137 お風呂といえばのイベント!
百三十七話 お風呂といえばのイベント!
「え、ちょっ……福田!?!?」
浴室内。
オレは身に纏っていた服を全てパージした状態で浴槽で湯船に浸かっている三好の前に立つ。
「やぁ三好」
「やぁ……じゃないでしょ! なんで福田がお風呂入って来てんの!? 私が入ってること知ってたよね!?」
「それはもちろん」
「へ、変態!!」
三好がオレに向かって湯船に張るお湯を飛ばす。
飛ばされた生暖かな弾丸がオレの体にピチャピチャと着弾……この中に優香と三好の成分が含まれていると思うと何1つ嫌な気分にならない。 むしろご褒美だ。
「ふむ、いいお湯加減だな三好」
「なんで入って来たの!? ていうか見えてるから!!」
三好が顔を赤らめながらオレを指差す。
見えてる……それは困ったナァ。
どうやらこれからやろうとしているオレの魂胆が丸見えらしい。 もしかすると『女の勘』というやつなのカナ?
「そんなことはどうでもいいさ三好」
オレは三好に向かい合ったままウンウンと頷く。
「どうでもよくないよ! ていうか細かく動かないでキモいから!」
はて……どうして気持ち悪いのかわからないが、ならば率直に本題に入るとしよう。
「なぁ三好よ」
「な……なに?」
「お前はどうしてオレの家に泊まりに来たか……その理由を覚えているな?」
オレはまっすぐ三好を見つめながら尋ねる。
「あ、当たり前じゃん。 お嫁さん出来るってところを見せるために……」
「その通り!!」
オレは勢いよく三好を指差す。
「な……なにが!?」
三好が戸惑いながらオレに尋ねる。
ーー……視線が泳いでいるぞ三好。
「お前は今日、オレのお嫁さんしてあげると言ってここまで来た。 ということは……」
「ということは……?」
「お嫁さんなんだから、一緒にお風呂はいっても問題ないだろう!」
「な……っ! えっ……!?」
「そういうことなので、隣失礼しまーす!」
オレは三好の返事を待たずに浴槽に入水。
今三好成分が盛大に溶け出ていることを想像しながら肩まで浸かる。
うむ……実に素晴らしい!! ちょっと飲んじゃおう!!
「は……はぁ!? 何言ってんの福田! だったら私、もう出るし!!」
焦った三好が湯船から出ようとするも、オレは三好の片腕を掴みそれを阻止。
それでも出ようと引っ張って来たので三好の片足をオレは両足で挟んでロックする。
「ちょっ……!! ちょっと福田それやめてって!! 当たってるから!!」
三好が顔を真っ赤にしながら振り返る。
「いや、そりゃあ腕を掴んでんだから肌は当たるだろう。 掴もうとして肌が当たらないんだったらそれは幽霊だぞ?」
「違うって!! だからそのチーー……」
「ゲフンゲフン!!!!」
まったくオレの1日お嫁さんはツンツンしてるなぁ。
ちょっと煽るか。
「あれれ? 三好って結婚しても相手と一緒にお風呂はいったりしないんだ」
「はぁ!? その時になったら入るに決まってるし!」
「どうだろうなぁ……三好ってかなり恥ずかしがり屋のお子ちゃまだから言葉だけで実際には逃げるような気もするけどなぁー」
「だからそれは結婚したらであって……」
「あー、そっかぁーー。 三好って、ちゃんとお嫁さんできないんだねー。 せっかくご飯も美味しくて素敵なお嫁さんになれるって思ってたのに考えを改めないとなぁ……」
オレは残念そうな表情をしながら三好の手足の拘束を解く。
「ーー……え?」
「あーあ、まぁいいんじゃない? オレは三好がいいお嫁さんになれるかは分からなくなったけど、誰かそう思ってくれる人ができたらいいね」
「ーー……!!」
この一言が三好のお嫁さんスピリットを刺激したのだろう……三好はくるりと体の向きを変えて再び浴槽へ。
無言のまま湯船に浸かる。
ーー……いい眺めであった。
「で、なにしたら信じてくれんの? こうしてお風呂はいってればいいの?」
三好がジト目でオレに尋ねる。
「うむ、一緒にお風呂といえばお互いの体を洗うのが定番のイベントだろう」
「ーー……は?」
「あー、三好、恥ずかしいか。 お子ちゃまには早すぎたな、すまんすまん」
「は!? で、出来るし!!」
「よし、決まりだ」
こうしてオレたちは一緒に湯船を出て体を洗い合うことになったのだが……。
ーー……マズッたな。
オレは心の中で最大級の後悔をする。
チラッと視線を上げた先には目の前には背中を向けた三好の姿。
オレ、女子の肌に自ら広範囲に触れたこと今まで無かったんだったああああああああ!!!! うわあああ恥ずかしすぎるよおおおおおおお!!!
あまりの緊張で手がガタガタと震える。
「ーー……なにしてんの福田、さっさと洗ってよ」
三好がオレの方を振り返る。
「あ、あぁ……今からやるよ」
こ……こんな感じか?
ピトッ
オレは石鹸を泡立たせたボディタオルを恐る恐る三好の背中にのせ、撫でるように擦っていく。
「ちょっと福田、全然力入ってないじゃん、やるんだったらもっとちゃんとしてよ」
「あ……あぁ、これくらいか?」
「え、もしかして福田、あんだけ私に調子いいこと言っといて緊張してんの?」
三好が手を口に当てて笑いながらオレの方を振り返る。
「は!?」
「偉そうなこと言ってたけどさ、福田だってお子ちゃまじゃん」
三好の「ぷーくすくす」的な声がオレのやり返し魂に火をつける。
「そうか……ならば本能のままに行かせてもらうぞ。 いざっ……!!」
オレは手に力を……魂を込めて本能のままに泡泡のボディタオルを三好の肌の上で走らせていく。
ゴーシゴシゴシ!!
背中ゴシゴシ!! 肩もゴシゴシ!! お腹もゴシゴシ脚もゴシゴーシ!!!
「ちょ……ちょっと福田、そこはダメだって!! ああああ!! そこもちょっと……!!!」
あっはははははは!!!!
ゴーシゴシゴシ聞こえないなぁ!!!!
今やっていることを直接触れていればオレはただの変態なのだろう……しかし! こうして肌と肌の間にボディタオルを挟むことにより、オレのこの行為は変態行為からボディウォッシュへと変換されるのだ!!
そう、オレは別に何もやましいことをしているわけではないんじゃああああああ!!!
こうしてオレは本能の赴くままにゴシゴシタイムを満喫。
三好の体はとても綺麗な状態になったのであった。
「ーー……じゃあ今度は私は福田の体洗えばいいんだね?」
少し息の乱れた三好がゆっくりとオレの方に体を向ける。
「あ……じゃあよろしく」
オレは三好がこちらへと向き直るのと同じタイミングで三好にくるりと背を向ける。
そこから三好はオレの体を洗い出したのだが……
三好の操るボディタオルがまるで自動掃除機ロボットみたいに障害物にドンとぶつかる。
うん、泡で滑りが良すぎて勢い余って床にでも当たったのかな。 ニコニコ。
その日の夜、オレは三好がオレの相棒・白鳥パンツを優しく洗っている夢を見たのであった。
でもどうしてハロウィン以来会っていない白鳥さんがオレの夢に出てきたんだろう!!
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今までのお風呂回の中でも高濃度!!
なのにいやらしいシーンが1つもないなんて……作者すごい!!笑
もしいやらしいと感じたのなら……あなたの脳はダイキの影響で変態脳へと変わりつつあるのでしょう!!




