114 約束の日はハプニングだらけ!?
百十四話 約束の日はハプニングだらけ!?
今日は体育のない火曜日。 エマと約束を交わした日だ。
そう……まさかのオレがノーパンというな。
「くっ、これも結城の好感度を守るためだ……今日1日耐えるんだオレ!!」
夏休みに撮影した結城の浴衣写真を眺めながら心を決めたオレは約束どおり部屋で制服に着替える際にパンツをパージ。
半ズボンの僅かな隙間から空気を感じながら勢いで家を出た。
◆◇◆◇
「あー、だいき、おはぁー!」
マンションを出るとそこにはエマとエルシィちゃん。
エルシィちゃんが可愛くぴょんぴょん跳ねながらオレを迎え入れる。
「おはようエルシィちゃん」
「おはー! じゃあがっこ、いくー!」
エルシィちゃんは先頭に立ちながら出発。 その後ろをオレとエマが付いていくのだが……。
「ダイキ、約束ちゃんと守ってきた?」
エマがニヤニヤしながらオレに尋ねる。
「当たり前だろ、くそ……まさかオレがこんな辱めを受けるとは」
「女の子を辱めようとした罰だもん。 これに懲りたら今後はやらないことねー」
エマはそう言うとオレのズボンを軽く引っ張る。
「ちょ……! お前エマ! 何すんだ!」
「うんうん、パンツ見えなかったからどうやら嘘は付いてないっぽいね。 よろしい」
「は!?」
「だって確認しないと嘘ついてるかもでしょ? 確認しただけだからいいじゃない別に全部脱げって言ってるわけでもないんだし」
「ま……、まぁそうだけどよ」
さすがは中身現役JK。
そこらへんあまり動じてないのがちょっと悔しいぜ。
ただ……見て欲しいという願望がなかったかと言われれば嘘になるんだけどな。
◆◇◆◇
「ーー……うわあぁ、どうしよう」
昼休み。
オレは頭を抱えながらとある場所へと向かう。
簡単に言うと、見られて呼び出されてしまったのだ……よりにもよってドSの女王・小畑に。
それは少し前の授業中……
その授業は『道徳』という教科で、『外で困ってる人を見かけたらみんなはどうするか』といったテーマについて机をくっつけて話し合いをして発表するというもの。
ちなみにその班分けは担任が作ったあみだくじで、結果オレの班はモブ4人と小畑。
その6人でテーマに沿った話し合いをしていたのだが……
「僕は助けるべきだと思うよ」
「私も」
「私も」
「俺も」
そんな感じの話し合いと言っていいのか疑問なことをモブ4人が進めている中オレは陰キャを突き通すために沈黙。 そして小畑はというと……
「小畑さんはどう思う?」
モブ女子が小畑に話を振る。
「えー。 私は無視だけど、みんなと同じ意見ってことで進めてていいよー」
さすがは小畑。 まったく興味を示さないでペンを回して時間を潰している。
結果モブ4人の意見で話を進めていたのだが……
「あっ!」
小畑の回していたペンが落下し、小畑はそれを拾うために机の下に潜り込む。
うん、あるよねそういう事。
とんとん
「ーー……ん?」
机の下から小畑がオレの足を叩いたので机の下を覗き込むと、なんということだろう……小畑がオレの足の前でニヤニヤしながらズボンの隙間を指差しているではないか。
あー、オワッターーー。
その後話し合いが終わり各班の代表者が発表している時間、小畑がさりげなくオレに可愛く折られたメモ用紙を飛ばしてくる。
それで周囲にバレないようこっそり開いて中身を確認してみたんだが、これが怖い内容だったんだよ。
それがこちら……
『昼休みにいつもの場所』
ね、終わったかもしれないって思うよね。
それで恐る恐る小畑に視線を向けると、小畑は面白い獲物を見つけたかのように……とても楽しそうな表情を浮かべていたんだ。
ーー……そして今に至るという。
どうしよう、この状態で蹴られたら防御力ほぼ0なのに……オレの人生が終わってしまうぞ。
そんなことをループで考えていると気づけばいつもの場所……1階図工室前の女子トイレ前に到着。
中を覗くと小畑が奥で手招きをしていたのでオレは覚悟を決めたのだった。
「はぁ……言いふらされてないだけマシか」
◆◇◆◇
個室に入るやいなや小畑はオレを便座の上に座らせ妖艶な笑みを浮かべる。
「お、小畑さん?」
「ねぇ、福田ぁー」
「は、はい」
小畑はオレの足の間に手を置くともう片方の手をオレの右膝の上に。
そのままゆっくり上へと這わせてくる。
「え、え!?」
「なんでみんな気づかないのかな」
小畑はオレの耳元で囁きながら指先をズボンの中へ。
ええええ、これはもしかしてもしかするやつなのか!?
これは嬉しいけど後が怖いというか……ちょっと待ってええええええ!!!
オレの心臓は爆発寸前。 ズボンの中にゆっくりと入っていく小畑の手を力強く凝視する。
「なーに福田ぁ、息荒いよー?」
「だ、だだだだだって!!!」
「こーらぁ、大きな声出したら聞こえるでしょ」
びくぅ!!!
小畑の声に反応したオレの背筋がギュンと伸びる。
「ほら、動かないで。 手元が狂うじゃんか」
「は、はい!」
まさか森本信也時代に叶わなかった夢が今ここで……小学5年生で叶うなんて……!
オレは心の中で歓喜の涙を流しながらその時を待った……のだが。
「はい、とれたー」
「ーー……え?」
意味がわからず小畑を見ると、その手には長めの糸くず。
「もう福田だっさー。 ていうか、こんな長いのズボンからはみ出てたら普通本人だけじゃなくて周りも気づくのに……なんでみんな気づかなかったのかなー」
「ーー……え?」
「ん? どうしたの福田」
「え、いや、道徳の授業の時に見つけたのってそれ?」
オレは目を点にしながら小畑の持つその糸くずを指差す。
「うん、だってもうだらしなく垂れてたもん」
「ーー……じゃあなんでここでわざわざ?」
「だってこれずっとズボンの隙間からぶらぶらされてたらめっちゃ気になるじゃん。 かといってその場で私が取ってもなんか違うし」
「な、なるほど」
「ていうか福田、なんで恥ずかしがらないの?」
小畑が少し不満そうにオレを見つめる。
「え?」
「普通恥ずかしがるもんじゃない? 私だったら恥ずかしくて早退しちゃうレベルだけど」
なるほど……オレがあまりにも小畑から見て恥さらしな状態だったから小畑はニヤニヤ楽しそうにオレを見てたのか。
まったく紛らわしいぜ。 オレはてっきり……ゲフンゲフン!!
その後はオレは見事ノーパンでの学校生活を達成。
オレは安堵のため息をつきながら帰っていると、後ろからエマがオレの名前を呼びながら駆け寄ってきた。
「どうだったダイキ」
「もう色々危なかったぞ。 お前よくこんな……スカートの状態でできるな」
「ふふん、やっとエマの偉大さが分かった?」
「うん、お前がいかに変態かが分かった」
「は? ーー……まぁいいわ。 とりあえずエマが今日1日を乗り切ったダイキを労ってあげる。 ちょうど昨日フランスから届いた紅茶があるんだけど、ダイキ飲む?」
「ほうフランス産か。 気になるよろしく」
こうして帰宅した後エマがエルシィちゃんを連れてオレの家に。
絶対美味しいからということでエマはキッチンで紅茶を作り出す。
「エッチー、てつだうー?」
エルシィちゃんがエマに尋ねる。
「ううん、紅茶は熱いからエルシィはリビングで待ってて」
「あーい!」
エルシィが可愛く走りながらリビングへ。
やっぱり天使だなぁ。
「ほらダイキ、これ持ってって」
「え?」
振り返るとエマが紅茶を乗せたお盆をオレに差し出している。
「ちょっとどうしたのぼーっとして」
「すまん、エルシィちゃんに見惚れてた」
「ロリコン」
「うるせえ!」
オレはそう突っ込みながらもエマからお盆を受け取ろうとしたのだが……
つるん!!
カップの置き場所が悪かったのか、はたまたオレの握力が雑魚だったのか。
紅茶入りカップの乗ったお盆がオレの手の上で大きく傾く。
「うおおお!?」
バランスを崩しそうになるもなんとかオレはお盆ごと落下するのを阻止。 しかし熱い紅茶の入ったカップがお盆の上からオレの方へと滑り落ちてくる。
「え!!!」
もちろん勢いよく滑るカップを止める術はオレにはなく、結果それは素晴らしい角度でオレの下半身へと向かってくるわけで。
バッシャーン
「うわっちゃああああああ!!!!!!」
熱湯紅茶がオレのズボンへダイレクトアタック。
その瞬間にオレの脳内がパニック状態へと切り替わる。
「うわあああちょっと何してんのよダイキ! 大丈夫!?」
「くっそアチいぞ!!」
「とりあえず早くそれ脱ぎなさい!」
「あ、あぁ!!」
急いで脱ごうとするも焦りすぎてうまく脱げない。
「ああもう! なんでわざわざボタン外してから脱ごうとするのよ! こうすればいいじゃないの!!!」
エマがオレのズボンに手をかける。
「あ、ああそうか!!」
この時オレとエマは重要なことを忘れてしまっていたのだ。
そう……今日はノーパンデイだったということを。
「下げるわよ!」
「た、頼む!」
エマが勢いよくズボンを下へとずり下げる。
「じゃあダイキ、早くそのパンツを脱いで冷やしに……え」
「分かったからその手を離せ、早くパンツも脱がないとって……え?」
オレとエマの視線が同じ場所へ。
その視線の先が何処だったかは想像に任せるよ。
そしてどうやら今回の紅茶の温度、エマがエルシィちゃんのために少し冷ましてたみたいで熱湯ではなかった模様。
ヤケドしてなくて良かったあああああ!!!
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