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102 間☆接☆キス


百二話  間☆接☆キス!!



 エマをどうにかしてやると決めた翌日の放課後の帰り道。



 「ーー……ということで明日は土曜日で休みなのでご飯に行きまーす」



 オレはエマに宣言。



 「え、ちょっと待ってよダイキ。 それは流石に急じゃない? それにエマ、家にエルシィ1人を残して出かけるのはちょっと……」


 「じゃあエルシィちゃんも連れて来ればいいじゃん」


 「いいの?」


 「構わん」



 オレはエマに向けて親指を立てる。



 「あとあんまりお金使いたくないんだけど、そこも大丈夫かな」


 「構わん。 とりあえず明日11時に一緒に行くぞ」


 「うん……わかった」



 ◆◇◆◇


 

 「ーー……え、だれ?」



 ファミレスの前。 エマがかなり警戒しながら目の前にいるとある人物を指差す。

 


 「あぁ、安心してくれエマ。 この人はーー……」



 オレの目の前にいる人物が待ちきれないのか一歩前へ。



 「よろしくエマたん!!! 僕は工藤裕太、ダイキのお友達だよよろしくねええええ!!!」


 

 そう……久しぶりの登場! オレの大学時代以来の友達、工藤裕太。

 金髪幼女とご飯が食べられるぞと連絡するや否や、それからものの数秒で電話がかかってきたのだ。



 「えっと……エマだヨーー! エマ・ベルナール! フランスから来たのよろしくネー!」


 

 エマが片言日本語モードで工藤に挨拶をする。



 「ひゃああああああ!!! 金髪少女キマシーー!! それに脇まで見せてくれるなんて……メルシーでええええす!!!」



 工藤は直角に体を折ってエマに頭を下げる。

 なぁ工藤……まだ喜びフィニッシュを迎えるのにはまだ早いぞ。



 「ゆーた? エッチー!!!」


 「!!!!!!」



 エマの後ろからぴょこんと出てきたエルシィが満面の笑みで工藤に挨拶。

 それを見た工藤の背後に巨大な雷が落ちる。



 「な……なななな、なんだってぇエエエエエ!?!?!?」


 

 工藤は目を充血させながらもエルシィをガン見する。



 「き……君はエマたんの妹なのかい!?」


 「ん!! エマおねーたん、しゅきーー!!」



 エルシィが工藤に微笑みながら無邪気にエマに抱きつく。



 「はうあああああああああ!!!」



 あまりの可愛さに工藤は目眩を発症、その場で片膝をつく。



 「ーー……君、名前はエッチーっていうのかい?」


 「うん! エッチー!! ゆーた、こんちーー!!」



 エルシィがぴょんと工藤の前にジャンプしてハイタッチ。

 工藤の鼻から鼻血が垂れ出す。



 「ちょ、ちょっとダイキ、あのヤバいのなに!?」



 エマがオレに耳打ちをする。



 「ヤバいって言うなよ。 オレの大切な友達なんだから」


 「それにしたってあのテンション……絶対ロリコンでしょ!」


 「ロリコンは文化だ。 受け入れろ」

 

 「なんで呼んだのよ!!」


 「今回は工藤がお金を出してくれるからな。 お前たちはただ楽しそうに話してればそれでいいんだ」


 「むぅ……そう言われたら何も言えないじゃない」



 オレとエマが工藤とエルシィちゃんの戯れを見ているとようやく今回の最重要メンバーが到着する。



 「お待たせ、福田くん」


 「お、きたか」



 そこに現れたのは西園寺希。


 

 「えっと、福田くんの隣にいるのは確か転校生の……」


 「あ、こんにちハー! エマだよ、よろしくネー!!」


 「福田くん、これはどういった集まり?」



 西園寺が周囲を見渡しながら困惑した表情でオレを見つめる。



 「まぁあれだ。 詳しい話は中に入ってからで」



 ◆◇◆◇



 「ーー……なるほど、それで私はどうすればいいの?」



 一通り話した後、西園寺がポテトを上品に咥えながらオレに尋ねる。



 「難しいことじゃない。 エマと仲良く……友達になってくれさえすればいいんだ」


 

 「「え、それだけ?」」



 エマと西園寺が言葉がシンクロさせながら互いに顔を見合わせる。



 「そう。 それで西園寺にはたまにでいいんだけど、休み時間とかにエマを誘って欲しいんだよね」


 「エマちゃんを?」


 「うん、そうすればエマは西園寺と繋がりがある……仲がいいって思われるからな」



 オレが西園寺をポテトで指しながらドヤ顔で答える。



 「それだけでエマ、なんとかなるの?」


 「あぁ。 今こそ西園寺はこんなに落ち着いてるがな、少し前までは頂点でブイブイ言わせてたんだぜ?」


 

 「ちょ、ちょっとそれもう昔のことじゃない」


 

 西園寺が顔を赤らめながらオレの口に手を当てる。



 ーー……!!!


 

 オレの唇に西園寺の指が当たる。

 

 落ち着け、落ち着くんだオレ!!

 西園寺はさっきポテトを食べていて、指についた塩を上品にペロリと舐めていた……!

 ということはこの指には西園寺の唾液が付着しているということで、つまりは……



 間☆接☆キス!!!

 結城にリコーダー貸した時以来……久しぶりなんじゃああああ!!


 そうわかった途端、オレの唇が無意識に西園寺の指を挟む。



 「ひゃう!!!」


 「ひゃう?」



 突然声を出した西園寺をエマが不思議そうな顔で見つめる。



 「ど……どうしたの、西園寺サン」


 「ううん、なんでもない! なんでもないよ!」


 

 西園寺は顔を赤らめながらオレの唇から手を離し、少し息を荒くしてエマに向き直る。


 ーー……ったくこのド変態は。



 「とりあえず……だ。 こうして西園寺は落ち着いてこそいるが、なんだかんだでかなり人気がある。 そんな人気の西園寺と仲の良さそうなエマをいじめようとする奴なんていねぇよ」



 オレはこほんと咳をした後、エマに視線を向ける。



 「そうなの?」


 「まぁそこは西園寺に委ねろ。 な、いいだろ西園寺」



 「う、うん。 福田くんがそこまで言ってくれるなら嬉しいかな。 任せてエマちゃん」



 西園寺がエマに手を差し出す。



 「エ、エマこそ……よろしくっ!!」



 エマもそれに応えて握手。

 うん、上手くいったぜ来週が楽しみだ。

 そしてエマよ。 今お前が握手をした西園寺のその手にはオレの唾液も付いているんだぜ。

 その手でポテトを食べろ……食べるんだ。



 ぱくっ



 食べたああああ!!! うっしゃあああああ!!!!!


 その後オレたちは普通の会話で団欒。

 エマと西園寺は最初こそぎこちなかったが次第に心を打ち解け合い、金髪天使のエルシィちゃんも工藤に遊んでもらえて実に楽しそうな様子だった。

 


 ーー……羨ましい。



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― 新着の感想 ―
[一言] この話の第一正ヒロインはエルシィちゃんですね!
[良い点] 工藤裕太……久々だ。 元気か心配していたぞ……!! 西園寺ちゃんも登場。これは熱くなってきそう。 ロリコンは文化は名言! ポテチで間接キスはレベルが高いな!!ダイキ!
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