116 甘々スイートデイ!【挿絵有】
百十六話 甘々スイートデイ!
「えぇ!? 明日陽奈、パンツ以外の下着ダメなん!?」
「しっ! 声が大きい!」
晩ご飯後。 優香と結城が2人でお風呂に入っている時間にオレは勝負に負けた陽奈へ命令を下す。
オレの下した命令、それは明日外出時にインナーシャツ禁止!!
くくく……さぁ陽奈よ、この羞恥に耐えられるかな!?
オレはドSに満ちた視線を陽奈に向ける。
「え、そんなんでいいん? 陽奈もともと上つけるの気持ち悪いけん持って来てなかったんやけど」
「ーー……は?」
◆◇◆◇
「うわぁ人がいっぱい!! ほーらダイきち、いくよー!!」
最寄駅から電車で少し行った大きめの町。
陽奈がはしゃいだ様子でオレに大きく手を振る。
「陽奈お前はしゃぎすぎ」
オレは小さくため息をつきながら陽奈の後を追う。
結局陽奈が心配だったのでついていくことにしたのだ。
ほら……あいつ1人ではしゃぎすぎて迷子になりそうだろ?
ちなみに今日の陽奈の予定はというと……
・陽奈の姉愛莉さんが生きていた時に流行っていたジュースを飲みにいく
・ケーキバイキング
・最新機器のプリクラ体験
以上の3点が今日中に絶対やると意気込んでいる最重要項目。
他にも細々としたものがありはするのだが、それは時間に余裕があったらやるとのことだ。
「それにしても都会って暑いねー。 田舎の暑さと違ってムシムシするっていうのかなー」
陽奈が前屈みになりながら襟元を広げて中に風を送る。
「ーー……!!」
オレは陽奈のそんな仕草をみて思い出す。
そうだったこいつ今上着あれ1枚だったんだ!!
今の陽奈の服は花柄の散りばめられた大きめの黒いTシャツに黄色の短パン。
陽奈の襟元からチラリチラリと男の夢が露出……日焼け跡がめちゃめちゃエロい。
「ちょ……、ちょっとやめい陽奈!」
オレは興奮しながらも陽奈の腕を掴んで襟元を正す。
「なにダイきちー」
「お前ここは田舎とは違うんだ。 そんな堂々と恥ずかしいところ露出すんな」
「え、なにが?」
陽奈は頭上にはてなマークを浮かべているが、軽く周囲を見渡すとさっきの陽奈の行為を見ていたのであろう男たちが咄嗟に視線を逸らす。
「と、とりあえず人の少ないところに行こう。 話はそれからだ」
オレは陽奈の手を引っ張り比較的人の少なめな小さな広場へと移動。
そこでオレは陽奈に都会には大勢のロリコンがいることを伝え、むやみやたらに彼らを興奮させるような行為をしないよう忠告したのだった。
まぁでも難しいだろうな……まずこの日焼け具合だけでもエロいんだから。
◆◇◆◇
「ーー……で、まずはなにすんだ?」
オレは気を取り直して陽奈に尋ねる。
「え、あぁそうやね! じゃあまずは流行ってたジュース飲みに行こーー!!」
陽奈が意気揚々と腕を掲げ宣言。
「なるほどな。 で、その時話題だったジュースってなんなんだ?」
「え」
陽奈がキョトンとした顔でオレを見返す。
「え?」
「え?」
「ま、まさか陽奈お前……それがなんなのか調べてなかったとかないよな?」
「へへっ」
「へへじゃねーよ!!」
オレは陽奈に軽くツッコミを入れながらスマートフォンで検索を開始。
ほんとオレ付いてきてよかったぜ。
「えーと、3年前だろ? ーー……おいおい、該当ないぞ」
インターネットで当時流行っていた飲み物を検索するもそんな感じの記事は出てこない。
「え、うそー。 でもお姉ちゃん、なーんか言ってたんやけどな」
「なんでも良いから思い出してくれ。 そのキーワードで検索かけるから」
「んーー……、陽奈その時ちっちゃかったから全然思い出せないや」
「なんだよそれ。 じゃあ早速1個目のやりたかったこと無理じゃねえか……」
オレは頭を抱えながらその場でしゃがみこむ。
「ちっちっち……あまいよダイきち」
見上げてみると、陽奈がオレを見下ろしながら人差し指を立てて左右に振っている。
「なんだ?」
「その時のは無理でも、今話題のジュースでも良いんじゃないかな!」
陽奈はオレにそういうと愛莉さんノートを見せつける。
「ほら、ここには『今話題の』って書いてるやろ? やけん今流行ってるジューズ飲めば成功やん!」
「ーー……ちなみに陽奈、今流行りのジュースってなんなんだ?」
「そんなの決まってるやん! タピオカ!」
「あー、あれな。 オレ飲んだことないわ」
「陽奈もだよ! やけんそれ飲みに行こうよ!」
ということでオレはスマートフォンでこの周辺にあるタピオカ屋を検索。
一体何店舗くらいあるのかを調べることにしたのだが……
「おい陽奈……」
「なに?」
「これ見てみろよ」
「んー?」
オレはスマートフォンの画面を陽奈に見せつける。
「え、えええええ!?!?!?」
陽奈が思わず驚きの声をあげる。
それもそのはず……なんてったって画面上には把握できない程のおびただしい数のタピオカ屋が軒を連ねていたのだから。
◆◇◆◇
結局有名そうなところを数軒周り、陽奈と飲み歩いていたのだが……
「ーー……うぷっ」
タピオカって名前かわいいくせに結局量があるんだな……3杯飲んだだけで胃が破裂しそうだぜ。
オレはお腹をさすりながら広場のベンチで休憩する。
「ダイきち大丈夫ー?」
隣に座った陽奈がオレの背中をさする。
「お前よく平気だな」
「うん。 陽奈甘いもの大好きやけん全然平気だよ」
「す……すげぇな。 とりあえずこれで、やりたいこと1個達成でいいだろ」
「そうだね! ありがとうダイきち!」
陽奈が満足そうに愛莉さんの書いたノートを見つめる。
本当なら暑いしお腹タプタプだしで早く帰りたいのだが、今のこの陽奈の幸せそうな顔を見たらそんなこと言えない。
少しでも愛莉さんのやりたかったことをやらせてあげないとな。
だったらこんなとこでゆっくりしてる時間はねぇ……。
オレは軽く気合を入れてゆっくり立ち上がる。
「ダイきち?」
「ほら陽奈、次行こうぜ。 次はなんだ?」
「えーとね、次は……ケーキバイキング!」
グッバイオレの胃袋。
◆◇◆◇
「おかえりダイキ、陽奈ちゃん。 どうだった?」
夕方。 自宅に帰ってリビングに入ると優香と結城が玄関まで出迎えてくる。
「めっちゃ達成できたよ! 都会ってすごいね優香ちゃん!」
陽奈がテンション高めに優香に飛びつきながら今日体験したことを楽しそうに話し始める。
「お、おかえり福田くん」
結城が少し顔を赤らめながらオレのもとに。
「あ、ただいま」
「あのさ……福田くん、お腹空いた?」
なんだろう……結城がもじもじしているようだけど……気のせいだろうか。
「あー、まぁ少しはお腹空いてるけど……なんで?」
「ーー……!」
そう言うと結城の顔がパァっと明るくなり優香に視線を向ける。
「ゆ、優香さんっ! 福田くん……お腹、空いてるって!」
な……なんだ? やけに嬉しそうだけど。
オレが首を傾げていると優香が結城の声に反応する。
「え、結城さんにお姉ちゃん……どうかした?」
「ふふ、実は今日私と桜子ちゃんね、時間があったから2人でパンケーキ作ってたんだ。 たくさん作ったからダイキや陽奈ちゃんもどう?」
ーー……え?
「え、陽奈食べたい!」
オレが固まっていると陽奈が嬉しそうに手を上げる。
「あの、福田くんも……」
結城が純粋な目をオレに向ける。
や……やめてくれ結城! オレは序盤のタピオカ3杯からのケーキバイキング……さらにはその後もクレープやらなんやらで甘いものはもうこりごりなんだ!!
だから結城には悪いが今回は……
「美味しくできたよ?」
「いただきます」
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やはり白肌も好きだけど褐色も良き……




