128 みんなの『愛』!【挿絵有】
百二十八話 みんなの『愛』!
「「ハッピー☆ハロウィーン!!!」」
土曜日の朝、エマたちが家に入ってくる。
後片付け等が大変かもよ……という優香の言葉により昨夜急遽オレたちの家でやることになったのだ。
そしてーー……
「お……おおおおおお!!!」
オレの目の前には仮装衣装に身を包んだ2人に異国の美少女姉妹。
「エマ……お前その格好……!!」
オレは指を震わせながらエマを指差す。
「ふふん、なかなかエマ似合ってるでしょ?」
エマがくるりと回りながらオレにその華麗な姿を見せつける。
似合ってるとかそういうレベルではない……エマの着ている衣装はなんと巫女服!!
どう説明すればいいのかな……和と洋の融合体で素晴らしいのだが、もともとエマに入ってる魂が日本人だからなのかな……佇まいがそれっぽく見えて素晴らしい!
オレがそんなエマに見とれていると隣からエルシィちゃんがぴょんぴょん跳ねて主張してくる。
「だいき! エッチーは!?」
「エ……エルシィちゃん!!!!!」
エルシィちゃんの着ている衣装……それはオレの好きな小説『絆創膏をアソコに貼った私が無双して世界を救う!?』の主人公・ナタリーちゃんの戦闘服!!
(確か第106話『天使の太もも!』に挿絵で映っていたような気がするぞ……?)
「おいエマ……なんでエルシィちゃんがこの衣装を……!?」
オレは鼻息を荒く鳴らしながらエマに尋ねる。
「偶然なんだけどね。 コスプレで検索かけてたらヒットして、エルシィがこれダイキの部屋に飾ってたやつだーって喜び出しちゃってさ。 だからこれにしたのよ」
「な……なるほど!! とんだサプライズじゃねえか最高だぜありがとう!!!」
オレはエマに両手を合わせて感謝をしながら再びエルシィちゃんへと視線を移す。
ああ……エルシィちゃん可愛いんじゃあ!! まさかオレの好きなものを覚えていてくれたなんて大好きすぎてキュン死しちゃいそうだぜ!!!
「ていうかエマはどうなのよ! エルシィが可愛いのは分かるけど流石にひどくない?」
「いやいやエマ、お前も十分可愛いぞ自信を持て!」
オレはエマに親指を立てて極上スマイルを向ける。
「可愛いって……どうせこの巫女服がとか言うんでしょ。 エマ知ってるもん」
「は、何言ってんだ。 それを着てるエマが可愛いに決まってんだろ勘違いにもほどがあるぞ」
「えっ……!」
エマの顔がボッと赤く染まる。
「ーー……ん、なんだ?」
「な、なんでもないわよ! ほら、そんなことより早くエマとエルシィを会場に案内してちょうだい! いつまで玄関でたむろってるのよ!」
「あ、あぁそうだったなすまんすまん」
こうしてオレはエマとエルシィちゃんをパーティ会場という名のリビングへ案内。
そこにはすでに仮装し終えた優香と結城の姿があった。
ーー……てか優香の仮装衣装、セクシーヴァンパイアだったのかよ!!
胸の辺りがビキニっぽい感じで、下はかなりの短パン……健全なオレにはありがたいゼェーー。
「あれ、ていうかダイキまだ着替えてなかったの? 早く着替えておいで」
ぎくっ
昨夜は色々あってやる気に満ち溢れていたのだが、今日になって恥ずかしさが……。
それとなく自然に私服でやり過ごそうと思っていたのだがな。
「やっぱり着ないとダメ?」
「そりゃあそうでしょ。 ほらほら、お姉ちゃんたちがここの準備しておくからダイキははい、着替えた着替えた」
「あああああ……」
優香に背中を押されながらリビングを出たオレは小さくため息を吐きながらオレの相棒・白鳥パンツを置いてある脱衣所へ。
その後相棒と合体して再びリビングへと向かったのだった。
◆◇◆◇
「ちょっ……!! ダイキ、何その衣装!! あははははははは!!!!!」
オレがリビングに入るや否やエマが涙を滝のように流してオレを指差しながら大爆笑。
「ダイキにしては中々攻めたじゃない!」
「だ……だろうよ!」
「うんうん! ーー……でも、、ぷぷ……あははははは!!! 何この間抜けな顔ーー!!!」
エマがオレの相棒・白鳥ヘッドを左右にバシバシと叩きだす。
「こ……こらエマ! それをやめい!!」
「えーなんでよ!」
オレは咄嗟にエマの腕を掴んでオレの顔の前に近寄らせ、エマの耳元で小さく囁く。
「エマ、お前だけには言うけどな……オレこの下履いてねえんだよ!! だからお前のその愛情がダイレクトに伝わってくるんだわかってくれ」
「えっ、なんで!?」
さすがは元JK。 オレの言葉をすぐに理解したエマは即座に白鳥ヘッドをしばくのをやめる。
「だってほら、これ名前が【白鳥パンツ】だし」
「アンタよくそんなのチョイスしたわね」
エマが少し顔を赤らめながら視線を白鳥ヘッドの付け根へ。
「仕方ないだろ適当に選んだんだから。 とにかくだ、わかったら変にこの白鳥ヘッドに刺激を与えるんじゃない。 わかったな?」
「むぅ……仕方ないわね」
「よしよしエマ、いい子だ。 ほら、じゃあパーティーを始めようぜ」
「はぁ……エマの方が中身年上なのわかってるよね?」
そんなこんなでオレたちは各自飲み物を手に持ち乾杯。
テーブルの上に大量のお菓子を広げてそれはそれは楽しいハロウィンパーティーが始まった。
ーー……のだが。
それから大体1時間くらい経っただろうか。
オレは静かにエマの隣に行き小さく肩をたたく。
「おいエマ、お前飲み物何持ってきたんだよ」
オレの視線が向けられているのはエマではなく優香。
なんというか……床に座っている優香が謎の飲み物を飲みながらポヤポヤした感じで前後左右に揺れているのだ。
どう見ても酔っぱらているようにしか見えないのだが……
「あれはなんだ」
「え、あれは甘酒のはずだけど……」
「甘酒? じゃあアルコールは入ってないか」
「うん。 前に家政婦さんが頂き物だからあげるって持ってきてくれてたんだ。 でもエマ甘酒昔から苦手で飲まないから持ってきたんだけど……ちょっとパッケージ見てみよっか」
「そうだな」
オレは静かに優香に近づき床に置いてある甘酒の瓶に手を伸ばしてパッケージシールに書かれている表示文に目を通していく。
「ダイキ、どう?」
「ちょっと待ってくれ、今探してーー……」
ぱしっ
「えっ!?」
突然オレの相棒・白鳥ヘッドの首が掴まれたので視線を移すとそこにはニコニコ微笑みながらこちらを見上げている優香。
「えっと……お姉ちゃん?」
「ダイキー、寂しくなってお姉ちゃんの隣に来たのぉー??」
「え、いや、ちがっ……」
「もぉー、素直じゃないなぁー!」
優香が白鳥ヘッドの首をグインと引っ張りオレは体勢を崩す。
「ちょっ……! エマ、これ!!」
オレは間一髪で甘酒の入った瓶をエマにパス。
その後どしんと優香の目の前で尻餅をつく。
「いたたた……って、えぇ!?」
目線を上に上げると優香の顔が目の前に。
頬を真っ赤に染めた優香が妖艶に笑いながらオレの上半身をゆっくりと床に倒す。
「お……お姉ちゃん!?」
そのまま優香はオレの上に跨りオレの相棒白鳥ヘッドを優しく撫で始める。
「ダーイキ、お姉ちゃんはね、嬉しいんだよーー?」
「な……なにが?」
「ちょっと前までダイキ、私に全く甘えてこなかったのに、退院してからかな、急に甘えてくれるようになったでしょ? お姉ちゃんそれが本当に嬉しくてさぁーー」
「え……うん、えぇええ!?」
体を拗らせてそこから逃れようとしても優香が両足を押さえつけてそれを拒否。
めちゃめちゃエロい表情でオレを見つめる。
ーー……これは、もしかして姉と弟の禁断の愛へと発展か!?
いやでも待て、近くに結城やエマ、エルシィちゃんまでいるんだぞ!!
近くを見渡すと顔を真っ赤にしながらオレを眺めている結城とエマ。
エルシィちゃんは結城の隣で楽しそうに見つめている。
「あ、ダイキ! エマやっちゃった!」
突然エマが叫ぶ。
「な…。なんだ!?」
「これ、よく見たらアルコール度数8%って書いてる!! アルコール入ってる甘酒だった!!」
「なああにいいいいいいい!?!?」
てことはやっぱり優香、今酔っちゃって……
オレはゆっくりと視線をエマから優香に移す。
「うふふ……ダイキーー♪」
「あ、あははは……ほらお姉ちゃん、周りに結城さんたちいるんだから」
オレは苦し紛れにみんなを指差す。
「んーー? あら、桜子ちゃんにエマちゃん、エルシィちゃんー。 私、みんなのことも大好きだよー! ほら、みんなもこっちきて!」
優香がエマたちを手招き。
そして近づいてきた3人を優香は一斉にまとめてハグ……3人に頬ずりをしながら1人楽しみ始める。
オレの上に跨った状態で。
なんとういう光景だろうか。
オレの相棒白鳥ヘッドを囲むように優香・結城・エマ・エルシィちゃんの顔が!!
これは別の見方をすればまるで……
ーー……じゃなああああああい!!!!
優香があまりにも激しく3人に頬ずりをするので、ことあるごとに誰かの顔が白鳥ヘッドにあたりそれによって発生した『愛』がオレの魂へと伝わってくる。
「ちょっ……お姉ちゃん、それしててもいいからせめてそこを退いて!」
オレが優香に訴えるも酔った優香にはまったく聞こえていないっぽい。
「エマ、頼むなんとかしてくれ!」
「なんとかって何を?」
「せめて白鳥ヘッドに当たらないように……!」
「白鳥ヘッド? ーー……!!」
何かを察したエマの目が大きく開き顔が次第に赤くなっていく。
「ちょっと!! アンタまさか……!!」
みんなの愛……受け取ったぜ。
その日のことを後の結城はこう語る。
「楽しかったし、色々その……びっくりしたよ。 あ、あんな優香さん見たことなかったけど酔ってても優しくて嬉しかったな」
うん、オレもビックリしたよ。
エマはこう語る。
「手についたの本当最悪……。 今度覚えときなさいよ!」
うん、甘酒って服とか手につくと独特の匂い発するヨネ。
でもそれはオレのせいじゃない。 酔った優香たちがそうしたんだぞ。
エルシィちゃんはこう語る。
「とりーーと、とーーとーー!!!」
うん可愛い。
トリックオアトリートだね、君はいつまでも天使のままでいてくれ。
そして優香はこう語る。
「あの衣装さ、洗濯したらなんかゴワゴワしちゃったんだけど……洗ったらダメな成分でも入ってたのかな」
ソウカモネ!!!!
お読みいただきありがとうございます!
今回の挿絵は4人描かなきゃだったので軽く死にかけましたw
下の方に☆マークがありますのでよろしければ評価していってくださると嬉しいです!
感想やブックマークもお待ちしております♪
さぁ明日驚くことが起きるかも!?(まだ執筆すらしていないですが 笑)
それにしても園児服の結城ちゃん可愛いんじゃあ……!




