第9話 地獄の特訓
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窓から差し込んでくる朝の光で俺は目を覚ました。
俺は体を起こし思いっきり背伸びをする。
「あーよく寝たな」
そう一言呟き、部屋を出る。
部屋のすぐ前の廊下に出ると一階に下りるための階段の方からこんがりとしたいい匂いが漂ってきた。
その匂いにつられ俺はゆっくりと階段を下りる。
「あ、タスクくんおはよ~」
一階に下りるとキッチンで料理をしていた白がにこやかな表情で挨拶をしてくれた。
「ああ、白おはよう」
俺が挨拶を返すと白はまた料理作りに戻った。
(それにしてもめっちゃいい匂いだな、昨日の晩御飯も美味しかったしホントここに就職してよかったな)
俺がのんきにそんなことを考えていると突然後ろから声を掛けられた。
「おはよう、タスクくん昨日はよく眠れたかな?」
「おうグラスか……おかげさまでよく眠れたよ」
そう答えるとグラスは満足したような表情で「ふふん」と一言言うと食事をするために昨晩の夕食の時と同じ席に座った。
「はいはーい、今日の朝ごはんはフレンチトーストです!」
そういいながら白は焼きたてのフレンチトーストをテーブルに置いた。
(なんかやけにハイテンションだな……)
トーストには蜂蜜らしきものがたっぷりと掛かっており見ただけで俺の食欲をそそってくる。
実際、俺の横にはこの料理を目の前にして涎を垂らしてるやつがいる。
「それじゃあ、いただきまーす!」
「「いただきます」」
俺は目の前にあるフレンチトーストをナイフで切って、ホォークで刺し蜂蜜をたっぷり絡めて口の中へ運ぶ。
「うっっっっま!」
なんだこれめっちゃうまいじゃん! 蜂蜜はめっちゃ甘いし、トーストは外はふんわりとしていて中までしっかりと蜂蜜がしみ込んでいる。
これは……売れる!(確信)
「口に合ってよかった~、タスクくんが甘いものが嫌いだったらどうしようかと思ったよ」
いいやその逆……DAISUKISA★ これでも前の世界では結構なスイーツマニアだったんだぞ?
休日の日はいろいろな店を回って食べ歩きとかもしてたし
「それでタスクくん今日の予定なんだけど……」
「ああ、俺は特にないぞ」
「それならよかった~昨日グラスとも相談したんだけど今日はタスクくんに強くなってもらおうと思ってね」
俺が……強くなるだって?
なんだかいやな予感がするな……
「いやいや白、俺はスキルだけはなんか強そうだが体力自体は全然ないからな」
その言葉を聞くと白は二ヤッと笑い
「だからだよ、昨日みたいにまた絡まれたら大変でしょ? だから強くなってもらうの」
(まぁ要するに次絡まれたとき助けるのがめんどくさいから俺自身に強くなってもらうってことだろ? 勘弁してくれよ……)
こうして俺のなが~~い1日が始まりを告げたのだった。
「よーし、それじゃあこれから第一回タスクくんに戦い方をレクチャーしようの会始めます。」
タイトル長いし、ひどいな……
まぁ気にしてもしょうがないし切り替えていこう
「それで具体的にはなにを教えてくれるんだ?」
残念ながら俺は戦いについての知識は全くないからな
「まずはタスクくんはなんのスキルを持ってたっけ」
おい! 忘れちゃったの? えーと今あるスキルはと
「今あるスキルはスキルコピーと錬金だけど……」
「じゃあとりあえず戦闘に使えそうなスキルを考えようか」
スキル? なんか魔法かなんかを使ったりしないのか?
「ああ、魔法はね~基礎からやらないとできないからタスクくんの場合スキルを軸にして戦った方が何倍も楽だと思う」
へぇーそうなのかでもスキルっていってもスキルコピーなんか戦闘には使えないだろうしどうすればいいんだ?
「え~と……錬金スキルぐらいかな?」
「錬金スキルなんて戦闘に使えるのか? 俺はまだ微調整とかできないから溶かす→固める、くらいしかできないぞ」
「いやいや、そんなこと無いよ、例えば相手に金属を投げつけてその瞬間に溶かして相手の顔とかにかかった瞬間固めて窒息させるとか」
えー怖い怖い怖い、あなた本当に怖いこというね……
「まぁたしかにむごいとはいってもそうでもして生き残っていかないと、この前みたいにいつ襲われるかわかんないよ?」
「ん~そうだな~でも死なない程度にしないと……」
俺のこの言葉を聞くと白は笑いながら
「やさしいんだね、タスクくんは」
と一言いった。
そんな白の姿を見て俺は頬を赤くする。
「さーてそれじゃあレクチャーを続けようか」
白がそう言ったと同時にグラスが何か思い出したのか突然しゃべり始めた。
「あっ……そうだタスク君そういえば前、僕のスキルをコピーするとか言ってたけど結局わすれちゃったじゃん」
あ、そういえばそうだなすっかり忘れてたわ
確か白のスキルはパクれなかったんだよな……
「それじゃあグラスちょっと触らせてくれ」
「いいよ~はい」
俺がグラスに触れた瞬間にスキルが発動する。
『ただ今、スキルコピーによりスキルのコピーを行います。……一部のスキルのコピーに成功しました。
オリジナルスキル名 氷結 を習得しました。』
やったーってあれ? 一部のスキルだけしか成功しなかった?
それじゃあこの他にもスキルがあるってことか?
『スキル名 スキルコピー では通常スキル以上のスキルであるオリジナルスキルはコピーできません
今回の場合、固体名 グラス のオリジナルスキルの効果を弱めコピーしました。』
えっ! 俺のスキルってオリジナルスキルってパクれないのか?
いや……まぁそりゃあパクれたらめっちゃ強いもんな……ここは妥協するしかないな
ん? ということは、白のスキルだけでもがんばればパクれるのか?
『いいえ、固体名 白 のスキル自体への干渉を失敗しました』
ダメじゃん……それはともかく、この 氷結 ってスキルは本当に
グラスのやつなのか?
「おい、グラスこの氷結ってスキルお前のスキルか?」
「ん~ボクのスキルのワンランク下のスキルだけど……実質同じかな?」
するとグラスは一瞬「あれ?」って感じの表情をする
「そのスキルを知ってるってことは、タスク君ボクのスキルをコピーできたの?」
「ああ、ただしこの氷結ってスキルだけだがな」
「まぁそれだけでも十分だよ、それじゃあ練習に戻ろうか」
このスキルって一体どうやったらいいんだ? 全然わからないんだけど
錬金 のスキルの時と違って実際に戦いで使うスキルだからな使い方とか全然知らないぞ
俺が困っているとさっきまで横にいた白がアドバイスをしてくれた。
「一応僕もそのスキルは使えるけどグラスが近くにいないとダメだし、このスキルのことは本人に教わるのが一番でしょ」
白がそう言う横でグラスがうんうんと頷いている。
なんか無性に腹が立つな……って!、白も使えるのかよ!
「それじゃあこのスキルの説明を始めるね」
「よろしくおねがいします」
「まずはこう、力をためる感じで集中してみて」
いや、ちょっと雑じゃね、力をためるってどうやんだよ
「あのーグラス先生どうやるんですか?」
「ん、適当にやればいいんじゃないかな~」
適当ってどうやんだよ、もうちょっと具体的に説明してくれよ
「まぁこう技をだす感じで」
知らないよ! 技を出す感じって……
とりあえずやってみるか、やってみないことにはわかんないからな
「じゃあいくぞ」
そういって俺は手始めに右手に少し力を入れてみる
「いいね~ちゃんと魔力がたまってる」
え、そうなのか全然分かんないんだけど……
「じゃあ、タスクくん……そこにある木に思いっきりパンチしてみて」
そういってグラスは近くにあるそこそこ太い木を指さす。
いやいや多分めちゃくちゃ痛いよ、大丈夫なのか?いくら魔力をためたからって木だよ? 絶対痛いじゃん……
「まぁケガしても白が治してくれるって大丈夫だよ」
いくら治せるって言ったって怖いものは怖いだろあと痛いし……
「ほらほら~男でしょ」
白がさりげなく煽ってくるしかも満面の笑みで……しかたないやるか……
俺は覚悟をきめ木に向かって拳を構える
「おりゃっ!」
気に向かって俺は全力のパンチをぶちかます、まぁ俺くらいの全力って言ったってたかが知れてるんだけどね。
殴るときに思わず目をつむってしまったが殴った瞬間右手の拳に違和感を感じた、確かに殴って木に当たったはずなのに全く痛みを感じなかった。ゆっくりと目を開けるとさっきまで目の前にあった木が凍りついていた、そしてその中心には俺の拳サイズの穴がポッカリと空いていた。
(おぉ~これはすごいなぁ~)
バキッ!
俺がそう思った次の瞬間俺の右手から明らかにやばい音がなった、激痛とともに身の毛が逆立つような寒気が俺の全身を襲ってくる。
「痛った!?」
よく見ると俺の右手は目の前の木のように凍っていた。
「な、なんだこれ?」
すぐに白とグラスが駆け寄ってくる、そして白は俺の凍った右手に手をかざすと目をつむって集中する。どうやらさっきの俺のように魔力をためているようだ。
すると俺の右手を覆っていた氷がみるみるうちに溶けていく。
「ふぅ、とりあえずはこれでいいかな……」
どうやらもう大丈夫なようだ、右手を動かしてもなんの違和感もない。
「ありがとう白マジで助かったよ」
いや~マジで俺の右手死んだかと思ったよ……
確か手とかが凍ると凍傷とかになって壊死するらしいから……マジで危なかったな。
「で……グラスこれはどういうことだ」
大丈夫っていったじゃん……全然大丈夫じゃねーよ!
「えーとスキルの力が強すぎてタスクの体が耐え切れなかったみたいな感じ? 」
耐え切れなかったって……でも白は確かこのスキル使えるんだったよな?
「じゃあ白はなんで使えるんだよ?」
白だってなんかしらの反動はあるだろ?
ほら俺みたいに手が凍っちゃうとかさ、
「あるじの場合は凍ってもすぐにスキルで治っちゃうから何のデメリットもないよ」
「そーそー」
もう完全にあきらめました……
「タスクの場合は1回目の攻撃で手の表面が凍って、2回目で骨まで凍って、3回目で右腕が完全に動かなくなるくらいの反動だから……最高でも1日3回しか打てないね。」
1日3回しか攻撃できないって……改めて自分の弱さを痛感するな……
「まぁ練習すれば5回くらいはできるようになるよ……多分……」
やっぱり地道に練習しないとだめなのか……よし! 覚悟を決めるか
さぁどんな練習でもドンとこいだ!
「じゃあさっそく50発くらいいってみよー! あるじ回復はお願いね~」
「はーい!」
控え目に言って死ぬ……
その後 グラスの地獄の特訓が3時間ほど続いた…