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132 見た目は小五・中身はJK


 百三十二話  見た目は小五・中身はJK



 エマの病院生活はほぼ予定通り3日で終了。

 検査してもやはり異常が見つからなかったことや体の調子も戻り、普段と変わりないことから退院してもいいだろうという判断になったということだ。



 「エマおねーたん!!」



 放課後。 エルシィちゃんとともに病院へエマをお迎えに行くと、エルシィちゃんは病院から出てきたエマを見つけるやいなや駆け足で近寄りそのまま飛びつく。



 「うわっ、エルシィ迎えにきてくれたんだ」


 「エマおねーたん!! エマおねーたん!!」



 エルシィちゃんがエマの胸のあたりに顔を埋めて泣きじゃくる。

 

 結局エルシィちゃんがエマにどんな感情を持っているのかとか聞けずじまいだったけど……まぁこの光景から見るに最低でもマイナスな印象は抱いていないようだ。

 だってマイナスだったらあんなに抱きしめたりとかしないもんな。



 ◆◇◆◇



 「なんか……このエマの体に入って退院した時のこと思い出したよ」



 オレの自宅内のリビング。

 ソファーに座りながら女児向けアニメに集中しているエルシィちゃんを横目にエマが呟く。



 「あんな感じだったのか?」


 「うん。 退院して家に帰ったらエルシィが廊下を走ってきてエマにさっきみたいに抱きついて離れなかったんだよね」


 「なるほど」


 「やっぱりさ、その時ってこの体には小山楓の記憶しかないから、ここが誰の家なのか……とか本当にこの人たちがこのエマって子の両親なのか……とかめちゃめちゃ頭が混乱してたんだよね。 だからあの時のエルシィのハグにはかなり救われたの覚えてる」


 あーー、分かるわーー。


 オレも優香にこの家に連れてこられた時はなんだかんだで緊張してたっけな。

 それでも今も変わらない優香の優しさに救われたぜ。

 

 そんなことを思い出していると、ふとエマの足下に置いてあった紙袋に視線がいく。

 


 「あれ、エマそれなんだ?」



 オレはその紙袋を指差しながら尋ねる。



 「あー、それエマが入院してた時に履いてたパンツとか入ってるだけだよ」

 

 「え、お前着替えとか持ってきてたの?」


 「うん。 というよりは優香さんが学校帰りに買ってきてくれたんだけどね」



 まじか。 オレの知らないところでそこまでしてあげていたなんて。



 「ほんと優しいよね、優香さん。 エマも何かお返ししなくちゃって思うけど……優香さん色々と完璧すぎてエマが付け入る隙なんてなさそうだよね」



 エマが少し残念そうにため息をつく。



 「いやエマ、そうでもないぞ。 たまにお姉ちゃん、勘違いしてとんでもないもの買ってきたりするし」


 「え、そうなの?」


 「あぁ。 だから夕食の買い物とか一緒に行ってあげたらお姉ちゃん助かるんじゃないかな。 エマってなんだかんだそこらへんちゃんとしてそうだし」


 「えっと……ちなみにその勘違いって、優香さんどんなもの買ってきたことあるの?」



 エマが興味を持った眼差しをオレに向けてくる。


 

 「うむ、可愛いレベルの買い間違いはたまにあるんだ。 例えばシャンプーとリンスを間違えて買ってきちゃってたりとか、トイレットペーパーだと思って買ってきたのに家について見たらキッチンペーパーだったりとかな」


 「えぇ!? 優香さん可愛い! そんなこともするんだ」


 「あぁ。 あと極め付けがあってだな……」



 またこの話をすることになるとは思いもしなかったぜ。

 オレは当時のことを思い出しながらエマに話す。



 「あれは夏の少し前くらいだったかな……夜にアイスとか買いにコンビニに一緒に行ったんだけど、優香がそこで絆創膏のストックがなかったって言い出して一緒に買ったんだ」


 「うん」


 「でも家に帰って見てみるとな、その箱に入ってたのは絆創膏ではなかったんだ」

 

 「ーー……え、なんだったの?」


 「逆になんだと思う?」


 「んんーー……」



 エマは腕を組みながら真剣に考えだす。



 「シャンプーとリンスを間違えるレベルなんだし……湿布と間違えた、とか?」


 「そんなんもんだと思うだろ? 答えは……」



 ーー……!!



 オレは答えを口にしようとしたところで素晴らしいことを思いつく。



 「え、ダイキ、答えなんなの?」



 オレが少しもったいぶったのでエマが前のめりになりながら聞いてくる。


 

 「ちなみにそれ、今は優香の部屋にあるんだけど……実物を見て答え合わせとしよう」



 オレはエマとリビングを出てエマを優香の部屋の前で待たせ、オレは優香の部屋の中ーー……ベッドの下から例の箱を取り出す。

 ククク……これ見たらエマ、どんな反応するんだろうなぁ!!



 「お待たせ」



 オレはその箱を後ろに隠して部屋を出る。



 「それでダイキ、答えは?」


 「あぁ、よく見ろよエマ。 答えはこれダァ!!」



 オレはその箱を前に出してエマの手の上にのせる。


  

 「えっと……ん? 0.02㎜……って、え!? ダイキこれ!!!」



 理解していくにつれてエマの顔が一気に赤く染まっていく。



 「あぁ。 エマ、それなんだと思う?」


 「いやこれコンド……って何言わせるのよ!! 変なイタズラするのやめてよね! って……え、なんでそれが優香さんの部屋に!?」



 情報量の多さからだろう……エマは混乱しているのか、頭から湯気が立ちだしている。



 「だからこれだよ。 これをお姉ちゃん、絆創膏と間違えて買ってきちゃったんだ」


 「ちょ……それほんとなの!? いやでもこれ、どう見ても絆創膏には……!」


 「そのパッケージに書いてある『0.02㎜』をお姉ちゃんは『200枚』と勘違いしてたらしいんだよね」


 「え……ええええ!?!?!?」



 エマは信じられないような表情をしながらオレとその箱を交互に見る。



 「ん、なんだエマ、1枚欲しいのか?」


 「いいいいらないわよ!! 小学生になんてこと言うのよ変態!」


 「いや、前にも言ったけど、お前の中身もう18歳じゃん」


 「それは中身! まだこの体は未熟なの!」



 エマは乱暴にその箱をオレに返してその箱から距離をとる。



 「でもあれなんだなエマ。 これが何かってのはやっぱり分かったんだな」



 オレはニヤニヤしながらエマの顔をまじまじと見る。



 「そ……そりゃそうでしょ! それが何かってことぐらいエマにもわかるもん! 中学の保健の授業とかで習ったもん!」



 なるほど……その辺りは中学で習うものなのか。

 てかそれなら西園寺へのそっち系の知識はそれとなくエマに教えて貰えばいいんじゃないかな。

 あとでエマに西園寺のことを話してみるとしよう。



 「ーー……とまぁ、こんな感じでお姉ちゃん買い物で買ってきちゃうんだけど、どうだエマ。 エマがいればこんなことも少なくなると思わないか?」


 「うん……まぁそうだね。 エマ、買い物で間違えて買ったことってあんまりないかも」


 

 エマがオレの手に持つその箱をチラチラと見ながら恥ずかしそうに呟く。



 「だろ、じゃあたまに付き合ってあげてくれ。 オレが行ってもいいんだけど、やっぱり買い物って同性で行った方が楽しいって思うんだよな」


 

 実際にオレも何回かは一緒に行ったことがあるけど、週末に結城と一緒に買い物から帰ってきた時の表情とか本当に楽しそうだし。

 


 「ーー……うん、わかった。 そっちの方向で考えてみる。 ありがとうダイキ」


 「あぁ、参考になったなら良かったよ」


 「うんなった、なったよ。 だから……」


 

 エマが少し手を震わせながらオレの持つ箱を指差す。


 

 「ーー……ん、なんだ?」



 

 「早くその箱をエマの視界から遠ざけてええええ!!!!」




 ◆◇◆◇




 その後学校終わりの優香が買い物して帰宅。

 エマの退院祝いをウチでやることになったのだがーー……



 「あ、お姉ちゃん。 髪の毛伸びたね。 『ゴム』つける?」


 「ーー……!!!」



 オレの『ゴム』と言う単語を聞いたエマの体がびくんと反応する。



 「ううん、あんまり気にならないから大丈夫だよ、ありがとうダイキ」



 ククク……これは楽しいぞ?



 「お姉ちゃん、プリントまとめたいんだけど、『ゴム』ある?」


 「ーー……!!」



 「なぁエマ知ってるか? 今人気のアニメがあるんだけどさ、その主人公、転生した先がスライムとか勇者とかじゃなくて『ゴム』型モンスターらしいぞ」


 「ーー……!!」




 うわあああああああい!!!!

 見た目は小学生で中身はJK……小五の恥ずかしがる表情にJKの色気がたまに見え隠れして最高なんじゃああああ!!!

 


今回もお読みいただきありがとうございます! 

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― 新着の感想 ―
[一言] 一番最後の下りで転生が転成になってます
[良い点] ここぞとばかりにいじめまくるダイキ……!! ゴムに過剰反応しててかわいいエマ! 最高だぁ!
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