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01 きっかけはいちご柄のパンツ


 一話  きっかけはいちご柄のパンツ



「ああああ……やっちまった」



 オレは頭を抱えてしゃがみこむ。


 ーー…天界で。


 目の前には髭を生やしたおじいさん。どうやら神様という存在らしい。

 

 天界……そう、オレは死んでしまったようなのだ。

 そしてたった今オレの死因を聞かされたところでもある。



「ーー……まさか、嘘ですよね。 オレが死んだ原因がくしゃみなんて」


『ワシは嘘はつかんぞー。ほれ、その時の映像じゃー』



 神様が手鏡のようなものをオレに見せつける。

 鏡の中に写ってるのは紛れもない……オレだ。



『よく見ておれよ』



 鏡に映る自分……オレがエッチな本を読んでいる。

 うん、そこまでがオレの記憶にも残っている光景だ。 確か年下の女の子にいじめられる内容だったよな……あれはいい内容だった。



『ほれ、ここからじゃ』



 場面はオレがエッチな本を見終わり、満足した表情で部屋の換気をするために窓を開けているところ。

 そしてそれは突然に……



「はっくしょーーーい!!!」



 ーー……バタリ。



「ーー……は?」


『この衝撃でお主は心臓発作となり、ここ……天界へ来たのじゃ』



 神様が手鏡を懐に戻しながら伝える。



「ノオオオオオオ!!!!!」



 待ってくれ、オレはまだ20代後半……甘い青春をまだ諦めていなかったのにこの仕打ちかよ!

 しかもあれだ、エロ本を部屋に出しっ放しで死ぬとか最高難度の羞恥プレイじゃねーかあああああ!!



「なぁ神様頼むよ! オレまだやりたいことあるしさ、このまま死ぬわけにはいかないんだよ!」



 オレは神様にしがみつき心から訴える。



『そう言われてものう。 それが運命じゃからして……』


「そこをなんとかさぁ!!」


『無理じゃな。 お主は死んでから結構時間が経っておる。 あの体はもう使い物にならんよ』


「ソンナァ!!!」



 絶望のあまり膝をつくとポケットから何かが落ちたのが視界に入った。



「ん?」



 拾って確認してみるといちご柄のパンツ。


 ーー……そうだ、読んでたエロ本に付録でパンツが付いてたんだ。 まぁ今となっては使い道もないんだけどな。


 オレはそれを丸めてポケットに入れ直そうとした……その時だった。



『ちょ、ちょっと待て』


「え?」



 神様に視線を移すと、神様の目線がオレの持ついちご柄のパンツへとまっすぐに向けられている。



『お主、それはなんだ!』


「あー、いちごパンツですけど」


『ちょ……ちょっと見せてはくれないか!?』


「え? あ、はぁ」



 パンツを渡すと神様は目を大きく見開きながら凝視。 その後ゆっくりとオレの顔を見上げた。



『……これを譲ってはもらえまいか』



「は!?!?」



 オレは思いも寄らない言葉に驚く。

 しかし……。



「いやいや、ダメですよ! これはいわばオレの思い出の品みたいなもの! そう簡単に渡せるわけが……!」


『ならばこうしないか!? 今にも自ら命を落としそうな人間の体にお主の魂をぶち込む! そうすればお主は再び現世で生を全うできるぞ!』


「ーー……え、マジすか」


『大マジじゃ!』


「じゃあ出来れば自分より下の年代がいいんですけど。 青春したいし」


『そこまでの指定は……!』


「ならこのパンツは返してもらって……」


『分かった分かった!! お主の年よりも下の人間を選んでやるから!! じゃからその……!!!』


「交渉成立ですね!!」


『うむ!』



 オレは神様と固い握手を交わすと同時に体が光り、視界が少しずつ真っ白になっていき意識が朦朧としてくる。



「なんだ? なんか眠くなって……」



『グッドラック。 そしてサンキューパンツ』


 

 目を覚ますとオレは病院のベッドの上で横になっていた。



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― 新着の感想 ―
[一言] ハッキリ言おう。初見だが言おう。 神様アンタそれでいいのか!? 面白い匂いがもう既にしているので楽しみです。 追いつくのは全然先ですが、執筆頑張ってください。
[良い点] なんとなく予感はしていたけど、ヤバ過ぎる神で爆笑しましたwww 私も何か神様が好きそうなものを常備しておこうかな……(ただの変態)
[良い点] 1話目はなかなか掴みが難しいもの…… しかし読者をバッチリ掴む内容で後が気になります! [気になる点] …やーは2個セットなので使い方に気をつけましょー! 多用も読みにくい原因になりかね…
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