15 面白いもの見つけた
十五話 面白いもの見つけた
オレが4組の結城桜子の代わりにいじめられた翌日の放課後。
「じゃあ福田、私らと遊ぼっか」
威圧を込めた演技をした三好と多田がオレのもとへ。 オレもニヤけそうになるのを我慢しながら2人の後ろに続いて教室を出たのだが……オレたちの目の前にとある人物がが立ち塞がった。
「ちょっとそこの福田くんに用があるんだけどいいかな?」
「「!!」」
そう……オレや三好と多田の前に現れたのは4組のいじめっ子お嬢様・西園寺希。
三好は一瞬動揺しながらも「えっと西園寺……さん? 福田に何か用?」と尋ねたのだが、西園寺の返事は極めて淡白。 「三好さん……だったかな。 別に君たちに教えるつもりはないの。 ちょっと福田くんを譲ってくれない?」と答えゆっくりとオレを指差した。
◆◇◆◇
「で、どう? 早く渡してくれるかな」
西園寺が長い髪をなびかせながら三好たちを見る。 もちろんその後ろには西園寺の取り巻きたち。
なんか昨日より人数が多い気もするぞ?
ていうか冗談じゃねぇ! オレは今無性にパンツを見上げながら蹴られたい気分なんだ……それを邪魔されてたまるものか!!
なのでここはオレから行動することに。 「あの……えっとごめんなさい、オレ今日は用事あるから」と答えながらも三好たちに視線を送り、西園寺の横を通り過ぎようとしたのだが……
「なら仕方ないかな。 結城さんでいいか」
「!!」
オレの脳内で昨日、服を引っ張られてスカートのはだけた結城の姿が蘇る。
そんな中で取り巻きの1人が「西園寺さん、私結城を引っ張ってこようか? 今だったらまだ靴箱らへんにいるはずだし」と西園寺に提案した。
「そうだね。 福田くんが無理だって言うんだもん……結城さんで我慢する?」
西園寺がオレを見ながらニヤリと笑う。
チッ、こいつ完全に確信犯……!
オレはすぐに脳をフル回転させ、今からどうするべきかを考えていく。
どうする……今からあいつらより早く走って結城を逃すか?
追ってきても相手はモブ女……スカートでもめくってやれば動きは確実に止まるだろう。
それで安全に結城を逃した後でオレは図工室前の女子トイレで三好たちと合流……そうすれば結城も助かるし、オレもこの上ない幸せを味わうことができるってことになるよなぁ!?!?
ーー……よし、それでいこう。
考えが固まったオレはあいつら……西園寺の取り巻きより先に靴箱に行こうと一歩踏み出す。
しかしその時に聞こえてしまったのだ。 西園寺のコソッと取り巻きに呟いた内容が。
「ごめんね、みんな興味あったのに。 同性だけど……結城さんので我慢してくれる?」
「!!!!!!!!!!」
なん……だと!?
こいつらもしかして……オレの動物園入場希望者だったのかあああああああ!?!?
そうとなれば話は別だ!
本来ならポリス的な行為もこの年齢なら許される! しかも向こうからしてくるのだからオレに全く非がないというこの恵まれ具合!!
「ちょ、ちょっと待って! えっと、今何時かなーー!!」
気の変わったオレはスマートフォンを取り出し、三好に見えるように文字を打ち込むことに。
もちろんその内容は『今日は向こうに行く。 オレとは関係ないフリをして帰れ』。
「ーー……」
三好はその文章に目を通すと視線を上げてオレにアイコンタクト。 その後背中をバシンと叩く。
「いった……!」
「西園寺さん、私ら別にこいつなんでもないし好きにしてくれていいよ! ねぇ麻由香」
「う、うん! どうぞ、西園寺さん!」
「そう? じゃあ遠慮なく」
こうして三好は多田の手を引きながら先に下校。 オレはというと4組の教室内に誰もいなくなるまでの間女子トイレ内で拘束され、その後は昨日より多い人数がオレの一匹しかいない動物園へと足を運んだのだった。
そしてオレの動物園閉園後……
「いやぁ、最高かよ」
その後オレは色々あってトイレにこもっていたのだが、気づけば夕方17時。
急いで帰らないと優香が心配してしまうかもしれない。
「うっし、スッキリしたし帰るか」
オレは爽快な気分でトイレを出て下駄箱へと向かおうと階段を降りようとしたのだが……その時だった。
ーー……カシャッ
ん? 何か音が聞こえたな。
カシャッ
ーー……上の方か?
何やら階段の上の方で複数回シャッターが切られる音がしていたのでそっと覗いてみることに。
そこで目にした光景にオレは絶句。
あれは……西園寺、だよな。
間違いない、あれは正真正銘西園寺だ。 西園寺は自らスカートをたくし上げ、カメラに向かってピースサイン……自撮り写真を撮っていたのだった。
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