第2話 (悲報) 異世界に来て2時間でヤンキーにからまれる
誤字、脱字等がありましたら気軽に指摘してください。お願いします。(切実)
突然、俺は謎の人影に腕をつかまれ、すごい力で路地裏に引き込まれた。
「えっ……」
俺が歩いていた時、周りに通行人の人は何人かいたがその人たちにも気づかれないほどの速さで引き込まれたので、俺も一瞬何が起こったのかわからなかった。
ドサッ!
俺は引き込まれた勢いのまま地面に叩きつけられた。路地裏に鈍い音が響く。
気が付くと何人かのガラの悪い男たちに囲まれていた。
『お兄ちゃんお兄ちゃん出すもん出してくれれば怪我をしなくてすむぜ』
男たちの中で一番図体のでかい男が突然話しかけてきた。
俺はビビったがすぐに冷静になり、今の状況を確認する。
どうやら怖い不良軍団に脅されているようだ。
(全く異世界に来てすぐにこんな目にあうなんてこの世界の治安悪すぎるだろ……)
『ほら早く出せよそれとも痛い目に合いたいのか?』
そう言いながら図体のでかい男が詰め寄ってくる。
(のんきなことを考えてる場合じゃなさそうだ)
この金はこの世界で暮らしていくための唯一の資金だ簡単に「はいどーぞ」と渡すわけにはいかない。
「すみませんがこのお金をあなたたちに渡すわけにはいきません」
できるだけ丁寧に断ってみたんだがなんとかなんないかな?
『そうか……それは残念だ……』
そういって男は懐からナイフを取り出した。
そんな世の中甘くないようだ……
『お兄ちゃんを殺さなくてすんだのによ!』
そう言いながら男は俺に向かって鋭いナイフを突き刺してきた。
「あぶねっ!」
命の危機を感じた俺はほとんど条件反射で男の攻撃を避ける。
しかし、間一髪で心臓部分には当たらなかったものの、俺の服の脇腹部分には赤い血がにじんでいた。
(痛った……いきなり刃物はやばいだろ)
俺が避けたことは想定外だったようで男は少し驚いていたようだったが、すぐに余裕の表情に戻ってしまった
『お兄ちゃん反射神経高いねぇ まぁ次に当てればいいんだよ!』
男がさらにナイフを突き刺してくる。
(どうする次ばっかりは回避できないぞ、こんなところで俺の異世界生活は終わるのか……いくらなんでも早すぎだろ……)
死を覚悟した俺に男のナイフが迫ってくる。
「ああ、終わった……」
「あのーそこの男の人大丈夫ですか~?」
突然、後ろから声が聞こえた。
いやいやこの状況を見て「大丈夫ですか~」じゃねーよ完全に何も罪の無い男の子の人生が幕を閉じようとしてるだろ!
でも、関係の無い人を巻き込むわけにはいかないな……
この世界に警察的な機関の人がいれば呼んできてもらえそうだけど、この人たちは1人や2人の警官でどうこうできる相手じゃなさそうだ(初手で殺しに来たし……)
「そこの人はやくにげ……」
できるだけ大きな声で警告をしようとしたが、刺された傷が痛みうまく声が出せない。
傷は結構深く、傷口を押さえた手にはベットリと赤い血が付いていた。
なんだか視界も暗くなってきたような気がする。
(ああ、俺死ぬのか…… )
本能的なものなのか、なんだかそんな気がした。
『おい!そこのお嬢ちゃん今俺らは忙しいんだあっちへいけ、それともこのお兄ちゃんと一緒にあの世へいくか?』
男が挑発するようにその人に話しかける。ん……《お嬢ちゃん》って女の子なの?
傷が痛すぎて気づかなかったがよくよく思い返してみると声的に女の子だったような気がする
俺は痛む傷を押さえながら地面を這い、男たちの隙間から女の子の姿を見てみた。
あまりよくは見えなかったが背丈的に、少女と呼ばれるくらいの年齢だろう。
余計に死なせるわけにはいかないな(謎の使命感)
たのむ早く逃げてくれ! 俺は死ぬだろうけどまぁなんとかなるだろ……
「話はよくわからないけどとりあえず悪そうな方をやればいいか……」
そう少女は小さくつぶやいた。
その言葉は俺だけでなく男たちにも聞こえたようで男たちは笑いながらさらに挑発を続けた。
『はっはっは、お前ら聞いたかこのお嬢ちゃん一人で俺たちを相手しようってよ、やれるもんならやってみろよ!』
男のこの言葉を聞くと少女は呆れたように
「はぁー、ちょっとグラスでてきてよ」
と誰かに話しかけた。あれ? 他に人なんているのか?
「はいはーい、どうしたのあるじ~?」
少女が声をかけるとその子の着ていたフード付きのパーカーのフードから青と白色の小さいドラゴン? らしき謎の生き物がでてきた。
(なんだこいつ?)
「あのお兄さんを襲ってる人たちをやってくれない? 早く帰りたいから
早めにねぇ~」
「うーん状況はよくわからないけどとりあえず悪そうな人たちをやっつければいいんだね」
いやいやいくら見た目がドラゴンみたいだからってここにいる大人たちを相手するのはきついだ(小っちゃいしね……)ていうかなんでしゃべってんだ?
『さっきからいったいなんなんだよそんなチビに俺たちがやられるわけねーだろ』
男が少しキレぎみに怒鳴る。
「もーグラス早くやっちゃってよー」
「はいはいわかったよ」
カキーン
路地裏全体に鋭い音が響き渡る。
え……
次の瞬間その場の空気……いや空気だけでなくさっきまで俺を取り囲んでいた男たちもガチガチに凍っていた。
(なんなんだよこれ……?)
あの小っちゃいドラゴンがやったのか? 異世界怖すぎだろ……
「さっすがグラス仕事がはやいねぇ」
「このくらい朝飯前だよそれよりあるじ~ 早くお昼ご飯食べに帰ろうよ~」
おい! 今そんな日常会話をするような場面じゃないだろ……
「なんなんだよお前ら……」
思わず思ったことが口に出てしまった
「ああ、忘れてたそこのお兄さん大丈夫? 脇から血が出てるけど……」
血?……そういえば俺刺されたんだったな……
さっきまでの出来事のインパクトが強すぎてすっかり忘れていたが俺の脇からは
大量の血が流れ出ていた。
うっ……意識が薄れていく……
「おーい?」
だんだん視界が暗くなっていく少女の声も意識と供にだんだん聞えなくなってきた。
「ああ、死ぬのか……」