第6話 新スキルで武器作り
「タスクくんここだよ。」
そういって白が指をさした先には入口には2本の立派な斧が飾ってあるまさに
武器屋!って感じの店だった。
周りに他の店もなくもちろん人も通ってないのでやけに静かな雰囲気がする。
「早く中に入ろうよ~」
そういいながら白は勢いよく見るからに重々しい扉を開けた。すると、暗い店内から野太い声が聞こえてきた。
「おっ、白ちゃんいらっしゃい久しぶりだねぇ」
中にいたのは40代後半くらいのすごくがたいのいいおじさんだった。
右手には何やらハンマーらしきものを握っておりその足元には何かの作りかけのような鉄の塊が転がっていた。
そんなおじさんに白は気軽な感じで話しかける。
「おじさん久しぶり~半年ぶりかな?」
そんな軽いノリで話しかける白に俺は驚愕する。
えっ知り合いなの? 半年ぶりって……半年前にこんな物騒な店でなに買ったんだよ……
店内にはあちらこちらに剣やら斧が飾ってあり、それはもう数えきれないほどの量だった。
それに1つ1つの武器が照明の光を浴びてキラキラと輝いている。こんなんで人を切ったら腕なんて簡単に吹っ飛びそうだ。
「今日はね、この人のための武器を作って欲しくてきたの」
「へぇーそこのねぇ……お兄ちゃん見ない顔してるね~」
おじさんは俺の顔を見て少し悩んだような顔をする。
「今日この町に来たばかりなんで」
俺がそう説明するとおじさんは笑いながら、「そうなのかいじゃあ君みたいな子でも扱える武器がいいかなぁ」と言ってくれた。
(はい!ぜひぜひそれでお願いします)
俺は生まれてこのかた武器なんてもちろん持ったことないし、ましてや使い方なんて知るわけがない。
「君は近接攻撃武器か遠距離武器どっちがいい?」
おじさんが気軽な感じで聞いてくる。
たしか白が近接の方がいいって言ってたな、逆に遠距離武器ってどんなのがあるんだ?
弓とかかな? さすがに銃なんてないだろうし……
戦闘初心者としては近接の方がいいかな?
「近接攻撃の方でお願いします」
「そうかちょっとまっててくれ」
そう一言言っておじさんは店の奥に入っていった。
おじさんは3分もすると店の奥から出てきて俺の目の前に一本の剣を差し出した。
「俺のスキルのテストで作ってみたやつなんだが、片手剣だから初心者でも扱いやすいぞ」
そう言っておじさんが手渡してくれたのは鉄らしきものでできた剣だった。
手に持っただけで俺のような初心者でもそのすごさが伝わってくる、それほどに細かいところまで作りこまれていたのだ。正直テストで作ったなんて信じられないくらいだ。
「いい剣ですね……ちなみにこの剣を作ったスキルとは?」
武器を作れるスキルってどんなんだろ? 案外簡単にできちゃったりするものなのかな?
「おじさんはね~素材を想像したとおりに加工できるスキルをもってるんだよ~」
突然白が会話に入ってきた。
(いやいや今の流れからしてそこはおじさんがバシッっと決めるとこだろ……)
「白ちゃんそれ俺のセリフ……」
どうやら俺と考えていたことは同じだったらしい、おじさんは少し悲しそうな顔をする。
「あはは~ごめんね~」
白は頭を掻きつつ、かるーく謝る。
(こいつ……全く反省してないし謝る気もねーな、おじさんもかわいそうに……)
「まぁとにかく大体の素材なら俺の想像どうりに作れるってわけさ」
なるほど! それはすごいスキルだな! ほほ~んそうゆうことか~ ん……ちょっとまてよ?
ここで俺はあることを思いつく。
「おじさんちょっと手をだしてください」
「ん?よくわからんがいいぞ」
(よし、許可はとったぞ!)
そして俺はおじさんの手に触った、その瞬間、あの声が俺の脳内に響く。
『スキル名 錬金 スキルのコピーを開始しますか?』
(お! ガイドさんやっと喋ったか……それじゃあよろしくお願いしますよ!)
そう祈りながら俺は目の前のボタンを押す。
『ただ今スキルをコピー中……成功しました。 スキル名 錬金を習得しました。』
やったー! やっと成功したよ~、よし!これで新しいスキルを使えるようになったかな?
「あれ?タスクくんおじさんのスキルをコピーしたの?」
「どうしたんだ?コピーって一体なんなんだ?」
おじさんが不思議そうな顔をして質問してくる。
(まぁまぁとりあえず本当にコピーできたか確認しようかな?)
そう思い立ち、俺は急いでギルドカードを取り出し、スキルの部分を確認する。
【 スキル 】スキルコピー、ガイド、錬金
「おおーちゃんとコピーできてる!」
「すげーな兄ちゃんたまげたぜ!」
おじさんもとても驚いているようだ、まぁ一番驚いてるのは俺なんだけどね。
なんたって初めての成功だからな。
これで俺も好きな武器が作れるようになったのか?
俺が質問すると ガイド が当然のように答えてくれる。
『はい、スキル名 錬金 により鉱石などの加工が可能になりました。』
やったぜ★
「スキルがコピーできたんだったらおじさんに教えてもらいながら武器をつくったら?」
おっ!白さんナイスアイディア
「そうゆうことならおじさんお願いできますか?」
俺がそう言うとおじさんは、「おう!任せとけ!」と快く受けてくれた。
「それじゃあさっそく作ってみるとするか」
そういっておじさんは近くにあった青色の綺麗な鉱石を手に取った。
「これなら加工がしやすいし、軽いから扱いやすい武器に仕上がるぜ」
(いや~このおじさんには感謝だね、よしこれからがんばるぞー)
こうして俺のはじめての武器作りがはじまった。
1時間後……
「ここをこうして……こうかな?」
「お! お兄ちゃん大分スキルの扱いに慣れてきたな」
確かにこの 錬金 のスキルは鉱石などを自由自在に加工することができるがその分扱いがとても難しい
1㎝でもミスればまた始めからやり直しというとんでもない難易度だったのだ。
(まぁぶっちゃけると ガイド の力にほぼ頼ってたんだけどね……)
「あとはここをこうすれば……できた~!」
約一時間もの時間を費やし俺特製の初武器が完成した。
「本当にやっとできたよ~扱いやすい鉱石ってめちゃくちゃ苦労したんだけど?(スキル頼り)」
「意外と早く終わったな、っま俺なら20分もあればできるんだけどな」
まぁこっちは初めてだからね。1時間しかかからなかったと考えれば結構妥当なんじゃない?
……多分だが ガイド のスキルが無かったらあと2、3倍の時間はかかってたな。
「おおー綺麗な剣ができたねぇ」
店の端っこでさっきまで寝てた白も起きてきて剣を眺めている。
完成した剣は綺麗な青色で形は少し日本刀を意識してみた。
この剣を作る前に ガイド のスキルにこんな感じにしたいと頭の中のイメージを伝えるとその通りに作ってくれた。
いや~本当 ガイド さんには感謝しかないですよ。
「すごい剣ができたね~タスクくん、ちょっと持ってみてよ」
「お、いいな」
そう言って俺は剣を手に取ってみる
完成したばかりの剣を持つとその性能の良さに驚き思わず声を出してしまった。
「うわッ! 何だこれ? めっちゃ軽いな!」
以前まで俺は武器に対して重いというイメージを持っていたがこの剣を持ってそのイメージが変わった。
この剣はマジで軽い。
俺は前の世界でそれほど運動神経はよくなく、腕の力も中の下くらいだったはずだ、
もちろんそれはこっちの世界に来ても引き継がれており俺が特別、力が強いわけでもないのでこの剣は本当に軽いのだろう。
「えー本当? 僕にも持たせてよ!」
「あったりめーよ! この鉱石はな普通の鉱石と違って軽くて耐久力の高い武器が作れんだ!」
おじさん……わざわざ俺のためにそんな貴重な鉱石を……
「まぁその分値段も高くなるんだがよ」
「……」
おじさんはそういって「ハッハッハ!」 と笑っている。
いや……本当に洒落になんないから……
俺が落ち込んでいると白が俺の肩を ポンポン と叩き一言。
「……人生生きてればこんなこともあるよ……」
こうして俺は無事武器をGETしたが、その見返りに大量の金貨を失った。