表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/733

108 いつものセクハラのつもりが……


 百八話  いつものセクハラのつもりが……



 優香が修学旅行のため家を空けて3日目。

 


 「ーー……はぁ」



 昼休み。 オレは人気の少ない図工室前の男子トイレの中で壁にもたれながら大きくため息をつく。

 

 優香がいない間エマが色々とやってくれてはいるのだが、やはり優香成分が足りなくなってきているのも事実。 まだ2日も残っているなんて信じたくもない。



 「早く戻ってきてくれよおぉ……」



 オレは力なく呟きながらその場でしゃがみ込む。

 


 「あーいたいた、ねね福田ー」



 オレがしゃがみ込んだタイミングで男子トイレ入り口の方から三好の声が。

 視線を向けるとオレに手を振っている。


 

 「ーー……なんだ?」


 「あのさ、そろそろ福田限界なんじゃないかなーって思ってさ」



 三好がニヤニヤしながらオレの前に歩み寄ってくる。



 「なにが?」


 「ほら、福田ってシスコンじゃん? 優香さん今修学旅行中で会えてないから大丈夫かなーって」


 

 あぁそうか。 三好の兄も優香と同じ学校・学年だったな。

 


 「なんだよ、お見通しじゃないか」


 「ふふん、でしょー」


 「もしかしてあれか、三好もお兄ちゃんが恋しくなったか?」


 

 オレは冗談ぽく三好に尋ねる。



 「んなわけないでしょ。 私はお兄がいないおかげで平和な生活を送ってるし」



 三好は鼻で笑いながら手のひらを振って否定する。

 


 「じゃあなんでわざわざここまで来たんだよ。 まさかお姉ちゃん不足のオレを笑いに来ただけとか言わないだろうな」


 「違う違う、そんなに私暇じゃないよ。 ちょっと福田にとある提案をしにね」


 「ーー……提案?」


 「うん、実はーー……」




 ◆◇◆◇




 「ーー……ダイキ、あの子だれ?」



 エマが玄関を指差しながらオレに冷たい視線を送る。



 「あー、えっとそのーあれだ。 あの子は三好。 オレの奴隷……じゃなくて、クラスメイトのーー……」



 「あれ、なんで転校生の外国人が福田ん家いんの?」



 三好が驚いた顔でエマを指差しながらオレに尋ねる。



 「あー、この子はエマで、同じマンションに住んでるってことでこういった親交をーー……」



 「ねぇダイキ」

 「ねぇ福田」



 「うわああああもうめんどくせえええ!!! 同時に話しかけるな一旦リビングに来い!!」



 ◆◇◆◇


 

 「ーー……てことなんだ」



 とりあえずはじめにオレはエマの説明を三好にする。

 


 「え、じゃあエマが優香さんの代わりに福田の身の回りの世話をしてるってこと? すごーー!!」



 三好がエマを見ながら小さく手を叩く。



 「まぁ優香さんがいない期間限定だけどネ。 それで三好さんはどうして?」


 「佳奈でいいよ。 私はあれ、福田って優香さん大好き人間だからさ、優香さんいないと寂しいんじゃないかなーって思って今日1日だけ泊まりに来てあげたってわけ!」



 「ーー……え、そうなの?」



 オレは一瞬混乱しながら三好に尋ねる。

 


 「そだよ。 学校で言ったじゃん」


 「いや、それは今日オレん家行くねって言ってたからただ遊びにくるだけなのかと」


 「そんなのつまんないっしょー? それにもう親にも友達の家泊まってくるって言って荷物も持ってきてるし」



 三好が足下に置いてある紙袋とランドセルに視線を向ける。


 あぁ、だから謎にあいつランドセル持ったきてたのか。

 てことはあの紙袋の中身、お菓子とばかり思っていたが実際は……着替え!?

 おそらくはパジャマ的なやつとパンツ……夢が詰まってる袋じゃねえかああ!!

 

 そんなやりとりを三好としているとエマが目をパチクリさせながらオレたちを見ている。



 「ん、どうしたエマ」


 「ーー……え、泊まるの?」


 

 エマが三好に尋ねる。

 おいおい素に戻ってるぞエマーー。



 「うん」


 「男の子の家だよ!?」


 「うん、え、なんで?」


 

 三好が不思議そうにエマに逆に尋ねる。



 「え、それはその……ほら、色々あるじゃん! エマたちももう小学5年生だしさ!」



 エマが言葉を必死に説明しようとしていると察した三好がクスッと笑う。



 「え? カナちゃん?」


 「あのねエマ、言いたいことはなんとなく分かったけどさ、福田だよ?」


 「ダイキ?」


 「うん、福田ってたまに超変態だけどさ、襲ってきたりはないっしょ」


 

 三好が笑いながらオレを指差す。


 え、なに? オレって三好の中で無害として扱われてるの?

 スカート捲らせたりエロ同人音読させたりトイレに連行したこともあるのに!?



 するとなぜか三好の言葉を聞いたエマが納得した様子で数回頷く。



 「確かに」


 「でしょ?」



 は?

 


 「確かにダイキってどうしようもない変態なことが多いけど、そうだね、一線は超えてないよね」


 「そうそう! だから大丈夫だって!」



 なぜか2人はオレの変態さとその先に絶対に行かない安全性についてを楽しそうに語り合う。

 

 違うんだよな、オレがその先に行かないのには色々理由があってだな……。

 ただただチキンな臆病やろうなだけなんだよな!!

 ダイキに入る前のオレは恋愛経験なんて皆無! 画面越しの2次元美少女しか恋愛対象にしてなかったんだ!


 

 ーー……でも待てよ?



 オレは2人の話を聞きながら冷静に分析する。

 話を聞くに、オレが今までやってきた変態行動はまだ2人からしたら余裕で許される範囲内だってことだよな。

 てことは同じレベルのことをどれだけやっても無害……



 ニヤァ!!!



 その後しばらくして脱衣所にある洗濯機から洗濯終了のメロディが流れてくる。

 


 「あ、洗濯終わったみたい。 エマちょっと行ってくるね」



 エマが三好との会話を中断して立ち上がる。



 「あーエマ、いいよそれくらいだったら私がしたげる。 どうせ今日泊まるんだから洗濯はしてあげるつもりだったし」



 三好がエマの手を取って座らせ脱衣所へ。

 へぇ、三好って結構家庭的な面もあるんだな。



 ていうかこれって早速セクハラチャンスじゃね?


 

 ◆◇◆◇



 「よいしょっと……」



 ベランダに出た三好が爪先立ちで洗濯物をハンガーに干していく。

 タオルに洋服、靴下……

 そしてオレのパンツを洗濯カゴから取り上げる。



 「ちょ、三好!!」


 「え、なに福田!」



 オレのパンツを持ったまま驚いた三好が振り返る。


 

 「お前の足元ゴキブリいるぞ!!」


 「え、いやあああああ!!!」



 驚いた三好がオレのパンツを投げ捨てて中へとジャンプ。

 まさかのオレに抱きついてくる。


 お……おおおおおおっ!?!?



 「ちょっと福田、どうにかしてよゴキブリはマジで無理なのー!!」



 な、なんて可愛いやつなんだ!

 予定ではパンツをその場で捨てさせて、ホコリのついたパンツを全方向からパンパンと叩いてもらうだけだったはずなのだが……!!


 オレは抱きついて胸に顔を埋めている三好に視線を移す。


 

 あぁ……髪の香りがいいギュッとされてるのも気持ちいい結局いい香り結局柔らかい!



 「ーー……福田?」



 胸に顔を埋めた三好が小声で尋ねてくる。



 「なに?」


 「ゴキブリ……どうなった?」



 そういうと三好は顔をあげ、至近距離でオレを見つめる。

 少しうるっとしたその瞳……


 か……かかか可愛すぎるううううう!!!!


 これによりオレの体温は一気に急上昇。 これでもかというくらいに心臓も鼓動が高鳴っていくのがわかる。

 


 「ーー……? 福田?」


 「うわあああなんでもないなんでもない!」



 突然のことで焦ったオレは急いで三好を離して一歩下がる。



 「あ、あれだ三好。 ほら見てみろ、ゴキブリもうどこか行ったっぽいぞ」



 オレはベランダを指差し強引に三好の顔をそっちへと向かせる。

 うわああ、あの無垢な表情は反則だあああ!!



 「ーー……ほんとだ。 あ、でもごめん福田、福田のパンツ落としちゃった」


 「いいんだいいんだそれくらい! パンツなんて1つじゃないんだからな。 ほら貸して、それまた洗濯機にぶち込んでくる」


 「えーほんとごめんね!」


 「気にすんな、それよりオレの方こそすまなかった!」


 「ん? なにが?」


 「なんかもう色々とだよ! じゃあ頼むわ!」



 オレはその場から急いで離れて脱衣所へと向かった。



 「くそ……あんな純粋な目で見られたらいたずらしにくいじゃないか!!」



 洗濯機の前でパンパンさせるはずだったオレのパンツに視線を向ける。



 「ーー……ん?」



 なんだろう、パンツの中で何かが動いているぞ?

 不思議に思ったオレは中を覗くことに。

 


 カササッ



 「ぎゃああああああああああ!!!!」



 それは紛れもない黒い生物!

 焦ったオレはその場で尻餅。 声を聞きつけ駆けつけたエマと三好に事情を説明する。



 「いやあああエマ、Gだけは苦手なのおおお!!!」


 「きゃあああ!! 福田、なんとしてでも退治して! じゃないと今夜安心して寝られないじゃんーー!!!」



 その後オレたちはオレのパンツからどこかへ逃走した黒い生物の大捜索を行ったのだが、結局逃走犯発見には至らなかったのだった。

 しかし冗談で言ったつもりが本当にいたのかよこのやろう……しかもタイミング悪くオレのパンツに入りやがってええええ!!!



お読みいただきありがとうございます! 下の方に☆マークがありますのでよろしければ評価していってくださると嬉しいです!

感想やブックマークもお待ちしております♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 小学生にパンツを選択させる図! やばし……! 一線を越えないとはいえ、今までの所業の報いがきてるぞダイキ! ゴキブリに負けるな!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ