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156 神の加護!?【挿絵有】


 百五十六話  神の加護!?




 「ダイキ。 美香もスマホが欲しい」



 ある日の放課後、美香がオレの腕をグイッと掴み上目遣いで見てくる。



 「……あのなぁ美香、流石に魂は女の子じゃないって知ってんだ。 そんな顔してもオレには効かんぞ」


 

 オレは軽くため息をつきながら美香の手を剥がす。



 「でもダイキ、美香のおかげで水島花江の脅威から回避できた」


 

 美香が無表情のままオレに顔を近づけてくる。



 「そ、それはそうだけどよ……」


 「それに……」



 美香は周囲を軽く見渡した後、誰もいないことを確認するとオレの耳元で小さく囁いた。



 「それに誰のおかげで再び人としての生活を送れていると思ってるのじゃ」


 

 ーー……出たな裏美香。

 美香の魂に入っている神様……裏美香が「なぁどうなのじゃ?」とオレに問い詰めながら脇腹をツンツンとつつく。



 「も、もちろんそれも感謝してるぞ? だけどオレ、その代償として持ってたイチゴパンツ神様にあげただろ」


 

 オレは裏美香のスカートを捲り、タイツ越しに見えるイチゴパンツを指差す。



 「ダイキ、お主とうとう何の躊躇もなく女子のスカートを捲るまでになってしもうたのか」


 

 裏美香が顔を少し赤らめながらスカートに手を当てる。



 「ーー……いや、なに恥ずかしがってんだよ」


 「仕方なかろう。 ワシ、今女の子なんじゃから」


 「どういう意味だよ……」


 

 オレが裏美香を無視して帰ろうとすると後ろで何かが倒れる音が。

 一体どうしたんだと思い振り返ってみると……



 「いーやーじゃ!! スマホ欲しいんじゃ!! ダイキみたいにエッチな写真たくさん撮って保存するんじゃああああ!!!!」


 「……!!!!」



 こ……こいつ!!!!



 オレは急いで裏美香のもとへ駆け寄り口を塞ぐ。



 「ちょ!! なに言ってんだ美香……!! 黙れい!!」


 「いやじゃーー!! ワシだって欲しいんじゃ……欲しいんじゃああああ!!!」



 歳をとると幼児化したみたいに我儘になっていくというお年寄りも多いと聞くが、もしかして神様もそうなのだろうか。

 とりあえずオレが思うことは……



 面倒くせえ!!!


 

 ◆◇◆◇




 週末。

 何かとお世話になっているファミレスの前で待っていると、なんだかんだで久しぶりの姿がオレの目の前に。



 「ダイキ!! 久しぶりだね!!!!」



 そう、オレの目の前にいるやけにテンションの高いぽっちゃり巨体はオレの大学時代の友達・工藤裕太。

 裏美香が駄々をこねた日の夜、どうすれば女子小学生単体でスマホを手に入れることが出来るのか知恵を貸してくれと工藤に電話で相談したのだ。


 その会話がこちら!!



 ====



 「……で、どうすればいいと思う?」


 『いいなぁダイキは。 JSとそんな話してるんだー』


 「いやいや、オレも困ってんのよ。 JS単体じゃあ契約できないだろ? オレが姉の優香にお願いするのもなんか違うしさ……なんかいい案ないかな」


 『ある……といえばある』


 「何だ?」


 『僕が自分名義で新しく契約したスマホをその子にプレゼントするんだ!』



 スピーカー越しに工藤の荒い鼻息の音が聞こえてくる。



 「いや……でもお前、それしたらお金大丈夫なのか?」


 『考えてみてくれダイキ』


 「ーー……?」


 『僕名義のスマホをまったく繋がりのないJSが使うんだぞ……それって、そう簡単に出来ることじゃない。 いや、普通はできない!!』


 「う、うん。 そうだな」


 『それってもうあれだよね! スマホを僕自身と考えたら、僕とそのJSは一心同体……結婚してるようなもんじゃないか!!!!』


 「そうだな。 とりあえず落ち着け?」


 『それでダイキ……そのJSってどんな感じの子なの?』


 「んーとね、髪は赤茶色のおさげで、赤縁メガネの無表情……かな」


 『ミ……ミ……』


 「……? ミ?」


 『ミステリアスっ娘キタアアアアアアアア!!!!!』


 「えええええええ!? なんで今の情報だけでミステリアスって分かるんだよ!! いや当たってるけどさ!!」


 『こうしてはいられない!! ダイキ!! 今週末の土曜、いつものファミレスでいいよね!!』


 「あ、うん。 なんかその……ありがとな」


 『ウホォオオオオ!! これは高まってきたよ!! フンスフンス!! それじゃあ時間は追って連絡するね!!』



 ====




 「それで……ミステリアスっ娘は!? どこだ!?」



 工藤が鼻息を荒げながら周囲をぐるぐると見渡す。

 


 「あー、もうそろそろ来ると思うんだけど……」



 オレがそう答えたとほぼ同時。

 いつの間にか隣にいた美香がオレの肩をぽんぽん叩く。



 「ダイキ」


 「うわああああ!!! い、いたのかよ!!」


 「さっきからいた」


 

 美香はそう答えると、視線をオレから目の前にいる工藤へ移す。

 工藤も視線を美香にロックオン!!

 目を大きく見開いて「君がスマホの子?」と声を震わせながら尋ねる。



 「そう。 美香の名前は与田美香」


 「与田……美香ちゃんっ!!!」


 「あなたが美香のスマホ、買ってくれる?」



 美香が工藤を見上げながら首を軽く傾げる。



 「そ、そそそそそうだよ!!! 僕は工藤裕太!! よろしくね!!」


 「工藤裕太……ユウタ、ありがとう」



 美香はうっすらと口角を上げて、工藤めがけてほぼ無表情スマイル。

 それは工藤の萌え魂に深く突き刺さる。



 「おぅっふううーー!!」



 工藤はその場で胸を押さえながら膝から崩れ落ち、全身を細かく震わせながら美香を見上げてこう呟いた。



 「あ、危うく萌え死ぬところだったよ……」



 ーー……うん、工藤。 それ他の女子に言ってたら確実にアウトだからな。 

 マジでオレの知らない間にチビッ子にセクハラをして逮捕されてました……とか勘弁してくれよ?



 こうしてオレたちは携帯ショップへ出発。

 工藤が店員さんに呼ばれて契約の手続きをしに向かったので、オレは美香と2人で待合席的な場所で工藤が戻ってくるのを待っていたのだが……。



 「それにしても、なんでユウタが買いに行く? ダイキじゃダメだった?」



 美香が不思議そうに工藤へと視線を向けながらオレに尋ねる。



 「まぁそうだな。 確か18歳以下は1人では買えなかった気がするぞ」


 「美香、1000歳以上」


 「ーー……それ、魂の話な。 でもその体つきはめちゃめちゃ小学生じゃないか。 それじゃあお店の人は売ってくれない。 それにスマホって簡単に言うけど高い買い物だし」


 「そうなの?」



 美香がスッと立ち上がり、展示されているスマートフォンコーナーへ。

 そこに書いてある値段を1の位から指でなぞりながら声に出して読んでいく。



 「いち、じゅう、ひゃく、せん……10万円?」



 美香は信じられないようで目を少し大きく見開きながら再度数え直す。



 「ダイキ、スマホ、高価。 美香、知らなかった」



 美香がありえないといった感じで首を左右に振りながらオレを見る。



 「だろ?」

 

 「ユウタ、これを買ってくれる?」


 「そうだ。 だからちゃんと感謝してくれよ。 もちろん工藤にな」


 「これは流石に感謝する。 だって、神社とかでのお賽銭って1人につき基本5円。 だから……参拝客2万人分」


 「ーー……うん、その計算方法はちょっとやめたほうがいいかもしれないな」



 オレが軽く突っ込むと美香は口に手を当てて「むむむ」と考え出す。



 「どうした?」


 「ねぇダイキ。 ユウタは何をしたら喜ぶ?」


 

 美香が工藤を指差しながら尋ねる。



 「いや、あいつなら普通に『ありがとう』って言うだけで喜ぶんじゃないかな。 ほら、さっきの反応見ただろ? あいつってあんな感じだから、女子小学生に感謝されるだけで人生の頂点なんだよ」


 「なるほど。 ユウタ、ロリコン?」


 「みなまで言うな」


 「ふむむ。 わかった。 ありがとうダイキ」



 何に対してのありがとうだったのかはわからないが美香はどこか納得した様子で1人小さく頷くと待合席へと戻っていった。

 



 ◆◇◆◇



 

 「お待たせー!!!」



 スマートフォンを契約し終えた工藤が手を振りながらこちらへ駆け寄ってくる。



 「ユウタ」


 「うん美香ちゃん! はいこれ! 君のスマホだよ!!」



 工藤がショップ袋から取り出したスマートフォンを美香に渡す。



 「これが美香のスマホ?」


 「そうそう! 大切に使ってね!」


 「ユウタ、ありがとう」



 美香は工藤の手を握り、少しだけ口角を上げて工藤に微笑みかける。



 「ーー……!!!!!!」



 工藤……オレには見えたぞ。

 お前の後ろに巨大な雷が落ちた瞬間が。



 「み、みみみ美香ちゃんが……わ、わわわ笑ってくれたあああああああ!!!! そして……触れてくれたあああああああ!!!!」



 工藤は目を輝かせながら美香の手を握りしめる。



 「ユウタ。 美香、嬉しい。 大切にする」



 そう工藤に伝えると、美香は工藤の手を引きながら「こっち」と店の外へ。

 人の溜まっていない場所まで工藤を誘導すると、美香はそこで手を離し、一歩後ろへと下がる。




 「み、美香ちゃん?」


 

 オレと工藤が一体何事かと美香を見ていると、美香は工藤に手招き。



 「ぼ、僕?」


 「そう」


 「その……何かな」



 工藤が興奮しつつも困惑しながら尋ねると、美香はその場でクルッと回ってポーズを決める。



 「み、美香ちゃん!?」


 「ユウタ、これはスマホのお礼。 ユウタのスマホで今日は美香の写真、好きなだけ撮っていい」



挿絵(By みてみん)


 

 「「な……なんだってええええええええ!?!?!?!?」」



 オレと工藤が同時に反応。


 オレはそこから行動には移さなかったのだが、工藤は今しかないと思ったのだろう。

 まるで銃の早撃ちをするガンマンのようにスマホを華麗にポケットから取り出すと、そのままノールックでカメラアプリを起動。 そのままシャッターボタンを長押しして連写を始める。



 カシャッ! カシャシャシャシャシャ!!!!!



 「ほ、ほほほ本当にいいのかい!?」



 工藤がシャッターを連写しながら尋ねると、美香はコクリと頷きながらまた別のポーズ。



 「いい。 これは美香に出来る数少ないお礼。 気にしなくていい」


 「ほわああああああああ!!! ありがとう美香ちゃん!!! ありがとう!!!」


 「それとユウタ、後で美香と連絡先交換する」


 「うええええええ!?!? いいの美香ちゃん!!!」


 「いい。 構わない」


 「ジェ……JSの連絡先キタアアアアアアア!!!!!」



 工藤は片手でスマートフォンのシャッターを切りながらも、もう片方の手をまるで何かに勝利したかのように高らかに掲げた。



 こうして工藤はしばらくの間美香の写真を超連写。

 その後美香の発言通り、美香と連絡先を交換し、ファミレスで軽く食べながら雑談した後解散したのだった。




 「それにしても美香のやつ、よく工藤の喜ぶツボをピンポイントで攻めてこれたよな」

 


 独り言を呟きながらオレは自宅までの道をのんびりと歩く。



 「あ、そうか。 美香も元々はいちごパンツ好きでJSリップに魅力を感じるロリコン神なんだった。 要するに好みの核が工藤と似ていたということか……なるほどな」



 1人で納得しているとポケットに入れていたスマートフォンが振動していることに気づく。

 確認してみると工藤からの着信だ。 



 「もしもし工藤、どうした」


 『ダイキ……もうあの携帯ショップ付近にはいかないようにしたほうがいい』


 

 いつになく真剣な声色。

 


 「急にどうしたんだよ」


 『僕さ、帰りに今日撮った美香ちゃんの写真を舐めようと……いや、眺めようとしたんだよ』


 「う、うん」


 『それで画像フォルダ開いたらさ……』


 「うん」


 『美香ちゃんと一緒に白いモヤモヤが写ってるんだよ!! 全部の写真に!! それによく見たら人の形してるし……あそこ絶対変な幽霊いるよちくしょう!!!』



 通話の後にその写真を送ってもらうと、確かに美香の隣に人型のモヤモヤが写ってはいるが……


 オレには分かるぞ。 これは神様本来の姿のシルエットだ。


 

 てことはこの写真は心霊写真というよりかは神霊写真とでもいうのだろうか。

 だとしたらかなり縁起のいい写真ってことになるよな。


 オレはメールで工藤に『これは消さないで残しといたほうがいいんじゃないか』と送り、そのまま家へと帰宅したのだが、その夜のこと。


 結城がオレの部屋で寝ているためオレがソファーの上で寝転がりながらスマートフォンをいじっていると、突然工藤からメールが届く。

 こんな夜にどうしたんだろうと思い中身を確認してみると……



 【受信・工藤】信じられないかもしれないけど宝くじ当たった! 一等ではないけど結構な値段! あ、それとさ、宝くじ当たってから美香ちゃんの写真もう一回確認してみたら、白いモヤモヤ消えてるんだ! あれなんだったのかな。



 ーー……え、まじ?


 急いで工藤から送られてきた写真をオレも確認してみると、確かに白いモヤモヤ……神様のシルエットが消えている。



 この奇跡は単なる偶然なのか、はたまた写真に写っていた神様の力によるものなのか。

 答えは神様のみが知ってるんだろうな。



 ーー……オレも1枚くらい撮っておけばよかったぜ。



今回もお読みいただきありがとうございます! 

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次回! 懐かしの……!?


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