第8話 意外な弱点
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料理を食べ終わりグラスと一緒に休んでいると、突然白が声を掛けてきた。
「タスクくん部屋に案内するからちょっと来て」
そう言い残して白は店の奥にある階段を上がっていった。
その姿を眺めながらふと俺はこの建物の構造について考える、この喫茶店は2階建てらしい一階はお店なのでとても広く作られている。
2階は大体1階と同じくらいの広さだから……よく考えてみるとこの建物結構広いな
そんなことを考えていると痺れを切らせたのか白が戻ってきた。
「ほら、は~や~く~」
白が階段の柵の隙間から顔を出してこっちを見てる。
「はいはい、今いくよ」
そういって俺は重い腰……よりかは満腹になった重いお腹を上げ2階へと上がった。
2階に行くと長い廊下があり、その廊下の両サイドに3つずつ部屋があった。
そして一番手前の左のドアには『白&グラス』と書いてある木の板がつるされていた、白はそこを指差して
「ここが僕とグラスの部屋だよ、タスクくんの部屋は~ここかな?」
そういって左の2つ目の部屋を指差した。
部屋には何もつるされていなかった、それはこの部屋に限ったことではなく他の部屋の戸にも俺の部屋と同じく木の板は掛かっていなかったので多分他には誰も住んでいないのだろう。
「じゃあさっそく入ってみて」
「わかった、ありがとな」
そう白に感謝しながら俺は部屋の中に足を進める。
部屋の中には最低限の家具が置いてあった、シンプルザベストって感じだ
まるで引っ越ししたての1人暮らしの部屋みたいな感じだな、
俺は前の世界ではずっと実家暮らしだったので、こうゆう感じの雰囲気はとても新鮮に感じる。
「家具は自分好みに変えてね、それじゃあおやすみ~」
そういって白は部屋から出て行った。
俺はベットに座り、「ふぅ~」 と深呼吸する。
「ここが俺の部屋か……」
そう一言呟いてベットに横になる。
そしてカル〇スの原液並に濃かった今日一日を振り返りながら静かに目を閉じた。
「あれ……寝ちゃったか? 今日はいろいろあったからな」
突然、異世界にぶっ飛ばされて不良に絡まれたのだから仕方ない。
俺は自分の中でそう割り切り、ゆっくりと体を起こして部屋の中を見回す。
寝たといっても1、2時間くらいだろうか、まだ俺の眠気は覚めていない。
(よし 寝るか)
そう思い立ちもう一度ベットに横になる。
ドンドンドンドン
突然部屋のドアがすごい勢いで叩かれた。
「ちょっとタスクくん起きて起きて早く~!」
そしてその後に白の焦ったような声が聞こえてきた。
(ん……なんだ白かこんな時間になんの用だ?)
俺はベットから起き上がり部屋のドアを開ける、その瞬間に俺は白に手を掴まれた。
「ちょっとこっちこっち!」
そういわれ俺は、隣の『白&グラス』の木の板がつるされていた部屋に半強制的に連れて行かれた。
白とグラスの部屋の中の家具はこれでもかというほど白色で統一されていた。
そして入ってすぐのベットの横に置いてある籠の中でグラスが丸くなって寝ていた。
それより白がこんなに焦るなんて……一体何があったんだよ……
「ちょっとあれだよあれ」
白が指差した先には白色のカーテンがあるだけだった、窓が開いていたのでそこから入ってくる夜風でカーテンがヒラヒラとなびいている。
「なんだよ……ただのカーテンじゃないか」
「違う違う、あれだよよく見て」
だから何もないって……ん?
よく見ると白いカーテンの裏側に3センチくらいの蛾が一匹止まっていた。
まさかこれにビビってたわけじゃ……ないよね?
「なんだよただの蛾じゃないか……え?」
さっきまで隣にいたはずの白がいない。
驚いて振り返るとそこには両手で頭を守るようにしてうずくまり小刻みに震えている情けない白の姿があった。
「お~い白さん大丈夫ですか」
「早くそこにいる害虫を処分して!」
害虫って……確かにそうだけどさ~そこまで蛾におびえることないでしょ。
いや、ただ虫だからなまぁ多少の好き嫌いはあると思うが……ここまで拒絶することはないよ。
「それって、いつもはどうしてるんだ?」
「いつもならグラスが凍らせて粉々にしてくれるんだけど……」
蛾のみなさんご愁傷様です。
今まで一体何匹の蛾たちが犠牲になったのか……
「それだったらグラスを起こせばいいじゃん」
「寝てるのを起こすのはかわいそうでしょ」
即答か、ふーん結構やさしいじゃん。あれ……まてよ……
「って、俺は起こされたんだが?」
「まぁ細かいことは気にせずに早く駆除してよ~」
まったくこのくらい自分でやれよな……
そう思いながらのしぶしぶ蛾を外に逃がしてあげる。
蛾は外に逃がすとヒラヒラと元気よく飛び立っていった。
「ありがとうね~タスクくん助かったよ~」
「じゃあ俺は部屋にもどるよ」
俺がそう言って部屋に戻ろうとすると白が袖を掴んで
「まって……」
と小声で一言言った。
なんだよまだなにかあるのか?
「君をこの喫茶店の店員にさそった理由なんだけど……」
「ああ、なんか感じたってやつだろ。あれってどうなんだ?」
「実は昔のね……やっぱりいいや……」
その時の白の瞳にはこれまでのような元気は無く、なんだか悲しいような感じだった。
俺が不思議そうな顔をして突っ立っていると白は元の笑顔に戻り
「ほらほら明日は朝から戦い方をレクチャーするんだから早く休んで」
「そ、そうか?」
「じゃあね~おやすみ~」
白の瞳はもとに戻っていたが俺はあの時の白の瞳を忘れられない……
まぁ寝れないってほどじゃないんだけどな……