第3話 ホワイトルーム
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俺は明るい光と香ばしいコーヒーの香りで目を覚ました。
「はっ……ここは? 」
掛けてあった毛布を跳ね除け、勢いよく起き上がる。
次の瞬間に俺の目に飛び込んできた光景は、多くのテーブルとイスが綺麗に並びオシャレな雰囲気が漂う店内の様子だった。
(どこだよここ!? 見た感じ喫茶店みたいなお店の中っぽいけど……)
どうやら誰かがここまで俺を運び、休ませてくれていたようだ。
「お! やっと起きた~、君かれこれ2時間くらい寝てたんじゃない?」
突然声が聞こえたと思うと、目の前にあのときヤンキー数人を一瞬で凍らせたチビドラゴンが小さな羽をパタパタと羽ばたかせながらふわふわ飛んでいた。
「うわっ!」
思わずおどろいた俺は勢いで横になっていたソファーから転げ落ちてしまった。
「そんなにおどろかなくてもいいんじゃないかな~ それよりもおなかの傷は大丈夫~?」
傷……そういえば俺刺されたんだったな……
急いで服を脱いで傷のあった部分を確認する。
あれ……傷が消えてる……
意識を失うほどに血が出てたのに……このチビドラゴンがいうにはまだ2時間くらいしかたってないんだよな? なんでこんなに回復が早いんだ……?
「傷は……大丈夫っぽいね~、あるじは回復魔法だけはすごいからな~」
あるじ? あの時の女の子のことか、たしかあの時もそう言ってたよな……
ということは、俺をここまで運んで寝かせてくれておいてくれた人もその子ってことか……
命を助けてもらったんだからちゃんとお礼をしたいな。
「なぁお前のあるじ? だっけか名前を教えてくれないか、助けてくれたお礼をしたいんだ」
俺がそういうとほぼ同時に奥の階段から誰か降りてきた。
階段の方に視線を移すと微かに聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お、ちゃんと起きられたみたいだね 傷の方は……大丈夫そうだね」
ソファーから転げ落ちた俺をみてその子はクスッと笑う。
「あるじ起きたのか~」
あるじということはあの時の女の子なのか? それなら早くお礼を……
俺が話しかけようとした時、それよりも先にその少女が口を開いた。
「僕の名前は白、そしてこの喫茶店『ホワイトルーム』のオナーだよ」
さっそうと自己紹介をしたその子は中学生? くらいの身長で眼は赤く、
宝石のように光っていたそして名前のとおり肌は透き通ったように白く、
また髪がまっしろい少女だった。そしてなぜか暖かい室内でマフラーを身に着けていた。
その綺麗な容姿は俺も思わず見とれてしまうほどだった。
「し、白さん……」
「まぁまぁそんなにあらたまらないで気楽にいこうよ~」
「……」
まぁ見た感じ俺よりは年下みたいだしいいかな?
「そんなことより君の名前を教えてよ?」
白が興味深々な様子で俺に問いかけてくる。
そういえばまだなのってなかったな
「ああ、俺の名前は如月佑っていうんだよろしく」
「ふーん、タスクくんっていうんだ」
「あっそうだ、さっきは助けてくれてありがとな」
俺がそう言うと白は首を横に振って、
「たまたま通りかかっただけだよ、それよりお金は無事だった?」
そういえばそうだったな、確か右のポケットに入れてたはずだけど……
(お、あったあった)
中も確認したが元々入っていた金貨も減ってはいないようだ。
「無事だったみたいだ、本当にありがとな」
「よかったね~それより遠くから来たみたいだけど泊まるあてとかはあるの?」
あてか……たしか宿泊所に行こうとしてたんだったか?
「いやあてはないけど、とりあえずそこら辺の宿泊所に行こうと思ってたんだ」
「それだったらここに泊まっていきなよ、君に初めてあったとき何か感じたんだよね~」
え……マジで、俺が異世界からきたのがわかったのか?
いやでも……異世界から来ましたなんて言っても分かんないだろうしな……
白は少し考えるような表情をした後
「ん~ちょっと待ってて」
そう言い残して白は店の奥に入っていった。
「実をいうとボクも感じたんだよね~」
突然、白の横で静かにふわふわ飛んでたチビドラゴンがしゃべりだした。
もしかしてこのチビドラゴンにも分かったのか?
「そういえばボクも自己紹介しなくちゃ、僕はグラス、ドラゴンだよ。 でも別に危ないドラゴンじゃないからね」
あ……やっぱりドラゴンなのね……って!?
人間の大人数人を凍り漬けにするようなドラゴンが危なくないわけがないだろ!
見た目からしてドラゴンだったが、やはりドラゴンの一種だったようだ。さすが異世界……
「これこれやっと見つけたよ」
どうやらお目当ての物を見つけたようだ。
店の奥から戻ってきた白は机の上に地図? を広げた。
その地図はとても大きく多くの建物や店が書いてあり、その一つ一つに細かく名前らしきものが書いてあった。
「これはこの町とこの町の周辺の地図だよ。タスクくんはこの町に来たばかりだからどこに何があるかとかわからないでしょ?」
「確かに……まったくわからん」
「それでギルドカードって知ってる?」
「もちろん知りません」
「やっぱりね……」
白が呆れたように説明を始める。
「とにかくまずはそのギルドカードを作らないといけないの、これがあるといろいろ便利だから」
「いろいろって例えば?」
「クエストを受けられたりとか……あとモンスターと契約を結べるかな……」
「それってグラスみたいな感じなのか?」
「ん~グラスはちょっと違うんだまぁ似たようなものかな?」
ちょっと違うってどういう意味だ?
「とにかく今からそのギルドカードを作りにギルドへ行こう!」
えっ、今から行くのか? ちょっと傷が治ったばっかりで疲れ……
「グラスも準備して早く早く~」
そんなこんなで俺は白に連れられ《ギルド》と呼ばれる場所へ向うのだった。