147 変態と悪夢!【挿絵有】
2020/11/14リクエスト頂いた挿絵描いて入れました!
百四十七話 変態と悪夢!
「あ、ねぇねぇ福田くん」
入浴を終えたオレがまっすぐ部屋へと戻っていると後ろから西園寺がオレの声を呼びながら駆け寄ってくる。
「どうした西園寺」
「あのさ、今日の夕方に福田くん、3組の与田さんのこと私に聞いてきてたでしょ」
「うん。 そうだけどどうかした?」
結局西園寺も名前しか知らないって話で終わったはずだが?
「あれから3組の子と話す機会があってさ、ちょっと与田さんのこと聞いてみたんだよね」
「え、まじ!?」
頼んでもないことを自ら調べてくれるなんてさすが西園寺だ。
オレは周囲に誰もいないことを確認して西園寺に小声で話しかける。
「で、どうだった?」
「うん、それがさ、みんなあんまり……これといった印象がないんだって」
西園寺が首を傾げながら結果を伝える。
「印象がない?」
「うん。 みんな口を揃えて言ってたのは「そういやいた」なんだよね。 影が薄いって言ってた子もいたかな」
「影が薄い……か」
「そう。 朝は気づいたら登校してて、放課後も気づいたら帰ってるんだって。 仲がいい子もいないらしいよ」
「まじ?」
「なんか休み時間も基本どこかに行ってて教室にはいないんだって」
それってやっぱりあいつが犯人じゃないのか?
この考えはご都合主義になってしまうのだが、影が薄いからトイレに入ってきても誰も気づかないし、影が薄いからオレの靴箱に謎の手紙を入れても誰も見ていない……。
でもあいつ以外に疑うようなやつ……いるっちゃたくさんいるんだが、誰も決定的な証拠がないというか……。
「うーーむ……」
「ーー……福田くん?」
あああいけない、最近深く考えすぎて相手を置いてけぼりにしちゃう癖がある。 なんとかしないとな。
「ごめん西園寺、わざわざありがとな」
「ううん、また何か分かったら直接が無理な時はメールとか電話で連絡するね」
「うん、ありがと。 ーー……それでだ」
オレは与田の話を一区切りさせた後、マジマジと西園寺を眺める。
「な、なに福田くん」
西園寺もおそらくお風呂あがり。
制服ではなく体操服の赤いジャージを着ているのだがーー……
「お前……そのジャージの下、着てないだろ」
「ーー……!!」
オレの言葉に西園寺の顔が一気に赤く染まり、それと同時に口角も上がる。
「わ、わかった!?」
おいおい嬉しそうにしてんじゃねえよ。
微妙な髪型の変化に気づいたわけでもあるまいし。
「当たり前だろ。 本来そのジャージの下に見えてる半袖の体操着が見えてなくて肌色なんだから」
そう……西園寺は上着のジャージのファスナーを首から胸の少し上のあたりまで下げているのだが、本来見えるべき、その下に着ているはずの半袖体操着の襟が見えていないのだ。
目に見えるのは美しい肌。
しかもお風呂上がりときたもんだから髪の毛も少し湿っていてなんか見てるこっちもエロい気持ちになってきてしまうぜ。
「で、でもね、上だけじゃないんだよ! ほらっ!」
そういうと西園寺はオレに背を向け、ぷりんとお尻を突き出す。
「ーー……!!」
ウオオオオオオオオオ!!!!
オレはしばらくの間、西園寺のお尻をガン見。
もちろんありのままのお尻ではなく、ジャージを着ているのだが……なるほどな!
本来見えるべきパンティーラインが見えていない!!
それすなわち……
「上だけでなく、下もノーパン……ということか」
「そう!! ああぁぁ……、見る人が見たらバレるっていうこのドキドキ感……堪らないよね!!」
西園寺は頬に手を当てながらくねくねと身をよじりだす。
「わ、分かった! 分かったからもうちょっと上のファスナー上げろ! 角度によっては危険だぞ!」
オレはあまり西園寺の胸部を見ないようにしながら指をさして教える。
だって部屋は相部屋なんだ……このまま興奮しすぎても色々と出来ないこともあるだろ? なぁ?
「え、そうかな。 じゃあこうやって胸張ってれば見えないかな」
「張るな!! それはそれで浮かび上がってるんだよ色々と!!」
そう、色々とな!!
あえて何がとは言わないが、ここでやましい考えをした人には変態ポイント1点を差し上げよう!
このままでは色んな意味で眠れない夜になってしまうと感じたオレはそこで西園寺と解散。
まだ誰も戻ってきていない自室へと戻り、ボーッとしている間に眠りに落ちてしまったのだった。
◆◇◆◇
ここはどこだろう。
そこはどこか見慣れた駅のホーム……小学校から一番最寄りにある駅だろうか。
どうしてオレがそこに立っているのかは分からないが、オレはそこでただ人が並んで電車を待っている風景を呆然と眺めていた。
ーー……あ。
するとそこに馴染みの顔をした女の子が1人。
あれは……多田か?
明らかに疲れているのかフラフラと左右に大きく揺れながら歩いている。
大丈夫かなと心配しながら見ていると電車の到着を知らせるアナウンス。
プオーンと大きな音を鳴らしながら奥の方から電車迫ってくるのが見える。
しかし……
ーー……あれ?
多田のやつ、寝ぼけているのか?
あいつホームの方へゆっくりと進んでいってるけどまだ電車来てないぞ?
目を凝らして多田を見てみると目は開いている……ただその瞳には光が宿っていないように見えるのだが……
「おい、多田!!」
声をかけても多田はオレの声に気づいていない。
多田を止めるために駆け寄ろうとするも体が動かない……なんでだ!?
そうこうしている間に電車はすぐそこに。
そしてその時には……多田の足がホームから飛び出そうとしていた。
プオオオオオオン!!!!
多田に気づいた電車の操縦士が耳をふさぐほどの大きな音で汽笛を鳴らして多田に警告。
しかし多田はそれに気づくことなく足を踏み外し、体が大きく前に傾く。
「多田あああああああ!!!!!!!」
◆◇◆◇
「ーー……はっ!!!!」
オレが大きく多田の名前を叫んだところで目を覚ます。
どうやら夢だったようだ……にしてはかなりリアルすぎなかったか?
身体中が汗でびっしょりと濡れていることからかなりの緊張状態だったことが伺える。
上半身を起こして窓の外に視線を移すとまだ外は真っ暗。
スマートフォンをつけて時間を確認するとまだ深夜の2時だ。
そこでようやく気づいたのだが、ルームメイト達のかく不快極まりないいびき音が耳に刺さる。
この歳でそのいびきだと大人になったらどんだけ爆音になるんだよ。
「ーー……とりあえずトイレで顔でも洗ってくるか」
そう呟きながらベッドから降りたオレは扉の方に視線を向ける。
するとーー……
「え? なっ……」
扉の前に立っていたのはあの謎の影の薄いオカルト少女。
「よ、与田さん!?」
まっすぐ綺麗に立ったまま、与田美香が静かにオレを見つめている。
ーー……部屋を間違えた? てかなんであいつジャージじゃなくて制服のままなんだ?
寝ぼけた脳で色々と考えていると、美香がゆっくりと口を開く。
「見た? あの夢」
「ーー……!!??」
えええ、なんでこいつそのこと知ってんだ!?
まさかこれも夢ーー……なわけないよな。 頬をつねってみたけど普通に痛い。
オレは意味がわからずその場で立ち尽くしていると、美香は扉に手をかけてゆっくりと開ける。
「きて」
「え」
一体これはどういうことだ?
もしかしてダイキの実家の近くに住んでるあの褐色娘・陽奈の姉……愛莉と同じような幽霊なのか!?
いやでも西園寺の話では3組の奴らも一応認識はしてたわけだし……うわああああ、これはどういうことなんだあああああ!?!?
オレが自問自答している間に美香は1人部屋を出てスタスタとどこかへ向かっていく。
「ああああもう!! 行ってみればわかることか!!」
オレは大きく深呼吸。
もし何かあった時のためにスマートフォンを強く握りしめながら謎のオカルト少女・与田美香の後を追った。
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次回、オカルト少女に迫ります!!(肉体的な意味ではないよ!笑)