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130 バレてた!?


 百三十話  バレてた!?




 エマの入院が決定した日の夜。

 


 「エルシィちゃん、今日は私と寝る?」



 お風呂上がりの優香がソファーで縮こまっているエルシィに優しく声をかける。



 「んん、エッチー、今日は、だいきと、ねう」


 

 え。



 「え、ダイキと?」


 「うん」


 「だってさダイキ。 エルシィちゃんお願いできるかな」



 「あ、うん。 わかった」



 優香はそのまま今日中にやらなければならない課題があるからと言って自室へ。

 こうしてオレはエルシィちゃんと一緒に寝ることになったのだ。



 ーー……てかあれだな。

 課題そっちのけで病院にも来てくれて、それだけでなくオレやエルシィちゃんのご飯やその他諸々まで……やはり頭が上がらねえぜ。




 ◆◇◆◇



  

 「だいき?」



 就寝時間。

 ベッドの上で隣で横になっていたエルシィちゃんが突然オレに話しかけてくる。



 「ん、どうしたのエルシィちゃん」


 「エマおねーたん、バタンしたの、エッチーのせい?」


 「えっ!?」



 とっさにエルシィちゃんに視線を向けるとエルシィちゃんは不安そうな顔でオレを見つめている。



 「だいき、今からエッチーのおはなし、シーできう?」


 

 エルシィちゃんが人差し指を唇に当てながら小声で囁く。

 

 なんの話だろうか……とりあえず内容が何でも聞いてあげてエルシィちゃんの心を楽にさせてあげたほうがいいと考えたオレはエルシィちゃんの目を見ながら静かに頷く。



 「ぜったい、だれも、言ったらメーよ?」


 「わかった。 言わないよ、どうしたの?」



 あれかな、もしかしてエルシィちゃん、珍しくエマと喧嘩でもしたのだろうか。

 漫画やアニメをたくさん見てきたオレは大体こういう時に何を言ってくるかの予想は出来るので、その返答を考えながらエルシィちゃんの話を聞くことにした。



 「あのね、だいき。 エッチーね……」


 「うん」



 「エマおねーたんが、エマおねーたんちがうの、しってうの」


 「うんうん、それは別にエルシィちゃんが悪いわけではない……って……え? エルシィちゃん、今なんて?」



 あれれおかしいな。 オレの耳バグったか?

 そう思ったオレは心を一旦落ち着かせて再びエルシィちゃんの言葉を聞き直す。



 「エッチーね、エマおねーたんがエマおねーたんちがうの、しってうの」



 「へ……へぇええ。 ソウナンダーー」



 な……なななな、なんだってええええええエエエ!?!?!?!?



 気になりすぎてどうしようもなくなったオレはエルシィちゃんに詳しく話を聞くことにした。



 「えっと……それはなんでそう思ったの?」



 なんだろう、別に自分の正体がバレたわけでもないのに手が震える。



 「んとね、エマおねーたん、ずっとエッチーのこと、エシィって呼んでたのにね、名前で呼ぶよーに、なったの」


 「ーー……そうなの?」


 「うんっ。 あとね、エマおねーたん、あんなにがんばりやさんちがうの」


 「ーー……」



 エルシィちゃんの話を聞いたオレは脳が一瞬固まり返す言葉を失う。


 おいおいエマどうすんだ、完全にバレちまってんぞ!?

 ていうかじゃあなんでエルシィちゃんはそのことに気づいててもなおエマの妹として接しているんだ!?

 謎が一気に広がってしまったぜ……。

 


 「なぁエルシィちゃん、さすがにそれだけでエマがお姉ちゃんじゃないっていうのはさ……」


 「すぅ……すぅ……」



 「いや寝ちゃったんかい!!」



 オレは小声で隣で可愛らしい寝顔のエルシィちゃんにツッコミを入れる。

 とりあえず今日エルシィちゃんから聞いたことはオレの胸にしまっておいたほうがいいだろう。


 オレは少しずつエルシィちゃんから聞き出すことを決め、その日の夜は可愛い金髪天使の隣で可愛い寝息を耳元で感じながら眠りにつこうとした……のだが。



 「って眠れるかああああああ!!!!」



 だめだだめだ、もしも優香がエルシィちゃんと同じでオレのことを本当のダイキではないと勘付いているのだと思ってしまったら身体は眠くても脳がまったく眠ってくれない。

 これはどうすればいいんじゃああ……。



 「ーー……はっ!! そうだ!!」



 オレはおもむろにベッドから降りて勉強机の上に置いておいたスマートフォンを手に取る。

 エルシィちゃんだってオレに言ったんだ……優香だってもしかしたら気を許した親友みたいな人にならそんなことを話しているかもしれない。

 例えばそう……ギャルJK星とか!!



 オレは急いでメールボックスを開いてギャルJK星にメールを送る。



 【送信・星美咲】今起きてる? 



 するとさすがはギャルJK。 ものの数秒で返信が。



 【受信・星美咲】どしたー?



 「ここは……この方法で踏み込んでみるか」



 【送信・星美咲】前にさ、お姉ちゃんオレが前より性格とか変わったねって言ってたんだけどさ。


 【受信・星美咲】ふむふむ


 【送信・星美咲】中身が違うんじゃないか……とか思われてないかなって急に心配になった


 【受信・星美咲】え、なにそのいかにも子供が考えそうな不安! めっちゃ可愛いぢゃん!


 

 ーー……この感じ的にはまだそこまで変には思われていないということでいいのだろうか。



 【送信・星美咲】別にお姉ちゃんからそんな相談とか受けてない?


 【受信・星美咲】ゆーちゃんから? ないない! あ、でも……やっぱいいわ



 でも!? なに!? なんだ!?



 気になったオレはメールを打つのをやめて電話に変更。

 ギャルJK星には申し訳ないが早くその『でも』の先が知りたいんだ。



 『あははは、なんとなくかかってくるんじゃないかって思ってたわ』



 電話をかけると一瞬でギャルJK星の声がスピーカー越しに聞こえてくる。



 「星さん、『でも』の後に続く言葉なに!?」


 『えー、でもなー。 これはゆーちゃんのプライベートな悩みだからなぁー。 どうしよっかなーー』



 えええええ、プライベートな悩み!?

 しかもオレ関係っぽいよな!? めっちゃやべーやつじゃないの!?



 「そ……そこを星さん、どうかお願いしますよこの通り!!!」


 『んーー、どうしよっかな。 あ、そうだ。 じゃあ今度ダイキがアタシの買い物に付き合ってくれるっていうなら教えてあげてもいいよ?』


 「はいそれはもう是非とも喜んで!!!」


 『あっははは、なーに、どうしてそんなに知りたいわけ? ほんとダイキってお姉ちゃんっ子だよね。 いいよ、教えてあげる。 ゆーちゃんが言ってた悩み事はねぇ……』


 

 ーー……ゴクリ。



 『最近畳んでおいた自分の下着の位置とかがズレてることがよくあるんだって。 だから犯人はダイキしかいないんだけど、弟が姉に欲情することってあるのかなって聞いてきてたんだよ』


 「なっ!!!!」


 『ダイキー、やるならもっと上手くやらなきゃダメよー!!』



 スピーカー越しにギャルJKが笑いながらオレにツッコミを入れる。



 「そ、それで星さんはなんと……!?」


 『あー、その時は、洗濯物を畳む練習とかしてただけじゃないかって言っといたべ。 だって言えないようなことしてたらそこから下着自体がなくなってるはずじゃんって』


 「ーー……言えないこと……とは」


 『もー、分かってんしょー? 女の子にそんなこと言わすの最低だぞダイキー』



 ドキンッ!!



 『ーー……とまぁそんなわけだから、そんな子供がいかにも考えそうな中身変わったんじゃないか説とか気にしなくていいと思うよ?』


 「う、うん。 ありがとう星さん」


 『うむうむ。 じゃあ明日も早いんだから早く横になってスッキリして寝るんだぞー』


 「あ、うん……ってえええ!?!?」


 『あははは冗談冗談。 じゃねーー』



 通話を終えたオレはしばらく無言でスマートフォンを眺めたままさっきの話を脳内で整理する。

 まさか優香が帰ってくるまでの期間限定パンツ発掘イベントがバレていたなんて……!


 てか優香よ……あなたはもう弟のオレが言えないことをしていると思っているんだな。 想像したんだな。

 それはそれで興奮するぜ。




 

今回もお読みいただきありがとうございます! 

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[良い点] エルシィちゃんにバレてる……これは予想外! ついでに優香ちゃんにもパンツ発掘バレてる。 ダイキが大変になってきたぜ!
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