107 魅惑のうなじと天使のキス
百七話 魅惑のうなじと天使のキス
翌日の朝。 昨夜エマが作り置きしてくれていた朝ごはんを食べてのんびりしているとまだ朝早いというのにインターホンが鳴る。
「ん?」
扉を開けるとそこには制服に着替えたエマの姿。
「おぉエマ。 どうした」
「ちゃんと冷蔵庫においてたタッパー気づいてくれた?」
「もちろん。 美味かったぞサンキューな」
「そう、じゃあちょっとお邪魔するわね」
「え」
エマが家の中へ。 エマはまっすぐリビングへと入っていく。
どうしたんだろう忘れ物だろうか。
そう考えながらオレはエマの後を追ってリビングへと向かった。
「ええええ、エマお前まじか!!」
オレはその光景を見て驚く。
なんとエマが台所に立ち洗い物をしてくれているのだ!!
「ほらねエマの思った通り。 どうせダイキ洗い物してないんだろうなーって思ってさ」
なるほど……てかエマの中のオレってどんだけダメ男なんだよ。
洗い物を終えたエマは迷わず脱衣所にある洗濯機へと向かう。
「えええそこまでやってくれんのか!」
「だってどうせダイキ分からないでしょ。 学校が終わるくらいに予約タイマーセットしといたから、流石に取り出して干すくらいはできるよね」
「うん」
「うんうん、そうやってちょっとずつ覚えていきましょうねー!」
エマが満足げに微笑みながらオレの頭を撫でる。
ーー……!!!!
「ちょ、なにすんだよ」
「あははごめんごめん。 なんか本当にダイキのことが弟のように見えてきてさ」
「ーー……何気にショックな言葉だぞそれ」
「え、なんで?」
エマがキョトンと首をかしげる。
「ーー……ってこんなとこでゆっくりしてる場合じゃなかった! じゃあエマ戻るね、ダイキも部屋の鍵しめて出てくるのよ!」
「あ、はい」
エマが駆け足で玄関へ走っていく。
しかしあれだな。 弟に見られてるというのは少しショックだったがそうか弟か……ニヤリ。
◆◇◆◇
「お待たせー、ちゃんと鍵全部閉めてきたー?」
玄関の前で待っているとエマがエルシィちゃんと手を繋ぎながら階段を降りてくる。
「だいきー、おはー!!」
くそう……今日も眩しい笑顔だぜエルシィたん!!
「うんおはよーエルシィちゃん」
「だいきー、エマおねーたん、あさきたぁー?」
「うんきたよ。 ごめんねエマおねーたんを借りちゃって」
「ううん、エッチーうれしー!」
エルシィちゃんがニコニコしながらエマを見上げる。
「えっとエルシィ……なんで?」
「だてー、エマおねーたん、だいきとけっこんすゆー??」
「「ーー……!?!?!?!?」」
エルシィちゃんの一言でオレたちの間に衝撃が走る。
「ちょ……ちょちょちょ何言ってるのエルシィ!!」
エマが顔を真っ赤にさせながらエルシィに尋ねる。
「んー? エマおねーたん、だいきとけっこん、してないー?」
「してないよなんでそうなるのよ!!」
あぁ……しかしあれだ、このやりとりを見ているだけでもかなり癒されるぜ。
オレがその光景に癒されていると急にエマがオレに視線を向ける。
「ん、なんだ?」
「なんだじゃないわよ! ダイキもなんとか言いなさいよ誤解されたままでいいの!?」
ーー……ふふふ、結局そこは思春期の女の子だな。
「エマよ、子供のいうことをそんなに真に受けてどうすんだ? まったくエマも子供だなぁ」
「なんでそうなるのよーーーー!!!」
「あのねエルシィちゃん、オレはエマおねーたんの弟らしいよ」
オレはエマのツッコミを無視してエルシィちゃんに話しかける。
「おとーと?」
「うん弟。 だからオレもエマおねーたんに甘えたいんだけど、どうすればいいかな」
「は、はぁ!? ダイキあんた何言って!!」
「んーとねー。 後ろからぎゅーてすゆー!」
「なるほど」
オレはいやらしく笑いながらエマに視線を向ける。
「な、なによ」
「いや、なーんにも?」
これは面白いことを考えついてしまったぜ。
◆◇◆◇
夕方。 今日もエマがご飯を作ってくれているのだが、オレは静かにエマの背後へ忍び寄る。
さぁエマよ、甘えさせてもらうぞ!!
「エマおねーたんん!!!」
「きゃあっ!!」
オレはエマが包丁や火を使っていないタイミングを見計らって背後から抱きつく。
うむうむなかなかの反応良きである!!
はてさて、では恥ずかしがっているであろうその顔を拝ませてもらうとするかね。
オレはゆっくりと顔を上げて後ろからエマの顔を覗き込もうとした……その時だった。
な……なんということだあああああ!!!!
オレの視界に真っ先に入ってきたのはエマのうなじ。
うわあ染めてない天然の金髪が白い肌から可愛く生えてるよおおお……しかもなんか妙に色っぽい!
こんなのを見せつけられてしまったらもう……ね。
殴られても構わねぇ☆
そう心に決めたオレは鼻をエマのうなじにくっつけて久しぶりの超吸引!!
エマの香りと色っぽさを存分にオレの体内へと取り込んでいく。
「ひゃああああ!!! ちょっとダイキ、何してんのやめなさいって!!!」
エマはそれを振りほどくと顔を赤く染めながらオレに体を向ける。
や……やべぇ。 めちゃめちゃ良かった。
エマが目の前でオレに何か言っているのだが、さっきの吸引があまりにも良すぎてオレの脳が麻痺してしまいあまりちゃんと聞きとれない。
「ーー……ん、ダイキ? 大丈夫? おーーい」
オレの異変に気づいたエマが顔を近づけて目の前で手を振る。
「なぁエマ……」
「なに?」
「お前……悪い女だな」
オレは力なく呟く。
「ーー……え、なんで?」
「うなじエロすぎ」
「もう、ダイキ本当に変態じゃない! そんなこと言われたって嬉しくもなんとも……」
「エマおねーたん」
エマの言葉を遮ってエルシィちゃんが登場。
可愛い歩幅でエマに駆け寄りそのまま抱きつく。
か……可愛い。
「エマおねーたん、だいきと、あそんでたー?」
エルシィちゃんが純粋な目でエマに尋ねる。
「いや遊んでないよ、今のはダイキが……!」
「エッチーみてたけど楽しそうだたー」
「え」
「エッチーもすゆーー!!」
「えええええ!!!」
エルシィちゃんがそのまま腕を引っ張りエマをしゃがませる。
「だいき、ちゅーしてたぁ?」
エルシィちゃんがエマのうなじに顔を密着させながらオレに視線を向ける。
「いや、チューはしてないかな」
「ううんー、してたぁー。 こうやてー……」
ちゅっ
エルシィちゃんの唇がエマの首筋に当たる。
「ひゃっ」
エマの体がビクンと反応するも純粋無垢なエルシィちゃんは気にも留めない。
それどころか口をそのまま密着。 チューチューと可愛い音を立てながら首筋を吸い始める。
「ひゃああああああっ!!!」
お……おおおおおお!!!
まさにエルシィちゃんだからこそできる所業。
天使の可愛いお口でちゅーちゅーされているエマの顔はそれはそれは幸せそうな顔だった。
「ねぇダイキ……」
顔を真っ赤にしたエマが息を乱しながらオレを見上げる。
「な、なんだ?」
「今回だけは許す……むしろ感謝してあげる。 ありがとう」
うわあああ、もうその表情からの視線がめちゃめちゃエロいよおおおお!!! オレにもしてくれぇー!!
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