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155 欲望渦巻く校内散歩!


 百五十五話  欲望渦巻く校内散歩!




 「なぁ西園寺、痛くないの?」



 オレは縄跳びの紐を右足首に巻いた四つん這い状態の西園寺に尋ねる。



 「な……なんでかな、福田くん、ハァハァッ」


 「いや、オレは紐持ってるだけだからいいんだけどさ、お前は実際に巻かれてるわけじゃん? だからこう……その体勢で歩くときとかに痛くないのかなって」


 

 紐を巻く際にオレはランドセルにつけたほうがいいのではないかと提案したのだが、西園寺が「それじゃあ犬っぽくない」と否定。

 その結果、西園寺の指示ではあるのだが左足首に軽く巻きつける……ということになったのだ。


 そしてオレの隣には縄跳びの紐を持った美香と、紐を右足首に巻いた状態で四つん這いになっている清楚系女子・水島花江。

 教室ではいつも通り?にランドセルに巻きつけていたのだが、西園寺の行動を見た水島が「じゃ、じゃあ私も……!」と謎の対抗心を燃やして自ら足首に巻きつけていたのだ。



 おそらく理由はこれ。


 最近三好から聞いたのだが、今までは水島が【学校のマドンナ】と呼ばれていた。

 しかしここ最近になって突然凶悪性が消失し大人しく可憐さが増してきた西園寺と、2学期になって突如現れたフランスからの転校生のエマの2人が【学校のマドンナ候補】として徐々に名前が挙がってきているらしいのだ。


 西園寺にはどんなことであれ負けたくないんだろうな……現マドンナのプライドか。



 ……だからだろう。

 さっきから水島は西園寺に負けじと先を行こうと必死に手足を動かして前へと進んでいる。

 別にこれ、レースとかそういうものではないのだが……。


 一方西園寺は誰かに見られるかもしれないというスリルに脳を侵されているのだろう……息をハァハァさせてどこかに人がいないか必死に首を周囲に向けながら進んでいた。


  

 ーー……しかし、あれだな。



 オレはチラチラと西園寺と水島のお尻を交互に見る。

 もちろん制服は着ているしそこまで短いわけでもないからパンツも見えてはいないのだが、前に進むたびに左右に揺れるその様が激しくエロい!

 あれらに挟まれたらどんなに幸せなことか……。


 

 「ぐへ……ぐへへ……」



 そんなことを考えながら歩いていると、少し先……空き教室の方から綺麗な楽器の音色が流れていることに気づく。



 「ーー……ん、なんだ?」


 

 その音の鳴っている方へと視線を向けると……


 

 「ふ、福田くん!!」



 突然西園寺がこちらを振り返り目を大きく開く。



 「な、なんだ!?」


 「多分だけどあれ、吹奏楽部だよ!」



 西園寺が空き教室の方をピシッと指差す。



 「なに!? こんな時間までやってるのか!」


 「うん。 同じクラスの子で吹奏楽部の子いるんだけど、そういやコンクールが近いから遅くまで練習してるって言ってたような……」


 「な、なるほどな。 あっぶねぇー」



 オレはホッと胸をなでおろす。

 もしオレがこのまま西園寺や水島のお尻の虜になりすぎて現実に戻ってこれなくなっていたら、危うく堂々とその教室の目の前通って見つかっちまうところだったぜ。


 ーー……てことは別ルートを回るしかないな、


 オレはこのまま進むのを断念。

 一旦戻って階段を上るため、西園寺に「ちょっと戻るぞ」と声をかけて握っている紐をクイッと引っ張る。

 しかしーー……



 「西園寺?」



 縄跳びの紐を強めに引っ張っても西園寺がその場を動こうとしない。


 

 「お、おい。 聞こえてるか」



 そこから数回引っ張ると、ようやく西園寺が口を開いた。



 「ね、ねぇ……福田くん」


 「なんだ?」



 「私……このまま進みたい!!」



 西園寺が今まで以上に顔を赤らめ息を荒げ、欲望に満ちた表情でオレを見上げる。



 「ーー……え? ええええええええええ!?!?!?」



 こ、こいつ……頭大丈夫か!?



 「な、なぁ西園寺、行ったらバレるんだ。 わかるよな?」


 「ハァハァ……で、でも、福田くん。 めちゃめちゃ興奮するよ? ハァハァ……」


 「あの、いや、だから……」


 「もしかして福田くん、これくらいのことで怖気付いてるの?」



 ーー……ピクッ



  あん? なんだと?



 オレの心の中……どこかの扉の鍵が外れる。



 「おい西園寺、お前なんて言った?」



 オレが西園寺に尋ねると、西園寺は体をビクッと震わせ嬉しそうに口角を上げる。



 「ふ、ふふふ福田くん!? な、なんかその感じ……久しぶりだねっ」



 何を言っているのか分からないが、これくらいのことでオレが怖気付くだって?

 ふはは……馬鹿らしいにも程があるぜ。


 そうだよな、思い返せばいつからオレはここまで保守的になっていたんだ。

 思い出せ……このダイキの体に入って感じた変態ソウルを!!

 そう、今のオレは大人ではなく小学生!! 何をしても合法……罪にならないんだ!!!!



 オレは紐をギュッと握りしめ西園寺を見下ろす。



 「よし西園寺、お前の願いを聞いてやろう。 ただし、そう簡単に上手くいくと思うなよ?」



 ◆◇◆◇



 【ミッション】 空き教室で練習している吹奏楽部の前を通り過ぎよ!!



 水島は羞恥心に負けてその場で座り込み動けなくなっていたため、オレは西園寺を連れて先に行ってくると宣言。

 美香は敬礼をしてオレと西園寺の戦場へと赴く姿を見送っていた。



 「西園寺、準備はできてるな?」


 

 戦地まで残り3メートル。 聞こえてくる音色が次第に大きくなっていく状況でオレが西園寺に尋ねると、西園寺は無言で息を殺しながら大きく数回頷く。

 

 おいおい西園寺、無言で通り過ぎれるとでも思ってんのか?


 教室の前に差し掛かると扉は開きっぱなし。

 しかし西園寺が四つん這いのまま通り過ぎるも部員たちは楽譜に集中して気付いていないようだ。

 ならばーー……



 オレは西園寺の体が扉の半分くらいを過ぎたあたりで紐を思いっきり引っ張る。



 「!?」



 西園寺は左足に巻き付けられていた紐がグイッと後ろへ引っ張られてバランスを崩し、「ひゃ!?」という情けない声とともに転倒。



 「「?」」


 

 数人の部員が一瞬楽譜から廊下に視線を移すも、誰も下の方なんて見ていないのだろうな。

 みんな後ろに立っていたオレを一瞬見ると、そのまま楽譜へと視線を戻して演奏に集中し始める。

 ーー……まぁそのためにオレがみんなの視線に集まりやすい位置に立ったんだけどな。 西園寺はそんなこと気付いてないかもしれないけど。


 目の前には倒れたことによりスカートの大きく捲れた西園寺の姿。

 スカートの中から黒生地でキャンディーやら音符やらのイラストが細かく散りばめられている柄のパンツが顔を出している。



 「ハァ……ハァ……」



 これはバレたかも……と思っているのだろうな。

 西園寺は目を大きく見開かせながら教室の方を凝視している。

 といっても西園寺の視線から部員たちの姿は見えてないだろうけど。


 さて、まだ終わってないぞ西園寺。



 オレは何気ないそぶりで扉を通過。

 部員たちからは死角になっているであろう場所でしゃがみ込んで西園寺の耳に顔を近づける。



 「どうする西園寺。 教室の中にいた子たちに見られちゃったかもしれないぞ」


 「ーー……!!」



 オレが小さく囁くと西園寺は脚をキュッと閉じて小さく身震い。

 


 「ど、どうしよう、私ってバレちゃったかな」


 

 そう言いながらも流石はドM……表情はかなり嬉しそうだ。

 そして西園寺……片手が勝手に股の方へと伸びているぞ。 気持ちいいのはわかるけどここは自重した方がいいんじゃないかな?

 まぁその光景を見ていたいっちゃあ見ていたいのだが……



 「はーーい、時間なので練習終わり! 荷物まとめて音楽室に集合!」



 教室内にいた先輩っぽい子が皆に指示。

 一斉に楽器を片付け出す音が聞こえてくる。



 「!! 福田くん!!」


 「あぁ、とりあえずここから退散するか」



 オレは西園寺の手を取り立ち上がらせて、後ろにいる美香たちにアイコンタクト。

 「戻るぞ」と合図をした後急いでスタート地点である教室へと向かったのだった。


 

 その時西園寺の手を握って引っ張っていたのだが……



 何やら指先が湿っぽかったぞなんでだろうなハァハァ!!




 ◆◇◆◇




 教室へと帰還すると流石に疲れたのか西園寺はその場でペタンと座り込んで息を整え出す。

 水島も同様に中腰の状態で膝に手を置きながら息を整えていたのだが……



 「ねぇ、ダイキ」



 美香が息ひとつ荒げずにオレに声をかける。



 「な、なんだ?」


 「ダイキ、男の子は大変。 女の子は楽」

 

 「と、突然どうしたんだ?」



 オレたちの視線が美香へと集まる。



 「男の子は、そういう気分になったらすぐに分かる。 でも、女の子はそう簡単にはわからない」



 「「「??」」」



 オレや西園寺、水島が頭上にはてなマークを浮かべていると、美香は西園寺に手を差し出す。



 「えっと……与田さん? なに?」


 「西園寺希。 スマホ貸して」


 「え、スマホ? うん、いいけど……はい」



 西園寺が美香にスマートフォンを渡す。

 するとーー……



 カシャッ



 「え?」



 美香はカメラをオレに向けてシャッターを切り、「うんうん」と頷く。



 「おい美香、どうしてオレを撮った?」


 

 そう尋ねると、美香は「ほら、これ」と言いながらスマートフォンの画面をオレたちに向ける。

 その画面に映っていた画像を見たオレは戦慄した。


 そう……それはとてもファンタスティックなもので、それを見た感想をユニークに例えるとあれだ……萎れた植物が水を与えられて元気になっているといった……そのような力強い生命力の溢れた写真だったんだ!!


 健全的な考え方をするとオレの体全体から滲み出るオーラが生命力に溢れすぎていて、見るもの全てを元気にするというような……。


 

 「ちょ、ちょちょちょーーい!! なんで撮ってんだよ美香!!」



 その画像を見た西園寺と水島の視線がオレのとある1点へと注がれる。

 ちなみに西園寺は感嘆の表情、水島は顔がこれでもかというくらいに真っ赤になっていたのだが……



 まぁこれはこれで……よくない!!!


  

 その後オレたちは外が暗くなってきていたのでその場で解散。

 そしてその日の夜、西園寺からとてつもなく恥ずかしいメールが送られてきたのだった。

 

 それがこちら。



 【受信・西園寺】 福田くんの写真、見てて面白かったから壁紙にしてみたよ! どうかな!



 添付ファイルを開くととある部分を拡大表示させた壁紙。

 


 もしかして今、西園寺はこの画像を見ながらマッサージをしているのだろうか。

 そう考えたらオレも燃えてきたぜえええええええええ!!!!



 

 

今回もお読みいただきありがとうございます! 

下の方に☆マークがありますのでよろしければ評価していってくださると嬉しいです!

感想やブックマークもお待ちしております♪


あと1話くらい美香加えた話を入れて、美香のイメージを固めてもらった上で次の話へと向かいます!!

なので次回、挿絵描きます!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久々に……読みに来ました……! 最後のダイキの写真…… きっとご立派な……
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