174. epilogue
オーウェン・ペッパー。
それは魔術革命期に活躍した英雄の名前であり、魔導団の団長を務めた人物である。
オーウェンの最大の功績といえば、天才発明家であり史上最悪の犯罪者と呼ばれた男、ユーマ・サトゥを倒したことである。
また魔法至上主義社会の変革を訴えた人物の一人でもあり、彼の妻であるナタリー・ペッパーとともに、現代の社会主義の基礎を作り上げたとも言われている。
英雄色を好む、と言われているが、オーウェン・ペッパーが愛したのはナタリー・ペッパーだけ、というのは有名な話だ。
逸話の1つとして、オーウェン・ペッパーは学生時代、妻に白透花を渡し、受け取った妻はそれを生涯持ち続けていたというものがある。
白透花は3日も持たず、枯れる花である。
しかし、ある条件を満たしたとき、それは白く美しい花に変わると言われている。
その条件とは、男性が心から愛する女性に渡したときだ。
もちろん、実際の白透花は透明なままに萎れるため、白透花が白くなることはない。
これは後のラブロマンスが流行った時代に作られた話である。
また、オーウェン・ペッパーの周りには多才な人物が集まっていた。
彼の友人には魔法工学の母とも呼ばれるシャロット・グリーンや、騎士団団長としてユーマ・サトゥが率いる狂人軍団を食い止めたベルク・リットンなどがいる。
また、歴代最高峰の聖女と謳われるファーレン・アントネリもオーウェンの学友であった。
オーウェン・ペッパーには生涯の師と呼ぶ人物が2人いる。
1人目は魔術革命期の先駆けとなる、魔石によるエネルギー抽出方法を発明した人物――カザリーナ・ヴィオレだ。
カザリーナといえば、幼い頃にオーウェン・ペッパーに魔法を教え、導いた人物としても知られており、オーウェンが真っ先に名前を挙げる人物だ。
そして、もう一人が氷結の悪魔との異名を持つクリス・クリフォード。
『オーウェンといえばクリス』と言われるほど、後世で彼女の名前は有名である。
クリスは、後にユーマ・サトゥと魔導団が衝突するきっかけとなった、〈執務室の決戦〉で命を落とした人物だ。
オーウェン・ペッパーがユーマ・サトゥの討伐を志したのも、この戦いからである。
オーウェンの英雄譚の中で、最も外せない話がクリス・クリフォードとの別れの場面だ。
師と仰ぐ人物との死別。
オーウェン・ペッパーは無言で空を見上げていたという。
時代の転換期には、英雄が現れる。
この激動の時代を生きた英雄の一人であるオーウェンは、その生涯を73歳で閉じたという。
彼の生涯は現代でも小説にされている。
最近の小説では、オーウェン・ペッパーが実は現代からの転生者だったと言う設定がある。
もちろん、それは創作の中での話である。
――完――
お待たせいたしました。
ずっと未完にしておりました「悪徳領主の息子に転生!?~楽しく魔法を学んでいたら、汚名を返上してました~」の最終話を掲載いたしました。
これにて完結となります。
他の作品も書いておりますので、ご覧いただけますと幸いです。




