100 覚醒せよオレの変態脳!!
百話 覚醒せよオレの変態脳!!
歯抜けの柳に絶望をプレゼントした翌日、思いも寄らない事態が起きていた。
多田から情報をもらったのだが、どうやらあの後歯抜けの柳は杉浦と須藤がオレをいじめていたことを担任に告げ口。
そのため2人は朝から職員室に呼び出しを食らっているとのことだ。
「えええ、なんでそんなことしたんだあいつ」
「んー、ウチの予想だけどさ、フラれた腹いせなんじゃないの?」
「あいつならやりそうだな」
「でしょ。 それに柳もバカなんだけどさ、杉浦たちが柳もやってたって言ってチクった本人も呼び出されてんだよ」
「ーー……マジかあいつ」
さすがは小学生脳……そこまで考えが回らなかったらしいな。
その後1時間目の授業終了時、オレは担任に呼び出され職員室近くの応接室へと案内される。
ーー……なぜか三好と多田も一緒に。
「須藤と柳から聞いたんだけどな、お前らも福田をいじめてたんだって?」
ーー……は?
担任が腕を組みながら三好たちに問い詰める。
「「え」」
「あいつら言ってたぞ、杉浦が戻ってくるまでの間、お前らが福田をいじめてたらしいじゃないか」
なんという連鎖式。
あいつら少しでも誰かを道連れにしてやろうと必死っぽいな。
「ーー……で、どうなんだ?」
担任が2人に顔を近づける。
2人とも俯いて自白しそうな雰囲気。
確か多田は親が厳しくてそんなことになったらヤバいみたいなこと言ってたよな。
これがこいつらと出会ってすぐだったらテメェらの運命を呪えと笑い飛ばして済ませていたかもしれないが、なんだかんだでこいつらとの楽しかった思い出も結構ある。
多田とだったらラブカツ関係……三好とだったらエロ同人誌【ラブ☆ピュッピュ活動】の音読や、お互いの兄と姉の尾行とかな。
三好たちとの関係をここで終わらせるには勿体無い。
仕方ねぇ……助けてやるか。
◆◇◆◇
「ほんっとーーにありがとう福田!!」
応接室からの帰り道。 三好と多田がオレに深く頭を下げる。
「もうウチ泣きそうだったし! 助けてくれるなんて思わなかったよ!」
「前に言ったろ。 オレはお前らがオレを裏切らない限りはあの事は言わないって」
「そうだけど……私、今も心臓ドキドキしてるよ。 ほら触ってみて」
さっきの緊張がまだとれていないのだろう……三好は手を細かく震わせながらオレの手首を掴んで自身の胸部に当てる。
「ね? めっちゃバクバク言ってるっしょ」
「ーー……た、確かに」
三好の心臓はこれでもかというくらいに脈打っており、まるで長距離走を走り終えた時並みの激しさだ。
しかしオレのも負けてはいない。
三好も多田もさっきの緊張がすごすぎて気づいてはいないが……おい三好、今お前とんでもないことしてることに気づいてないのか!?!?
ドクンドクンドクンドクン!!!!!
心臓の鼓動を感じているはずなのに手が幸せすぎてオレの心拍数も爆上げ中!
それに伴いオレの呼吸も次第に荒々しくなっていく。
もっとこのままの体勢でいたいのだがオレの身体も色々とヤバい。
さっきから指がピクピクしだしてだな……そのうちワシワシしそうなんだわ!!
ここは惜しいが三好から手を離してトイレで気持ちを落ち着かせるしか……
「じゃ、じゃあオレ……トイレ寄ってくから」
「あ、うん本当ありがとうね福田」
「先行ってんねー」
オレは惜しくも三好から手を離して男子トイレへ入る。
「ーー……って落ち着けるわけあるかあああああ!!!!!」
オレは個室内で大絶叫。
三好に触れていた手を見つめ、あの鼓動……あの感触の素晴らしさを思い出す。
「覚醒せよ……オレの変態脳!!!」
その後オレは休み時間の終わるギリギリまで目を瞑って触れていた手を前へ。
変態脳をフル回転させ、数分前の出来事を鮮明に思い出して妄想に耽っていたのだった。
◆◇◆◇
その日の帰り道。
この日もオレはエマと一緒に帰っていたのだが、エマが何かを思い出したかのように「そうだ」と言いながらオレを見る。
「なんだ?」
「クラスの子たちが話してたことが聞こえたんだけどさ、ダイキをいじめてた男の子たち、また出席停止になったの?」
情報回るの早いなぁ。 さすが女子ネットワークってところか。
「うん、今回は前よりは短いけどね。 あいつらもこれで懲りただろ」
「よかったじゃん」
「うん」
「あ、それはそうとさ……」
「なんだ?」
「なんか今度はエマがクラスで除け者にされちゃったかも」
「はあああああああああああ!?!?!?」
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