157 清楚JK!?【挿絵有】
百五十七話 清楚JK!?
ある日の放課後。
学校を終えたオレが家へと帰っていると、少し離れた先にJKが歩いていることに気づく。
黒髪ロングでサラサラヘアー。 デザイン的に優香と同じ高校だろうか……制服は着崩すことなくきちんと着用されていて、歩き方にもどこか気品が感じられる。
ーー……それにしても清楚にしてはけしからん体型しているぜ。
特にお尻とか。 一瞬でいいから強い風が吹いてスカートがめくれ上がってくれないかなぁ。
そんなことを変態の神に願いながら歩いていると、オレの家のあるマンションが見えてくる。
このJKも家がこの方向なのかな。 それにしてもまさかギリギリまでその可憐でセクシーなボディを拝めることができるなんて、今日はなんてツイてる日なんだ。
オレが小さな幸せを噛み締めていると、一瞬目の前のJKが立ち止まってクルッとこっちを振り返る。
「!?」
あまりにも不意で思わず目が合ってしまう。
その時に顔をもちろん確認したのだが、まさに美人。 前髪はいい感じに巻かれていて更にナチュラルメイク。
良く言うと学校のマドンナ・水島をもっと美人にして成長させたって感じだろうか。
目が合ってしまって気まずいというのにあまりの美しさに目をそらすことができない。
オレはそのまま清楚JKの姿に見惚れてしまっていたのだが……
「ふふっ」
……え?
清楚JKはそんなオレの姿を見てクスッと笑うとそのまま視線を戻して歩き出す。
ーー……なんだったんだ?
オレはその場で立ち止まったまま清楚JKの後ろ姿を見つめていると、なんということだろう!
清楚JKはオレの家のあるマンションの中へと入っていくではないか!!
えええ、まさかの同じマンション住み!?
優香と交流がないってことは他学年なのだろうか……いや待て、もしかすると彼氏とか他の友達の家が同じマンションってだけで遊びにきているってこともあるよな。 今まで見かけたことないわけだし。
こ……これは調査せねばなるまい?
オレは急いで清楚JKの後を追い彼女がどこへ向かったか探し出そうとしたのだが……
「くそ、やっちまった。 清楚な身振りしといて歩くの早いやつかよ……ちょっと遅れただけなのにもう階段を上ってる音すら聞こえねぇ!」
このまま清楚JKが家から出てくるのを待つという手もあるが、流石に季節はもう冬よりの秋。 このままここでジッとしてると風邪をひいてしまいかねない。
「仕方ない、今度にするか」
オレは清楚JK捜索を諦め自分の家のある階へ。
階段を上がり玄関へと向かっていると、オレの目に信じられない光景が舞い込んでくる。
ーー……え?
オレの視界の先にはまさかのさっきの清楚JK。
しかもうちの玄関の前でインターホンを押しているではないか。
「ーー……」
意味が分からず動揺していると、オレの視線に気づいた清楚JKがオレのいる方向へと視線を向け、ニコッと微笑んでくる。
「え、ええええっと……、あ、ああああの!!」
「ゆーちゃん、まだ帰ってない?」
清楚JKがオレに尋ねる。
てことはこのJK……優香の友だち……同級生なのか?
にしても美人だなぁ……。
「え、あ、はい。 多分買い物してから帰ってくるかと思うので、おそらく1時間くらいかかるかと」
オレは緊張しながら答えると、清楚JKはクスッと笑いオレのもとへ。
「え、え?」
オレの目の前にくると中腰になってオレに目線を合わせ、優しくオレの頭に手を添える。
「じゃあこのまま待ってても外寒いしさ、ゆーちゃん来るまで中に入れてもらっていいかな」
「え……ええええええええええ!?!?!?」
◆◇◆◇
「あの、これ、お茶……です」
オレは清楚JKをリビングへと通すとソファーに座らせて熱いお茶を湯飲みに入れて渡す。
「ありがとー。 気が効くんだね」
清楚JKはオレから湯飲みを受け取ると柔らかくも眩しい笑みをオレに向ける。
「え、あ、はい。 あははは」
や……ヤベェ。 めちゃめちゃ可愛ええ。
優香、こんな激かわ清楚JKと友達だったのかよ。
オレが心の底から癒されていると、清楚JKのスカートの上に置いてあったスマートフォンが振動。 清楚JKが中身を確認する。
「あ、ゆーちゃん今帰ってる途中らしいよ、後15分くらいで家に着くんだって」
清楚JKがメールの内容をオレに見せる。
「ほ、本当ですね」
「えっと……ダイキくんはこの後用事あるの?」
「い、いや! 特にないです!」
「じゃあゆーちゃんが帰ってくるまでの間、私とお話しする?」
「は、はい! します!」
オレが張り切って返事をすると清楚JKが「元気な返事だね」と言いながら座っている位置を少しずらしてオレを隣に座らせる。
あぁ……こんな見ず知らずのJKの近くに座ることができるなんて。
それにやはりこれだよな……このJK特有と言わんばかりのフローラルな香り。
オレはこの『癒しの香り』と『癒しの外見』の完全な虜となり、優香が帰ってくるまでのわずかな時間をこの清楚JKと過ごすことになったのだが……
「ただいまー」
大体10分くらいだろうか。
体感では1分も経っていないのだが、優香がスーパー袋の音を鳴らしながら玄関の扉を開けて帰宅。
そのままここ……リビングへとまっすぐ向かってくる。
「あ、帰ってきたね」
「で、ですね!」
それから間も無くリビングの扉が開かれて優香が中に入ってくる。
「あ、お姉ちゃんおかえり」
「ただいまダイキ。 それにいらっしゃい美咲」
優香がこちらに視線を向けながら買い物袋をテーブルの上に置く。
ーー……ん?
今なんて言った?
オレは優香を見つめたまま一瞬脳と体の両方が固まる。
え、美咲? 何を言ってるんだ?
美咲ってギャルJK星のことだよな。 でもここにいるには清楚JK……え?
脳内がぐちゃぐちゃになってしまい混乱していると、後ろの方からクスクスと笑い声が聞こえてくる。
オレはゆっくりと清楚JKのいる方に顔を向ける。
するとーー……
「あっはははははは!!!! ちょっとダイキ、アタシじゃん! え、なに!? 本気で気づかなかったわけ!?」
清楚JKがお腹を抱えて涙を流し、オレを指差しながら大爆笑している。
「え? え? え!?」
オレは意味が分からず目をパチクリとしていると清楚JKがスマートフォンをオレの目の前で操作。
するとオレのスマートフォンに着信が鳴る。
着信通知の相手は【星 美咲】。
「え……え!?」
オレは画面上に表示されている【星 美咲】の通知と目の前にいる清楚JKを何度も交互に見る。
「ってことは……あなたは……!?」
「だからそう言ってんじゃん、美咲お姉ちゃんだよーーん!!」
清楚JK……もとい清楚JKの皮を被ったギャルJK星が馬鹿でかい声で笑いながらその綺麗な指でオレの頬をツンツンと突いた。
「えええええええええ!?!?」
◆◇◆◇
それからしばらく。
「えっと……なんで見た目変えたの?」
目の前の清楚JKがギャルJK星だということになんとか納得したオレは何故ギャルJK星がこんなに変わってしまったのか尋ねる。
少し前まではいつものギャルJKだったのに。
「あ、そうか。 ダイキは何で美咲がこんな風になってるのか知らないんだね」
優香が買ってきたお菓子を持ってオレたちのもとへ。
「あのねダイキ。 美咲がこんなになった理由はねーー」
「うわああああ!! ゆーちゃんストップストーップ!!」
ギャルJK星が慌ててソファーから立ち上がり優香の口をふさぐ。
「ちょっとゆーちゃん、内緒って言ったじゃん」
「えーー。 でも美咲も私が昔荒れてたことダイキたちに教えちゃってたしなーー。 どうしよっかなーー」
優香がギャルJK星に意地悪な笑みを向ける。
ーー……かわいい。
「待って待って、それならアタシの口から言うわ!」
「えーー言えるのーー?」
「言えるって!」
「ウソついたらすぐにダウトって言うよー?」
「う、うん! 任せてよ!」
「それじゃあ……」とギャルJK星が息を落ち着かせながら体をオレに向ける。
「あのね、ダイキ……アタシがこんなになった理由はさ……」
なんだ? 生活指導の先生にでもこっぴどく叱られたのか?
それとも金髪に飽きた?
色んな予想を脳内で張り巡らせながらオレはギャルJK星の口から発せられる言葉を待つ。
「えっと……、あのーー、そのーー」
「年上の人に一目惚れしたんだって」
ひょこっと優香がギャルJK星の後ろから顔を出してオレに教える。
「いやいやいやお姉ちゃん、それは流石に騙されないよ。 ねぇ星さ……」
冗談だろと思いながらギャルJK星の顔を見ると、まさかのギャルJKらしからぬ照れ具合。
顔を真っ赤にして目を大きく見開いている。
「ーー……え、ほんと?」
オレが尋ねるとギャルJK星は目線を泳がせながら首を縦にコクリ。
「ええええええええええ!?!?!?」
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時間がなくても挿絵を描くこのチャレンジャー精神!笑
なんだかんだで未だよく分かっていないみんなの頼れるお姉さん、ギャルJK星さん回!始まります!!