香に借りた青いパーカーを着たギャルJK星が腕まくりをして浴室に入ってくる。
「え、星さん!? なんで!? ここはオレが掃除しとくって……」
「うんにゃ、それは悪いべ。 ゆーてアタシ泊めさせてもらってる身だしさ」
「でもオレ星さんに……」
「あー、あれは当てちゃったアタシも悪かったよ。 まぁその……あれだべ、なんだかんだで初めての経験だったけど気にすんなー」
ギャルJK星が少し顔を赤らめながらニカッと明るい笑みをオレに向ける。
うぅ。 この器の大きさ……さすがお姉様です!!!
「床は終わったんだね。 じゃあそのスポンジアタシに貸してよ。 アタシが浴槽やるわ」
そう言うとギャルJK星はオレからスポンジを受け取ると、ワシャワシャと揉み込んで泡の量を増やし浴槽内の掃除を開始。
「え……あ、じゃあお願いします」
オレはシャワーに持ち替えて床に残る洗剤をお湯で流し始めたのだが……
「あ、星さん。 足下ごめんなさ……」
ギャルJK星の足下の洗剤を流そうと見上げると、そこには真っ白なパンツ。
「!?」
あまりにもいきなりな光景にオレは驚きの声を上げながら尻餅をつく。
「ん? どうしたダイキ」
オレの尻餅に気づいたギャルJK星が浴槽に手をついてこちらを振り返る。
「あーこれね。 アタシお風呂掃除してたら足ビチャビチャにしちゃうタイプだからさ。 だからやる時はいつもパンツなんだよね」
「へ……へぇー」
ここからのこのアングル……最高だぜええええええ!!!
その後オレは何事もなかったかのように装いながらお風呂掃除を完遂。
「ジュースでも飲みながらあの件について話そう」と言うことになり、オレとギャルJK星は仲良くリビングへと向かったのだが……
「あ、おかえりダイキ、美咲」
「「え」」
そこには優香の姿。
ソファーに腰掛けながらコーヒーを飲んでいた優香がオレたちの方を振り返る。
「え、お姉ちゃん、課題終わったの?」
「うん。 量は多かったんだけど、案外全部簡単なものばっかりだったからさ」
「そ、そうなんだ」
えっとじゃあ……と言うことは?
オレが静かにギャルJK星に視線を移すとギャルJK星は小声で「残念だったね」と言いながらオレの背中をポンと叩いて優香のもとへ。
「じゃあゆーちゃん!! 清楚について語り合おうじゃないか!!」
「といっても私別に語ることあんまりないんだけどね」
「いいのいいの! それじゃあゆーちゃんの部屋へレッツゴー!!」
こうして優香とギャルJK星はオレに「おやすみ」と言った後に2人仲良く優香の部屋へ。
オレは結局聞きたかった事を聞けないまま、しばらくの間1人リビングで立ち尽くしていたのだが……。
「あ、洗濯機回してない」
オレは静かに脱衣所へ戻り洗濯機をオン。
その後洗濯終了のメロディが流れるまで部屋で待機しておくことにしたのだが、あの目の前のパンツが脳内から離れなかったので……
はっくしょん!!
ーー……てかオレの前の人生、くしゃみで死んだんだよな。
今日めっちゃオレ『はくしょん』してるけど……大丈夫だよね?
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パーカーから見えるパンツは正義!そう思いませんか!?
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