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152 懐かしの感覚!【挿絵有】


 百五十二話  懐かしの感覚!



 茂みから出てきた人物を見た水島の目が大きく開かれる。

 水島の瞳に映った人物とはーー……



 「美香でした」



 そう……神様が創造し、神様の理想がぎっしりと詰まった、神様の魂入りの少女・与田美香。

 どうして美香がここにいるかと言うと、それは宝探しイベントが始まってすぐくらいの時にまで遡る。



 ◆◇◆◇



 水島の後ろをついて歩いていると、途中で公衆トイレを見つける。

 ちょうど朝食時に飲み物を結構飲んだこともあったので水島に断りを入れた後にトイレへ。 そこで用を足していたのだが……



 「ダイキ」


 「ーー……!!」



 男子トイレ内で突然女の子の声が聞こえたので周囲を見渡す。

 するとまさかの真横に美香の姿が。



 「うおおおお!! いきなり現れんなよ神様……いや、美香!!」


 「いきなりじゃない。 トイレに入った辺りから隣にいた」


 「だったら声かけてくれよ……存在感なさすぎなんだよ」


 「それが、美香の個性」



 美香が無表情のままキランと目を光らせて親指を立てる。

 その時に気づいたのだが、美香の唇がプルンと潤っている……早速エマのリップ使ったようだな。


 

 「それで美香、何か用か?」


 「うん」


 「なんだ?」


 「それより早く、それ、しまう」



 美香の視線が斜め下へ。

 オレもその視線をゆっくりと辿っていくとーー……



 「いやいや仕方ないだろ! トイレ中に話しかけてくる美香が悪いぞ! てか見るなああああああ!!!」


 「大丈夫。 美香、この姿になってから無くなったから見るの久々」



 うん、何を言ってるのか分からない人はそのままスルーしてくれて構わない!

 分かる人はまぁ……そうだな、そう言うことだ!

 


 「美香、この姿になってから、それ、初めて愛しく思えた。 なんで?」


 「知らねえよ。 神様でも分からないもことをオレに聞くんじゃねえよ」


 「ダイキ、それ禁句。 美香は美香」



 それから美香はオレのトイレタイムが終わるまで、まるで懐かしいものを見るような目で何かをずっと眺めていた。

 ……健全な思考で考えると、おそらく美香は男子用の便器を見ていたんだろうな。



 トイレタイムが終わりオレがズボンのファスナーを閉めるとようやく本題へと入る。



 「ていうか水島さん外で待たせてるから用件は簡潔にな」

 

 「わかってる」



 そう言うと美香は視線をオレからトイレの外へ。

 そのままゆっくりと口を開く。



 「その用件が水島花江」


 「え?」



 「どうして?」といった表情を浮かべながらオレは美香を見つめる。

 するとーー……


 

 「水島花江に気をつけた方がいい。 これ、神からの助言」



 美香は便器に片手を置き、もう片方の手の指を唇に当ててドヤ顔を決める。



挿絵(By みてみん)



 おいおいさっき『神』は禁句って言ってなかったか?

 それにしても中身がなんであれ、男子用便器と女子小学生……中々にレアな組み合わせだな。 ニヤニヤ。


 ……は、いかんいかん。


 一瞬思考がエロ路線に進もうとするも、「水島に気をつけろ」の言葉が耳に残っていたオレはすぐに脳を現実に戻す。



 「いやいや美香、それ助言なのか? 具体的にどう危険なんだよ」


 「それは美香の言語能力じゃ時間がかかる。 とにかく気をつけて」



 うーーん、そう言われてもなぁ。

 この後……それか将来的に何かあるって意味なのだろうか。 

 まだにわかには信じ難いけど、とりあえず予防線でも張っておいた方がいいよな。



 「……じゃあとりあえず、これ渡しておくよ」



 オレは自分のスマートフォンを取り出して美香に渡す。



 「これ……スマホ?」


 「そう。 使い方わかるか?」


 「なんとなく。 天から見てた」


 「じゃあとりあえず簡単に教えるからそれを覚えておいてくれ。 それで美香、お前はこの後、持ち前の影の薄さを活かしてオレたちを後ろから追ってくれ。 それでもし何かあったら……」



 オレは美香に写真の撮り方と動画の撮影方法を教えていく。



 「へぇー……便利じゃのう」


 「お、おい。 素が出てるぞ」


 「!! ……これ、便利」


 「じゃあちょっと頼むな」


 「任せて」



 こうしてオレは尾行と撮影を美香に頼んだ後、トイレの外で待つ水島のもとへと駆け足で向かったのだった。

 



 ◆◇◆◇



 

 「ほらね、美香の言った通り」



 美香は瞳だけドヤりながらオレの前へ。



 「あ、あなたは!?」


 

 水島が混乱しながら美香を見る。



 「美香は、3組の与田美香。 知らない?」


 「3組の? ーー……あぁ、そういえばそんな人もいたような気もするけど」



 水島は眉間にしわを寄せながら美香をマジマジと見つめる。

 まぁよく知らないのも無理もないよな、だって昨日美香はこの地に降り立って記憶をいじったんだから。



 「それで……『美香の言った通り』ってどう言う意味?」



 水島が美香に詰め寄る。



 「美香、占いできる。 だから、分かる」


 「それどんな占いよ!」


 「企業秘密」



 美香は一切物怖じすることなく淡々と水島の質問に答える。

 そこらへんはやっぱり中身が神様だからなのかな。

 


 「とりあえず水島、これでお前の行動は美香に持たせたスマホの中に全て入っている。 残念だけどここまでだな」



 オレは顔についた汚れを払いながらゆっくりと立ち上がり水島を見下ろす。



 「は!? そんなのまだ分からないし! そもそもそのスマホを奪ってデータを消せば……!」


 「水島、それも無駄だ」



 オレは水島の背中をポンと叩くと視線を美香へ移す。



 「なぁ美香、教えた通りにやってくれたか?」


 「もちろん。 美香、やればできる」


 

 美香はコクリと頷くと、とあるSNSアプリを起動させてオレたちに見えるようにその画面を見せつける。



 「そ……それって!!」



 水島の顔がドンドンと青ざめていっているのが分かる。

 それもそのはず、オレはSNSアカウントに動画を載せておくよう美香に頼んでおいたのだ。


 

 「その通り。 流石は水島……あの画面だけで理解したようだな。 そう、もうネットに上げてるからオレのスマホを壊したところで意味はない。 残念だったな」


 「そ、そんな……消して!! 今すぐ消してよ!!」


 

 オレは今にも美香に飛び掛ろうとする水島の腕を掴んでそれを制止。

 美香に「もういい」と伝えてスマートフォンを美香のポケットに入れさせる。



 「とりあえず落ち着け水島」


 「なんでよ!! どうしてこの状況で落ち着けって言うの!?」


 

 水島が必死に腕を振りながらオレを睨みつける。



 「聞け水島。 まだお前の動画はネットに公開されていない」


 「ーー……!? どう言う意味!?」


 「あのSNSのアカウントには鍵をかけている。 だからまだ全ての人があの動画を見ることは出来ないんだ。 ただ……」


 「ただ……?」


 「今後のお前の行動次第では、アカウントの鍵を解除して全世界に公開する」



 オレはニヤリと笑いながら水島に顔を近づける。



 「!!」


 「それをみんなが知ったらどう思うだろうなー。 今までお前が築き上げてきた『マドンナ的地位』も全て地に墜ちるねぇ」


 「あぁ……ああああああああ!!!!」


 水島の体が細かく震えている。

 うおおおおおお!! これこれこの感覚……懐かしいぜええええええ!!!

 三好や多田、そして西園寺を攻略した時の興奮がフツフツと甦ってくる。


 しかしここで三好たちのように勢いに任せて好き勝手してはいけない。

 今までオレは欲望に身を任せた結果、とある失敗をしてしまっていたからな。


 三好たちの失敗点はただ1つ。

 あれから深く関わりすぎて、あまりにも行きすぎた行為は情が邪魔をしてできなくなってしまったというところだ。

 だから今回はその反省点を活かす!



 「水島、今後お前はオレの奴隷。 近くに誰かがいるときはいつも通りで構わないが、オレと2人きり……もしくはその周辺に人がいない場合にのみ、オレのことは『ご主人様』と呼べ」


 「ーー……!!」



 水島は信じられないようなものを見るような目でオレを見る。



 「おいおい驚いてるようだけど、それだけじゃないぞ? オレを『ご主人様』と呼ぶからにはちゃんと命令も聞いてもらう」


 「め、命令?」


 「あぁそうだ。 本来なら今すぐにでも命令したいところなのだが……まぁその内容はその時のお楽しみだ」


 「ーー……もし、命令を聞かなかったら?」


 「それは決まってるだろ。 さっきのお前の動画が全世界同時配信だよ」


 「ーー……くっ!!」



 水島が悔しそうにオレを睨む。



 「おーおー。 この奴隷、ご主人様に向かってなんて態度だ。 これは躾が必要だな」



 オレは水島の襟を掴んでグッとこちらに引き寄せる。

 とりあえず一回分からせてやるか。



 「よし、お前は今から犬だ。 犬としてオレに接しろ」


 「ーー……!」

 

 「はい、ふせ」



 オレは水島を見ながら地面を指差す。



 「な、何言って……!」


 「ふーせ!!」



 強めに言うと水島は全身を震わせながらゆっくりと地面に這いつくばる。



 「こ……これで満足?」


 「おいおい犬がなんで人間の言葉喋ってんだ? ワンだろ? ワン」


 「わ……ワン」



 うわあああああ!!!! 気持ち……いいーー!!!!



 なんだろう謎の手紙とか色々と思うことがあったからなのかな、こいつ……水島に何をしても罪悪感の1つも感じない。

 これなら欲望のままに動いても親近感とか湧かないから大丈夫なんじゃないか!?


 オレが心の底からこの状況を楽しんでいると美香がウズウズしながこちらを見ている。



 「ん、どうしたんだ美香、お前もやりたいのか?」



 そう尋ねると美香の表情がパァッと明るく変わる。

 ーー……もちろん無表情だけどな。


 美香はゆっくりと地面に這いつくばった水島のもとへ。

 近くに落ちていたパンツを手にとり水島の顔の前へと持ってくる。



 「水島花江」


 「ーー……」


 「犬ならもうこのパンツいらない。 美香がもらう」


 「!?」



 美香は水島の答えを待たずにそのパンツに足を通す。



 「えぇ美香、その状態で穿くのか!? タイツ履いてんだぞ!?」


 「問題ない。 むしろ幸せが増す」



 美香はそのままパンツをグイッと穿いて満足げな表情。

 てか今の美香の状況って……パンツonタイツonパンツ!! 確かに夢のような状況だ。


 少し美香の下半身に羨ましさを感じていると美香はまだ物言いたげな表情。



 「ねぇ、美香も命令してもいい?」



 美香は無表情だが頬を少し赤らめながらオレを見る。

 「もちろん」とオレが許可を出すと美香はしゃがみこみ、水島に手を差し伸べてその場で水島を座らせる。



 「美香、どうしても命令したいことがあった」



 そう言うと美香は水島の下半身を指差しながらゆっくりと口を開いて……



 「チンt……」



 この美香の命令が水島の反抗心を砕いたのだろう。

 美香の命令した……とある芸をした後の水島は、なんでも言うことを聞く奴隷マシーンになっていたのだった。

 あんまりよく聞こえなかったんだけど、何て命令したんだろうね。



今回もお読みいただきありがとうございます! 

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感想やブックマークもお待ちしております♪


◆150話『告白?』にて、花びら演出の結城ちゃん挿絵描きましたのでよろしければ見に行ってやってください♪

なかなかに可愛く美しく描けました!!

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