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133 アレと無知


 百三十三話  アレと無知



 エマとエルシィちゃんが帰ってからしばらく。 

 リビングでのんびりしていると優香がテーブルの下に視線を向けながら「あっ」っと声を上げる。

 


 「どうしたのお姉ちゃん」


 「これエマちゃん忘れて帰っちゃったね」



 優香の手には紙袋。 

 オレの脳内で数時間前のエマとの会話が再生される。


 確かエマのやつ、あの中には入院中に履いてたパンツとかが入ってる……とか言ってたよな。



 「ちょっとお姉ちゃん今から届けに行ってくるね」


 

 優香が紙袋を持ちながら体を玄関の方に向ける。

 おいおいまだどんな柄だったのかも見てないし、匂いだって嗅いでないぞ!



 「あ、待ってお姉ちゃん!」


 「ん?」


 「お姉ちゃんお風呂まだだったよね、オレ届けに行ってくるからお姉ちゃんお風呂入ってなよ」



 オレは急いで立ち上がり優香のもとへ。

 優香の持つ紙袋を横から持つ。



 「え、いいの?」


 「うん。 お姉ちゃん疲れてるでしょ、だからここは任せてよ」


 「あ……うん、じゃあお願い。 ありがとうダイキ」


 「うん、じゃあ行ってきます」



 オレは紙袋を優香から受け取り颯爽と玄関を出た。




 「ーー……周囲に人の気配なし。 よしっ」



 オレは誰もいないことを確認して紙袋の中身を確認する。



 「お……おおおおお」



 お洒落なパンツは流石にないが、そこにはオレが救急車が来るまでにエマに履かせたパンツと、シンプルイズベストなパステルカラーのパンツが5枚……計6枚のパンツが入れられている。

 オレはそれを手に取りニヤリと笑ったのだが……。



 ーー……ん、待てよ。



 エマが入院したのは3日間。

 てことは使用したパンツは2枚か3枚……。 1枚はエマが元々持っていたパンツなので、残りこのパステルパンツの内当たりは最低1枚ということになる。

 くそ、パンツまみれになって楽しめると一瞬でも考えたオレが浅はかだったぜ。


 これは調べねばなるまい。


 ということでオレはまず100%エマが履いていたエマのパンツに鼻をくっつけて力一杯吸い込んでいく。

 

 ーー……うむ、この香ばしくも甘さが少し控えめ香り、これはエマの香りだ。


 エマの香りを脳と再確認したオレはパステルパンツを手に取り次々と匂いを嗅いでいく。

 赤……違う。 緑……惜しい、これは香りが移ってるだけだ。 青もそう、黄色も……おそらくそう、残るはあと1枚……ピンク色のパンツ。



 すぅううううううううう!!!



 「ーー……!! これだ!!」



 オレは確固たる自信を持ってそのピンク色パンツを見つめる。

 うむ、これは間違いない! 感動するような香りが生地に染み込んでいる……最高じゃあ!!


 オレは2枚のパンツを交互に嗅ぎ分けながら階段を上がっていく。


 さすがは可憐で儚いJSパンツ……着用後1日2日経ったくらいでは全く臭くない……むしろ甘さが際立っている気がするくらいだぜ!

 オレはエマの家の玄関前でちょっとだけ追加で香りを楽しんだ後、何事もなかったかのようにパンツを紙袋の中へ。

 澄ました顔でインターホンを押す。



 ピンポーン



 『え、なにダイキ!?』



 インターホンのスピーカー越しにエマの声が聞こえてくる。



 「おい、オレん家に紙袋忘れてたから持ってきたぞ」


 『あ、そうだ忘れてた! ……って、ちょっと待ってエルシィ!!』



 ーー……ん、何か起こってるのか?

 エマの声がかなり焦ってるように聞こえたんだが。


 とりわけエルシィちゃんがエマの退院を喜んではしゃいでいるだけだろうと思っていたオレは玄関前でのんびりと待つことにする。

 いや、これは案外もうちょっとパンツの香りを楽しむ時間があるやつか?



 ぞう思ったオレは迷わず片腕を紙袋の中に。

 ピンク色パンツをギュッと掴みゆっくりと持ち上げていったのだが……



 『あーごめんダイキ、エマ、今手が離せないや! 鍵空いてるから入ってきて!』



 ちっ……。

 あともう少しでもう一回嗅げると思ったんだがな。



 香りを嗅ぐのを諦めたオレは言われた通りに玄関の扉を開けて中に入る。



 「おーい、エマー」



 「ちょ、ちょっとエルシィ! それ返しなさい!!」


 「やぁー! これ、エッチーみつけたぁー!!」


 「違うの、それはおもちゃじゃないのー!」



 リビングのほうからバタバタと音が聞こえてくる。

 追いかけっこか? それか何かの取り合い?



 気になったオレは紙袋を持ったままリビングへ。

 すると衝撃の情景がオレの視界に入ってきたのだった。



 「ちょっとエルシィ、お願いだからそれ返してって!」


 「エッチーこれで、あそぶーー!!」



 エマが必死の形相でエルシィちゃんを追いかけている。

 その視線の先はエルシィちゃんの手に持つ小さな何か。

 

 形からして風船か?


 そんなことを考えているとエルシィちゃんを追いかけていたエマと目が合う。



 「あ、エマ、なぁこれはどんな状況ーー……」


 「ダイキ、エルシィの持ってるあれ奪うの手伝って!!」


 「ーー……は? なんで」



 たかが風船だろう。

 なんでエマはそんなに焦ってるんだ?



 そう疑問に思っていたオレだったがその答えはエマによってすぐに伝えられる。



 「あれ見て分からない!? アレなんだって!!!」


 「ーー……え」



 エマに言われてオレは再度エルシィちゃんの手に持つ何かに目を向ける。


 ーー……!?!?!?!?!?!?



 「え、なんで!?」


 「わかんないよ! ダイキの家でエルシィ、トイレ行くときに見つけたって言ってたから多分あの時に箱からこぼれ落ちてたんだと思う!」


 「ま……マジかあああああ!!!!」



 まさか落ちてたことにオレもエマも気づかなかったなんて!!



 「な、なぁエルシィちゃん、それをこっちに渡してくれないかな」


 「やぁ! エッチー、これであそぶんーー!!」



 エルシィちゃんは大事そうに両手で包み込んでまったく譲ろうとしない。


 

 「ーー……なぁエマ、このやりとりどれくらいやってんだ?」


 「多分家に戻ってきてすぐかも。 エマがトイレから戻ってきたらエルシィが袋から取り出して膨らまそうとしてたの」


 「てことは……大体30分くらいってところか」


 「うん、そのくらいだと思う。 もう、エマぐったりだよ……」



 エマが力なく肩を落としながらため息をつく。


 うむ、エマもなんだかんだで病み上がりっちゃあ病み上がりだし、これ以上無茶させるのもなぁ……。

 ここはもうあの手しか……



 「なぁエマ」


 「なに?」


 「一層の事、もうあれ風船だってことにして遊ばせばよくないか?」



 オレは半笑いでエルシィちゃんの持つアレを指差す。



 「ええ!? 逆に!?」


 「あぁ、どうせエルシィちゃんはアレがナニかなんて分からないし、見てるのはオレらだけだ。 エルシィちゃんが寝静まった時に静かにエマが回収して捨てれば問題ないだろ」


 「んーー。 まぁ、そうだけど……」



 エマも追いかけるのが疲れたのかオレにあまり反発することなくオレの提案を受け入れている。


 

 「な、じゃあそうしようぜ。 エマだって病み上がりなんだからこれ以上走るとまた疲労たまるぞ」


 「うん……だよね、そうする」



 エマは諦めたように頷いてゆっくりと立ち上がりエルシィちゃんに視線を向ける。



 「わかったエルシィ。 それもう取ったりしないからそれで遊びな」


 「え、いい!?」



 一気に表情が明るくなったエルシィちゃんが目をキラキラさせながらエマを見る。



 「うん、いいよ。 好きなだけ膨らませて遊んじゃいなよ」


 「やったーー! エッチー、エマおねーたんしゅきーー!!」



 さっきとは打って変わってエルシィちゃんが満面の笑みでエマに抱きつく。

 ーー……羨ましい。



 「ーー……じゃあエマ、オレはこれで。 紙袋ここに置いとくな」


 「うん、ありがとうダイキ。 ごめんね変なことに巻き込んじゃって」


 「気にすんな。 じゃ、おやすみ」


 「うん」



 これ以上2人のやりとりを見ていると羨ましさが爆発しそうだったのでオレは体を玄関の方へ向けて歩き出す。

 その時だった。



 「だめー。 エッチー、この風船、ふぅー、ムリ。 エマおねーたん、ふぅー、して」


 「ええええええ!?!?!?」



 ーー……!! ムムッ。



 オレは先ほどのエルシィちゃんの言葉に反応。

 その場でピタリと足を止めて静かに振り返る。


 するとそこには顔を真っ赤にさせながら『風船』を口に咥えたエマの姿。

 


 うおおおおおお!!! これはエロい……エロいぞおおおおおお!!!!!




 それ目にしたオレの心の風船が勢いよく膨れ上がり出す。



 「ちょ、ちょっとダイキ、見るな!!」


 「えへへ、いいじゃんエマ。 ほら、エルシィちゃんのために力一杯空気を入れないと」


 「わ、わかってるって!」


 「それであれだぞ、ちゃんと入れたら中身が漏れないようにキツくグルグルって結ぶんだぞ」


 「ーー……!! それ何のこと言ってんのーー!?!?!?」



 エマはオレをにらみつけながらも顔を真っ赤にしながら中に空気を吹き込んでいき、最後漏れないようにちゃんとグイッと先端を縛る。



 イェエエエエエエエス!!! 

 まさかJSの『風船』の先端を縛る行為を生で見ることができるなんてイェエエエス!!!



 そんな姿を見たオレの心の風船もテンションは最骨頂!

 オレは息を荒くしながらダッシュで家に戻り自室へと籠ったのだった。



 それにしてもエマのやつ、ちゃんとエルシィちゃんが眠ってからあの『風船』割って処分したんだろうか。

 ちなみにオレの心の風船は空気が抜けるまで1時間くらいかかったぜ。



 あ、もちろん心の風船っていうのはテンションや心拍数を意味した表現ダカラナ。


 


今回もお読みいただきありがとうございます! 


JSといえば『風船』ですよねグヘヘへへ……


下の方に☆マークがありますのでよろしければ評価していってくださると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回はえちえちな展開でしたな! まさか……先端を結ぶとは……えちえち。 風船で遊びたいエルシィちゃんもかわいい。 ダイキ一時間とはなかなかやりまするなw
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