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第25話 現実

今回は後書きが非常に長いです。

大切なお知らせがあるので見ていただけると嬉しいです。

「とまあ、事の発端はこんな感じか……俺は別に吸血鬼が何人人を殺そうが知ったこっちゃねーから戦いの場面までは見なかったがな……」


 そう言いつつジャックさんはポケットから煙草を一本取り出し、口に咥える。

 そしてマッチで火を点けると、一度大きく吸ってから天井に向かって息を吐いた。

 吐かれた紫煙は一瞬大きく広がると徐々に薄くなりやがて天井に吸い込まれるかのようにして消えていく。


 それから一呼吸置くとジャックさんはこちらに目線を戻し、

 

「それで肝心の戦いの様子と結果だが……聞きたいか?」


 その質問はまるで、おすすめはしないと言っているように俺には聞こえた。

 そう受け取ったのは白達も同じようで、各々が難しい顔をしている。


 そんな重苦しい空気の中、俺は俯きながらも口を開いた。


「聞かせて……ください……」


 そんな必死になって絞り出したような声は自分でもびっくりするくらい震えていて、頼りなかった。

 

 皆が俺のことを驚いたような表情で見つめる。

 しかし、この場で一番驚いていたのは俺自身だった。

 

 ついさっきまで俺は現実なんて知りたくないと思っていた。

 それは俺の心からの本心で、出来ることなら最初から話なんて聞きたくなかったくらいだ。


 でも……俺は気付いたら話を……現実に何があったのかを知りたいと言っていた。

 

 ジャックさんは俺の言葉を聞き、満足そうに頷くと話を続けた。


「さっきも言ったが俺は直接その場には行かなかった……だから行った奴らの話を聞いたものだがそこら辺は勘弁してくれ……単刀直入に言うが、この戦いは……」


 一方的過ぎた……と……



 それから俺たちはジャックさんから、様々な戦いの話を聞いた。

 十字団が驚くほどに吸血鬼を圧倒したこと、こちらの死傷者はゼロだったこと、その後逃げ出したシャルを捕まえ、痛めつけたことなど……

 

 はっきり言ってひどいものばかりだった。

 話を聞いている途中、何度も深い悲しみと怒りを感じた。

 そしてそんなひどい出来事を直接体験したシャルを……哀れんだ……



 その後、話を聞いた俺たちはジャックさんに礼を言い、店の会計を済ませた。

 話が終わった直後にバンがブチギレて、お店のテーブルを破壊しそうになるなど、幾つかトラブルは起こったがこの店も俺たちも何とか無事だった。



「それでは、ジャックさんありがとうございました」


 店を出た後、皆で改めて礼をするとジャックさんは照れ臭そうに頬を掻いた。


「いいってことよ! 俺はただ仕事をしただけだからな」


 そう言ってジャックさんは情報量として受け取った金貨を太陽に照らし、まじまじと見つめる。

 


「お~い! あるじ~みんな~」


 その時、遠くの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 声がした方向をよく見ると、シャルとグラスが道の中央に立ち、グラスが手を振っている。

 そんな目立つことをして、シャルが町の人達に見つかったりでもしたらどうするつもりなのだろうか?

 内心そんなことを考えながらも、俺は手を振り返す。


「もう……タスクくんまで……」


 白も小声でそんなことを言っていたが、その横顔は俺たちと同じ笑顔でまるで今の状況を楽しんでいるようだった。

 

 こちらから手を振り返すと、グラスたちはこちらの方に向かって来た。

 そろそろジャックさんとも別れないといけないみたいだ。


「それでは僕たちはここで失礼します」


 俺はそう言って白達と共にグラスとシャルの方に歩みを進めた。

 

「タスクだっけか? ちょっと待て」


 止められた。

 

 俺が振り返ると、ジャックさんは俺たちの方に歩み寄った。

 そして今にも消え入りそうな声で一言こう言った。


「あのお嬢ちゃんに言っといてくれや……助けられなくてすまなかったって……」


 そしてジャックさんは後ろを向くとまるで何事もなかったような弾んだ声で


「じゃあなお前ら、元気でいろよ」


 そう言ってジャックさんは俺たちの前から去って行った。


 その背中はとても寂しそうで……何か重たいものを背負ってるようだった。

 そして俺たちはそんな後ろ姿をいつまでも眺めていた……

 

 

 しばらくしてグラスたちも合流し、準備が整うと早速俺たちはシャルの家へと向かうため、歩き始めた。

 ちなみにシャルの家の位置はジャックさんに丁寧に説明してもらったので分かっている。

 町のもう一つの出入り口から少し北西に進み、丘を越えたところの森の近くなのだそうだ。


 その途中、グラスが白に「あるじたちさっきは何してたの~?」と聞いていたが、白はそれに「まぁ後でね」と答えていた。

 話を聞けなかったグラスには悪いが、話をするのはもう少し後になってからになりそうだ。

 

「よし、じゃあシャルちゃん行こうか?」


 白の問いかけにシャルは小さく頷く。

 

 そんなやり取りをする二人の手はしっかりと握られている。

 そんな二人を微笑ましく思いつつ、俺は静かに覚悟を決めた。


 

 現実を受け入れる覚悟を……










 



 





 


















この小説を読んでいただいている皆様。この度は長期間に渡って、投稿ができず申し訳ございませんでした。

投稿が出来なかった理由としては、筆者が去年の秋から今年の春にかけて非常に忙しく、執筆作業ができなかったというのが主な理由です。

しかし、結果的にこの三か月の間で少しでも私の小説を楽しみにしていただいていた皆様をがっかりさせることになってしまいました。本当に申し訳ございませんでした。

「は? お前の小説なんて楽しみにしてねーよ」という方も、三か月間を開けた私の投稿を見に来ていただきありがとうございます。


そして、今回このようにあとがきを書かせていただいた訳がもうひとつあります。

それはこれを機にこの 異世界喫茶店 『ホワイトルーム』 を書き直すということを皆様にお伝えするためです。

理由と致しまして、私はこの三か月間この小説を見返し、多くの箇所や設定を変えたいと感じたからです。

そして悩んだ結果、一から書き直すという結論に至りました。

この問題に関しては完全に私の計画性のなさや、実力不足によるものです。

ここまで読んでいただいた皆様には本当に申し訳ありませんが、よりよい作品を作る為納得していただけるとうれしいです。


次にこの小説を書く際、見たくねぇよという方はそちらを見ていただけなくても大丈夫です。むしろ、今までこんな小説におつきあいいただき本当にありがとうございました。


もしもう一度、私の作品を見ていいという方がいましたら、そちらにも見に来て下さるととても嬉しいです。


新しい小説での変更点に関しましては、今のところ世界観やいくつかの話が大きく変わる予定です。

ですが、登場キャラクターの名前や、雰囲気などは一切変える予定はありません。

タイトルはおそらく今のままで投稿すると思います。

(あと今よりも少しだけシリアス感が増します……)


もしかしたらもう少し変わる箇所があるかもしれませんが、大まかな話の雰囲気は変わらない予定です。


新小説の投稿はいつになるか分かりませんが、もし見てもいいという方がチラッと目にしたら、少しでもいいので見ていただけると嬉しいです。


そしてこの連載中の小説に関しましては、しばらくは過去の遺産的な感じで残しておくとは思いますが、しばらくしたら消えるかもしれません。(あくまで可能性です)



ここまでの長ったらしいあとがきを読んでいただいた方、そして今までこの小説を見ていただいた方、本当にありがとうございました。



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