110 この欲望を叶えるため!【挿絵有】
百十話 この欲望を叶えるため!
優香が修学旅行に出かけて4日目の昼休み。
オレは昨夜のエマの超えっちぃ寝相を思い出しながら悶々と時間が過ぎるのを待っていたのだが……。
「ーー……福田、くん」
隣でオレを呼ぶ声が聞こえたので視線を向けるとそこには結城の姿。
「ん? どうした?」
「その……ちょっと来て」
周囲の目が気になるのだろう、結城は周りの誰とも目を合わさずに教室を出て行く。
「え」
よく分からないがまた何か起こったのだろうか。
そう考えたオレは駆け足で教室を出て結城の後についていった。
◆◇◆◇
「ーー……え、ここ?」
結城が立ち止まった場所……そこは階段の踊り場。
オレが首を傾げていると結城がくるりと体をオレの方へと向ける。
「ねぇ、福田くん」
「なに?」
「あの……あのね……」
言いづらいことなのだろうか、結城が少し視線を逸らす。
ーー……!!!
わかった! わかったぞ!!
オレの脳がこのシチュエーションから起こり得ることを予想する。
そう、これは告白……告白だな結城!!!
そんなにもじもじしながらもチラチラとオレを見る動作……告白以外になにがある!?
まったく……結城は可愛いなぁ。
そうとわかれば話は早い。
少しでもイケメンだと思われるよう、オレは背筋を伸ばしてキリッとした表情で結城を見つめる。
「ーー……福田くん?」
「ん、どうしたんだい結城さん」
「えっと……その……」
結城は小さく頷いた後にオレを見上げ、小さく口を開いた。
「あの、私もお泊まりしていい?」
「ーー……」
予想してた展開とは違ったことにオレは思わず言葉を失う。
「えーと、ごめん結城さん。 急にどうしたの? 結城さん毎週末泊まりに来てるじゃん」
「あのね、廊下歩いてたら三好さんとエマさんの会話が聞こえたんだけど、福田くんのお姉さん今修学旅行に行ってるんでしょ?」
「うん」
「福田くん、ご飯とかどうしてるの?」
結城の純粋な質問。
これは変に誤魔化さずに答えた方がいいな……別にやましいことしてるわけでもないし。
「あー、それはほらエマってオレの家と同じマンションじゃん? ついでに作りに来てくれてるんだよ」
オレはあえて普通に答える。
「そっか……」
ーー……え、なんでそんな残念そうなの?
「ど、どうしたの結城さん。 なにか問題でも?」
「ううん、いつもお世話になってるから福田くんのお姉さんがいない間だけでも私がご飯作ってあげようかなって思ったんだけど……ごめんね。 エマさんがやってくれてるんだったら今更私が行っても邪魔だよね」
な……ななななんだってえええええええ!?!?!?
「ごめんね急に呼び出して。 じゃあまた週末……」
結城はオレに小さく手を振ると自分の教室へと戻って行く。
「え、あ、いや……! 待って結城さん!」
何も考えは浮かんでいないがこれを逃したら次いつ結城お手製の料理を食べれるか分からない!
オレは急いで結城を追って手首を掴む。
「なに福田くん」
「え、あ、いやその……オレは結城さんの料理を食べてみたいかなって」
「でもエマさんがいるんでしょ? その役目とっちゃったら悪いよ」
「いや、でもそれは……」
考えるんだ……結城にウチに来てもらう理由を考えるんだオレえええええ!!!
今日だけエマには来なくても大丈夫と伝えるか……? いやでもなんだかんだで料理しているあいつは結構イキイキしてるからそんなことは言えない。
2人に作ってもらうか……? しかしそれも味付けやらなんやらで険悪なムードになっても困る。
一体どうすれば……
オレはなにか……なにかないか周囲を見渡した。
ーー……!!!
トイレ帰りなのか偶然西園寺が目の前を通りかかる。
「西園寺!」
「あれ、福田くん……と結城さん? どうしたの?」
「実はさ……」
◆◇◆◇
「ーー……で、今日は2人来るんだ」
帰宅途中、エマが半分呆れながらオレに冷たい視線を送る。
そう、この人数ならエマ1人で作るのも少ししんどい。 だから結城と一緒に……それか個々に料理を作ってもらえるってわけだ!
「いいだろパーティーみたいで楽しいじゃないか。 それにエマ、結城も西園寺も知ってるし」
「まぁそうだけど……今日その2人ダイキの家に泊まるの?」
「はい」
「はぁ……ほんと変態。 じゃあまたエマがダイキが変なことしないか隣で監視してないとじゃん」
「ーー……え」
◆◇◆◇
「「お邪魔します」」
一旦家に帰り荷物を持ってきた2人……結城と西園寺が到着。
エマがリビングに案内する。
「うわぁ、エマさんほんとに福田……くんの家にいるんだね」
結城が物珍しそうにエプロン姿のエマを眺める。
「ほんとに。 でも私も誘ってもらっちゃってよかったの?」
私服姿の西園寺がランドセルとは別に大きな荷物を持ちながらオレに尋ねる。
ちなみに西園寺は髪を下の方で二つ結びにしておりなかなかに可愛い。
「うん、西園寺だってエマともっと仲良くなれると思ってさ。 だったら少しでも話す時間多い方がいいだろ」
「そうだね、ありがとう」
西園寺が丁寧に頭を下げる。
「……てかすごい荷物だな。 なにが入ってんだ?」
「あ、ここには制服とか問題集とか色々ね」
「へぇ……問題集」
「うん、一応予習や復習は日課にしてるから持ってきたんだ」
「なるほど」
ーー……そういえば普通の雑談で話してるのを聞いたことがあるんだが、西園寺ってテストの成績って学年で上位に毎回入ってるとか多田が言ってたよな。
やはり日々の積み重ね……努力は実ると言うことなのだろうか。
「あ、じゃあこの人数だしエマ早速夕飯の用意始めちゃうネ!」
エマは時計を見るとせっせとエプロンの後ろのヒモを結び直してキッチンへと向かう。
「エ、エマさん……私もある程度はできるから手伝うね。 ほ、ほら人数多いし」
結城も荷物を壁際においてパタパタとキッチンへと向かいエマの隣に立つ。
「へぇ桜子ちゃんできるんだ」
「うん。 ママの帰りが遅い時とかよくやってるんだ」
「なるほどねぇ」
エマと結城が楽しそうに話しながら料理を始めると西園寺が静かにオレの隣に近づいてくる。
「なんだ?」
「あのね福田くん、実は私ね……」
「うん」
「今日パンツ脱いで来ちゃった。 だから今日と明日はパンツないんだよ。 ゾクゾクしちゃう」
「なっ!」
そういうと西園寺はぺたりとその場で座り込む。
オレは……オレは今日、とんでもない変態を呼んでしまったのかもしれない。
しかし……そうか。
オレは私服姿で顔を赤らめもじもじしている西園寺のスカートに視線を移す。
この下……何も履いていないのか……ゴクリ。
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