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113 癒しの権化!【挿絵有】


 百十三話  癒しの権化!



 やっと……ついに来たぜこの時が。

 本日は休日。 優香のいない5日間を乗り切ったオレはリビングのあるソファーの上で正座しながら優香が帰ってくるのを待つ。

 ちなみにいつもなら休日は結城がいるのだが今日はいない。

 今週末は上の階のエマの家に泊まっているのだ。

 なんでも疲れて帰ってくる優香に申し訳ないとかなんとか……昨日うちで夕食も食べてお風呂もエマたちと入ってたんだからオレは別に構わないって言ったんだけどな。


 

 「ーー……ん、なんだ?」



 足元に振動を感じたので視線を下に向けるとスマートフォンが振動。

 確認してみると三好から着信だ。



 『あ、もしもし福田?』


 「なんだ?」


 『いやさ、福田、優香さん帰ってきた?』


 「は? まだだよ。 冷やかしなら電話切るぞ」


 『あー待って待って! お兄が今帰ってきたから、そろそろ優香さんも帰ってくるんじゃないかなーって電話してあげたの!』


 「マジか!」



 オレは通話しながら壁に掛けられた時計を確認する。



 「ちなみそれは何分前だ」


 『ちょっとがっつきすぎー。 今帰ってきたところだから、そろそろじゃない?』


 「わかったありがとう三好!」

 


 ピッ



 オレは通話を切り再び時間を確認。

 そうか、あと少し……あと少しで優香に会えるぞおおおお!!!!

 


 「いかん……こうしてはおれん!!」



 落ち着きをなくしたオレは意味もなくソファーの周囲をぐるぐると歩き回る。

 すると何故だろう……突然エマの言葉が頭をよぎる。

 それは優香が修学旅行に出かけた2日目の朝の言葉……。



 『ほらねエマの思った通り。 どうせダイキ洗い物してないんだろうなーって思ってさ』



 「ーー……!!!!」



 やってしまった……洗い物やってねえええええ!!!!



 オレはダッシュでキッチンへ直行。

 昨夜エマが朝食用に作っておいてくれたタッパーやお皿をガチ洗浄し、周囲に飛び散った水を布巾で満遍なく拭き取る。



 他に……他になにかやり残していることはないか!?



 ピンポーーン



 「!!!!」



 オレが周囲を細かくチェックしていると玄関から待ちわびていたインターホンの音。

 


 よっしゃきたあああああ!!!!



 オレは満面の笑みで玄関へ。

 急いで玄関の鍵へと手を伸ばした……その時だった。



 「ん?」



 下になにか落ちている。

 オレはなんだろうと思いながらそれに手を伸ばして確認。

 どうやら布のようだけど……って、ええええええええ!?!?!?


 それは白生地にピンク色ドット柄の可愛いパンツ。

 おそらく昨夜エマたちの誰かが上の階に向かう時に落としたのだろう。

 そしてこのサイズ的にエルシィちゃんのものではない……ということはエマか結城だが、エマは基本ド変態だからパンツは履いていないだろう。

 ということは……



 うおおおおおおおおおお!!!! 結城の神聖なおパンツじゃねえかあああああ!!!!



 もっと眺めて出来れば鼻をつけて香りを楽しみたいところだけどそんな時間はない。

 オレはそれをポケットに突っ込んで玄関を開ける。



 ガチャリ



 「え?」



 そこに立っていたのは結城。

 少し顔を赤らめながらオレを見つめる。



 「その……ごめんね福田くん、ちょっとお邪魔してもいいかな」


 「うん。 それは別にいいけど……どうしたの?」


 「えっとあの……昨日エマの家に向かう途中でちょっと落としちゃったみたいで」


 

 ーー……え。


 

 「ちょ、ちょっとごめんね」



 結城は家の中に入るとまっすぐ脱衣所へ。 

 


 「あれ……ない」


 「ど、どどどどうしたの?」


 「福田くん、その……昨日の夜から今までで、福田くんのじゃないその……服とか落ちてなかった?」


 「ふ、服?」


 「例えばその……ぱ、パンツとか……!」


 「ーー……!!!!」


 

 オレは結城の言葉に絶句。

 今まさに拾ったところなんですけどおおおおお!!!!!



 「い、いやぁ……まだ見てないけど、どこ行ったんだろうね。 あははは」



 やばいぞ。 なんてタイミングで見つけてしまったんだオレ!!

 しかもそれが今オレのポケットの中だなんて……絶対に誤解されてしまうやつじゃねえか!!!

 これはさりげなくその辺に置いて落ちてた程にするしか……!



 「ほんとごめんね、今日優香さん帰ってくるっていうのにドジなことしちゃって」


 「いやいやいいよ。 オレもその辺探してくるよ」


 「あ、ありがとう」



 結城がリビング内を探し出したのでオレはそそくさとリビングを出て玄関へ。

 ーー……隅の方に置いてたら見過ごしてた風になるよなそうなるよな。


 これでオレの容疑はなくなる!!


 オレはリビングに注意を向けながらこっそりとポケットからパンツを取り出す。

 


 ガチャリ



 「桜子ー、あったー? あ、ダイキ」


 「あ」


 

 エマの視線がオレの手に持っているパンツへ。



 「ダイキ、それ……」


 「いや違うんだ、落ちててなんだろうって見てたら急に結城が来て……! 焦ってポケットの中入れちゃっただけなんだって!」


 「ふーーん?」


 「な、なんだよ!」


 「ダイキ、これ桜子が取りに来なかったらどうするつもりだったのかなー」



 エマはオレの手からパンツを取ると怖いくらい優しい声色でオレに尋ねる。


 

 「そ……それはもちろん洗って後日返そうかなと」


 「でもそしたら桜子、明日履くパンツがなくてノーパンになっちゃってたんだけどなー」


 「はい、すぐ言うべきでしたすみませんでした、だから結城にはこのことは……」


 「ねぇダイキ」


 「はい」


 「来週ダイキのクラスで体育ない日っていつ?」



 エマがスマートフォンを取り出しながらオレに尋ねる。



 「えっと……確か火曜日はなかったかと」


 「じゃあ黙ってあげる代わりにダイキ、火曜日ノーパンね」


 「はい。 ーー……え?」



 聞き間違いかなと思ったオレは結城のパンツからエマへと視線を移す。


 

 「エマ、今なんて?」


 「だからダイキは火曜日ノーパンで過ごすこと」


 「な、なんでだよ!」


 「桜子は明日ノーパンで過ごすかもしれなかったんだから当然のバツでしょ」



 エマがオレの下半身に視線を向けニヤリと笑う。



 「そ、それで他の奴にバレたらどうすんだよ」


 「バレないバレない。 特にダイキはズボンじゃん。 スカートじゃないからそう言う心配もないって」

  

 「いやでも半ズボンだぞ」


 「どんだけ自信あるのよ。 だったらこのパンツ持って桜子に言いに行く?」



 エマがオレの前で結城のパンツを広げる。

 


 そんなの……そんなの決まってるじゃないか!!



 「火曜日ノーパンでお願いします見逃してください」


 「おけー、じゃあこのことはエマの心の中に固くしまっておいてあげるよ」

 


 そう言うとパンツを持ったエマはリビングへ。



 「桜子ー。 階段の隅に落ちてたよー」


 

 た……助かった。


 

 その後エマと結城はパンツを持って上の階へ。

 オレは玄関の前で座り込み安堵のため息をついた。



「なんか……めっちゃ疲れた」



 ◆◇◆◇



 あれからどれくらいだろうか。 しばらくの間そこでじっとしているとガチャリと扉が開かれる。



 「あれ、鍵かけてない……ってダイキ、どうしてそんなところにいるの?」



 「ーー……あ」



 数日ぶりの声。

 オレの心に光が照らし始める。



 「ただいまダイキ。 お土産いっぱい買ってきたよー」



挿絵(By みてみん)



 「お姉ちゃーーん!!!」



 オレはその場で優香にジャンピングハグ。

 もうこれでもかというくらいに顔を優香に擦り付ける。



 「え、ダイキどうしたの?」


 「なんでもない……」



 あぁ……この香りこの温もり……全てがオレを癒していくぜ。



 「あ、そうだ。 もうすぐお昼だけど、帰る途中でデリバリー頼んどいたからもうすぐ来るかな。 来たら一緒に食べようね」


 「うん!」



 まさに癒しの権化。 

 その日オレはほとんどの時間を優香の隣で生活。 5日間得られなかった優香成分を補充していったのだった。



お読みいただきありがとうございます! 優香ちゃんちょっと神々しめに描いてみました!笑

下の方に☆マークがありますのでよろしければ評価していってくださると嬉しいです!


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― 新着の感想 ―
[良い点] なんとか溜まっていた分を読めました!! 遠慮なくいただこうとするダイキ! その罪はノーパンか! これはダイキもピンチですなぁ! やっと帰ってきた優香さん!! 癒し!! [一言] 読ませ…
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