NO.3 ウェザー
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『夜の力』
別名『ウェザー』と呼ばれる力が存在する。
そして、私たちはそれを行使している。
『夜の力』はその名の通り、夜に使用できる力だ。
―稀に、慣れと経験のせいか、
日中にも使うことのできる者もいるようだが、
それは例外である。
その『夜の力』の源となるものがある。
それの見た目としては、「宝石」が相応しいだろう。
私の通っている高校の場合、その宝石は入学時に、
全生徒に配られる。
―つまり、全生徒が『夜の力』を使用できる。
しかし、『夜の力』を使うかどうかは一人一人の生徒次第。
なぜそういう制度なのかというと、
『夜の力』を使って戦うには、
危険が伴うからだ。
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(昨日も力を使いすぎたかな……)
―ふあ。
不意に欠伸が出た。
眠い。
今日も眠い。
夜にはもともと強いほうだが、
私の場合は『夜の力』を積極的に使うこともあって、
寝不足になりがちなのだ。
そして眠いと同時に、
暑い。
眩しい。
……涼しい。
(いい風が吹いてきた)
今は外にいる。
車椅子を外へと運び、
観戦しているだけだが、体育の授業に一応は参加している。
私の目線の先には、
サッカーをしている、
同クラスの女子生徒たちがいた。
彼女たちは皆、
体操服を着ている。
元気よく走り回っている子もいれば、
ゆっくりと走りながら雑談をしている子たちもいる。
そんな中、私はひとり、
物思いにふけていた。
(連日で夜、『夜の力』を使うのはやめておいた方が身のためかな……?)
でも、早めに退治しておきたい……。
いや、いつまた現れるか分からないんだし……。
……今度現れたら、他の人に任せようかな……。
昨日はいつもより早く帰り、
予定を済ませたあと、
夜九時頃、月下にて『悪魔』と対峙した。
私の他にも数人の『天使』が来ていた。
―天使と悪魔
天使は『夜の力』によって姿を変えた、私たちのことを言う。
その変化した姿が天使のように白く、
翼が生えた姿であり、
そこが似ていることから、
天使と呼ばれている。
悪魔
それは私たちが『テンシ』になる理由であり、
『テンシ』とは敵対する対象である。
私たち『テンシ』は
「『アクマ』を退治する」
という役割がある。
(『アクマ』は退治しなければならない)
それが世のため人のためになる。
なぜならアクマは……
「……さ……つ…….?」
「……咲徹?」