第5話 スキル
《スキル名 ガイド 効果:所持者をサポートするスキルです。スキルを完全に使用しますか?》
YES NO
突然、俺の頭の中に直接、機械っぽい謎の声が響いた。
(すげー! なんか答えてくれたんだけど……なんだこれ?)
謎の声が聞こえた後、突然俺の目の前によくゲームなどで見るYESとNOの文字が現れる。
(ふむふむとりあえずこのスキルを使うにはYESの方を押せばいいのか……)
俺は迷うことなく空中に浮かんでいるYESのボタンを押す。
(最近はやりのⅤRとやらはやったことないけど、多分そんなイメージだと思う)
ボタンを押した瞬間、またあの謎の声が聞こえてきた。
《スキル名 ガイドは完全に使用されました》
お、なんかできたみたいだな……所持者をサポートするとか言ってたな、ということは質問とかもOKなのか?
《はい可能です》
すげー考えただけで答えてくれた、なんかどこぞの携帯についてる機能みたいだな……
それじゃあ、別の質問しちゃおうかな? ん~と今気になることは……そういえばもう一つのほうのスキルの効果ってなんだったんだ?
《スキル名 スキルコピー 効果:対象に触れた場合、対象のスキルを自分のものにできます。》
おおー、それにしても名前のまんまだったな、でも普通に強くないか? 相手のスキルを奪うって結構ヤバい気がするんだが?
「ねぇねぇタスクくんどうしたの~?」
横を見るとグラスが不思議そうな顔をしてこっちを見ている。
今までガイドのスキルと話していたので全然気づかなかったけど結構な時間がたっていたようだ
(というか周りから見たら1人で騒いでる不審者にしか見えないじゃん……)
でも、ここで俺はある重要なことに気づいてしまった。
(ワンチャン白のスキルパクれんじゃね?)
白のスキルはグラスが言っていた用にマジで強い、そんな白のスキルを俺のスキルコピーでコピーすれば俺も強くなれんじゃねーのかというわけだ。
「なぁ白ちょっといいか?」
「ん、なにタスクくん?」
確か相手に触れればいいんだよな?
俺はそっと白の腕に触れる。
「ちょ、ちょっとタスクくんい、いきなりどうしたの!?」
「よし、ちゃんと触ったぞこれでいいのか?」
《スキル名 スキルコピーをスキル名 ガイドでサポートを行いますか?》
へぇー他のスキルの手助けもできるのか、このスキルマジですごいな
もちろん答えはYESだ。
俺が答えたと同時に目の前に 解析中 の文字が現れる。
「ねぇタスクくん聞いてる? それよりさっきから誰と話してるの?」
「ああ、俺のガイドって言うスキルだよ、色々質問に答えてくれてめっちゃ便利なんだ」
白が不思議そうな顔をしながらも楽しそうに答える。
「へーそれは確かに便利だね、もっとも質問に答えてくれるスキルなんて聞いたことないけど……」
まぁそこはオリジナルスキルだし世界初! って可能性もあるから……
《解析が終了しました》
(おっ……解析が終わったな、ちゃんとコピーできたかな?)
俺がそう念じるとガイドが答えてくれたしかし、その答えはあまりにも意外なものだった。
《解析の結果……スキルコピーによるコピーに失敗しました。》
あれ……? コピー失敗だと? わざわざガイドでも補助したのに……
スキルを使うのはこれが初めてなのでどうしても気分が沈んでしまう。
次にこのスキルを使った時も失敗したらどうしよう?
そんな心配が俺の頭をよぎる。
《ただ今原因の解析中……失敗しました。失敗の原因は不明です。》
え~不明ってなんでだよぉ ガイドで補助したら成功率上がるんじゃなかったの?
「君のスキルをコピーしようとしたら失敗したんだけど」
こんなことを白に愚痴ってもなにも始まらないのだが、それほどまでに俺の初めてを失敗したことへ対してのショックが大きかった。
「あ~やっぱり僕のスキルがすごすぎてタスクくんのオリジナルスキルでも
コピーできないんじゃないかな?」
「ないな」
「あるじに限ってそれはないかな」
《ないです》
おいおいグラスだけじゃなくてスキルにも否定されっちゃてんじゃん……
「ちょ、ちょっとみんなひどくない?」
3人? から同時に否定されてさすがに傷付いたのか白が泣き目になりながら文句を言ってる。
(ちょっといいすぎたかな?)
「それよりタスクくんスキルがコピーできるって本当?」
おい、切り替えが早いな
「本当だよ、でもなぜか白のスキルは出来ないんだよな~」
「まぁそんなに落ち込まないで、あるじのがダメでも僕のスキルだったらいけるんじゃないかな?」
白のスキルがコピーできなくて落ち込んでる俺にグラスがやさしく声をかけてくれる。
(グラスは優しいな、どこぞのあるじより優しいんじゃないかな?)
俺がそんなことを密かに考えているとどこからか鋭い視線を感じた。
「タスクくん? 今僕に対して失礼なことを考えてたんじゃない?」
白は顔でこそ笑っているが目が全然笑っていない、
かえって白の場合は普通に怒るより笑顔の方が怖いような気がする。
「いえ……滅相もございません……」
相手の心を読むスキルでも持ってんのかよ? 確かに女の勘は鋭いって聞いたことはあるけど、
まさかここまでとは……
「あははは……それで白これからどうするんだ?」
俺がごまかすように笑いながら質問すると白は「ふーん?」と俺を冷たい目で見つつこれからの予定を説明してくれた。
「えーと……せっかくだしクエストでも受けてみたら?」
クエスト? クエストってあのモンスターを狩ったり、何かを採集したりするあれか?
そういえば受付のお姉さんがクエストが何たらとか言ってたような気がする
「もちろんいきなりは無理だよ、ちゃんと武器やら防具やらを用意しなきゃ」
「もちろんそんなことはしないよ、それより白お前ってあの喫茶店を営業してるんだろ?
クエストなんて受けたことあるのか?」
別に商業をやってるんだったらわざわざ危険なクエストなんて行く必要がないんじゃないか?
俺がそんなことを考えていると白から意外な答えが返ってきた
「まぁね興味本位で討伐クエストに行っただけなんだけどここら辺の敵が弱すぎてどれも瞬殺だったから飽きちゃった★」
……「飽きちゃった★」じゃねーよ! 敵が弱すぎるって……がんばってる冒険者さんたちに謝れ!
「でもまずはタスクくんのための武器を買わないといけないかな……」
白がやっと真剣に話を始める。
「たしかに武器がないとなにもできないな」
「タスクくんの場合、魔法を一から覚えるのは大変だし、剣とか斧かな……?」
やっぱりそうなるのか~、それにしても武器って……剣とか斧ってそんなポンポン売ってる物なのか?
「武器なんてどこで売っているんだ?」
俺が質問すると白が首を傾げながら答える。
「ん~とね、表の道で買ってもいいんだけど……性能的には裏道で買った方がいいんだよね。」
俺は一瞬表情をしかめる。
(裏道……そうゆう暗くて静かな道にはいい思い出がないんですが……)
またあのヤンキーどもに絡まれたら今度こそトラウマになるぞ……?
そんなことを考えていると俺の心境を察してくれたのか白たちが
「でもでも、僕とグラスがいればさすがに大丈夫だよ」
「そうそう」
白とグラスがそういってくれるなら大丈夫……かな?
「じゃあそっちで買うか」
こうしてギルドへの登録を終えた俺たちは武器を買うため『裏道』へ向かった。